なぜ、当社の新人エンジニア研修ではあえてSpringなどのフレームワークを使わず、JSP/Servletで開発演習をするのか?

こんにちは。ゆうせいです。

当社の新人エンジニア研修ではあえてSpringなどのフレームワークを使わず、JSP/Servletで開発演習をすることが多いです。

「なぜ今さら?」と思う方もいるかもしれませんが、これには大事な理由があります。今日はその背景と目的を分かりやすく解説していきます。


フレームワークとは何か?

まず、フレームワークについて簡単におさらいしておきましょう。
フレームワークとは、アプリケーションを効率的に開発するための「便利な土台」や「設計の枠組み」のことです。

例えば:

  • Spring(Javaのフレームワーク):複雑な処理を自動化してくれる便利ツール。
  • Ruby on Rails(Rubyのフレームワーク):最小限のコードで効率よくWebアプリを作れる。

フレームワークは、開発者の負担を軽減し、品質の高いアプリケーションを短期間で作れるように設計されています。


なぜJSPやサーブレットを使うのか?

では、そんな便利なフレームワークを使わず、あえてJSP(Java Server Pages)やサーブレットで演習を行う理由を見ていきましょう。

1. Webアプリケーションの基礎を理解するため

フレームワークは非常に便利ですが、その便利さゆえに「中身」が隠れてしまいます。たとえば、Springでは「コントローラー」や「依存性注入(DI)」が簡単に使えますが、それがどう動いているのか分からないまま進めると、問題が起きたときに原因を特定できなくなる可能性があります。

JSPやサーブレットを使うと、以下のような基礎を学べます:

  • リクエストとレスポンスの仕組み
  • HTTPメソッド(GET、POSTなど)の役割
  • サーバーサイドとクライアントサイドのデータの流れ

こうした知識は、フレームワークを使う際にも欠かせない土台となります。


2. 手作業でプロセスを理解する

フレームワークは、自動化された便利な仕組みが多く組み込まれています。しかし、それに頼りすぎると何がどう動いているか分からないブラックボックス化が進むことがあります。JSPやサーブレットを使うことで、以下のようなプロセスを手作業で理解できます。

例:

  • セッション管理:ユーザーがログインした状態をどのように維持するのか?
  • データベース連携:SQLをどのタイミングで実行するのか?
  • 状態管理:パラメータ(フォームのデータなど)をどのように扱うのか?

こうした作業を一度手動で行うことで、「フレームワークが何を助けてくれているのか」を深く理解できます。


3. エラーやトラブルの対応力を高める

実際の開発では、フレームワークを使っていても想定外のエラーやトラブルが起きます。そのとき、基礎知識がないと原因を突き止めるのに苦労します。

例:

  • サーバーにリクエストを送ったけど、レスポンスが返ってこない → HTTPの仕組みが分かっていれば、通信のどこで問題が起きているか推測できる。
  • データが正しく保存されない → SQLの基本やデータベースとの接続の仕組みを知っていれば調査が進めやすい。

JSPやサーブレットで基礎を学ぶことで、エラーの原因を特定し、自力で解決する力を養えます。


4. フレームワークの恩恵を実感するため

JSPやサーブレットを使った演習は、「大変だ」と感じることが多いかもしれません。でもその「大変さ」を経験することで、フレームワークの便利さを実感できるようになります。

例:

  • JSP/サーブレットでは、1つの処理に多くのコードを書く必要がある。
  • フレームワークでは、それが自動化される。

この対比を経験することで、フレームワークの設計思想や便利な機能に対する理解が深まり、より効率的に使いこなせるようになります。


JSP・サーブレット演習で得られるスキル

新人エンジニア研修でJSPやサーブレットを学ぶことで、以下のスキルを身につけられます。

スキル説明
HTTPの基本リクエスト/レスポンス、ステータスコード、ヘッダーの役割を理解できる。
サーバーサイドの動作原理クライアントとサーバーのデータのやり取りの仕組みを把握できる。
デバッグ力問題が発生したときにどこでエラーが起きているかを特定できる。
コードの読み書きの力基本的なWebアプリの構造を設計・実装できるようになる。

今後の学びへの繋がり

JSPやサーブレットの演習を通じて基礎をしっかり身につけた後、フレームワークを学ぶとその便利さや効率性を最大限に活かせます。例えば、Springを学ぶ際に以下の点でスムーズに理解が進むでしょう。

  • DI(依存性注入):手動で作ったオブジェクト管理が、どう自動化されているか。
  • MVCアーキテクチャ:手動でコントローラーやビューを作った経験が役立つ。
  • トランザクション管理:データベース操作がどのように一括管理されるか。

最後に

JSPやサーブレットを使った演習は、一見「古い方法」に見えるかもしれませんが、エンジニアとしての基礎力を育てるうえで非常に重要なステップです。これを乗り越えた先には、フレームワークを自在に使いこなせる自分が待っています!

焦らず、基礎を丁寧に学んでいきましょう。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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