クイックソートが速いのはなぜ?アルゴリズム初心者にもわかる徹底解説

こんにちは。ゆうせいです。

今回は「クイックソート(Quick Sort)がなぜ高速なのか?」というテーマでお話しします。
新人エンジニアの方がつまずきやすいポイントを丁寧に、図や例を交えながら解説します。

「バブルソートと比べて、どうしてそんなに早いの?」
「“分割統治法”ってなに?」
といった疑問を一緒に解き明かしていきましょう!


クイックソートとは?

まずは概要から

クイックソートは、ソート(並べ替え)アルゴリズムの一つです。
大量のデータを高速で並び替えたいときによく使われます。

このアルゴリズムは、「分割統治法(Divide and Conquer)」という考え方に基づいています。

分割統治法とは、大きな問題をいくつかの小さな問題に分割し、それぞれを解決したあとに統合する方法です。


クイックソートの仕組み

ステップごとに見ていきましょう!

  1. 基準値(ピボット)を1つ選ぶ
  2. ピボットより小さい値を左側へ、大きい値を右側へ並び替える(これを「分割」
  3. 左右それぞれを再びクイックソートで整列
  4. 再帰的に繰り返す

例で見てみましょう。


【例】数字のリスト [5, 3, 8, 4, 2, 7, 1, 6] をソートする

  1. ピボットに 5 を選ぶ
  2. 5より小さい → [3, 4, 2, 1]
      5より大きい → [8, 7, 6]
  3. 小さいグループ [3, 4, 2, 1] にクイックソート
      大きいグループ [8, 7, 6] にクイックソート
  4. 最後に [1, 2, 3, 4] + 5 + [6, 7, 8]

→ 完成! [1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8]


どうしてクイックソートは速いのか?

ポイントは「分割」と「再帰」にあります

クイックソートが速いのは、次のような特徴があるからです。

1. 不必要な比較を減らしている

たとえば、バブルソート(隣同士を比べて入れ替える)だと、最大でn × nの比較が必要です(計算量:O(n²))。

一方、クイックソートは各ステップで問題を半分に分けていくため、比較の数がn × log n程度に抑えられます(計算量:O(n log n))。

【補足】
計算量(けいさんりょう)とは、アルゴリズムがどれだけ処理時間を必要とするかの目安です。

2. 配列を一気に並び替えない

「並び替える」と聞くと、全部の要素を何度も見直して…というイメージがありますよね?
クイックソートは「左右に分ける」ことを繰り返すことで、実はほとんどの要素を1回か2回見れば済むという効率の良さがあるんです。


図で理解する:クイックソートの分割の流れ

[5, 3, 8, 4, 2, 7, 1, 6]   ピボット=5
 ↓
[3, 4, 2, 1] + 5 + [8, 7, 6]
 ↓                     ↓
[1, 2, 3, 4] + 5 + [6, 7, 8]
 ↓
[1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8]   完成!

このように、どんどん細かくしていって、最終的にすべてのデータが整った状態になります。


メリットとデメリットを整理

項目内容
メリット・速い(平均計算量O(n log n))・メモリ消費が少ない(インプレース処理)・大きなデータでも実用的
デメリット・最悪の場合、計算量がO(n²)になる・安定ソートではない(同じ値の順序が変わる)・再帰が深くなりすぎるとエラーになることも

似たアルゴリズムと比較してみよう!

アルゴリズム計算量(平均)メモリ使用安定ソート
クイックソートO(n log n)少ないいいえ
マージソートO(n log n)多いはい
バブルソートO(n²)少ないはい

安定ソートとは、同じ値が並んでいたときに元の順序を保ってくれるソートのことです。


クイックソートを使うべき場面は?

  • 大量のデータを手早く並べたいとき
  • メモリ使用量を抑えたいとき
  • ある程度ランダムなデータが対象のとき

ただし、既にほぼ整っているデータ順序が偏ったデータには向きません。
このような場合は、マージソートやヒープソートの方が安定して速いです。


まとめ:クイックソートは「分けて解く」から速い!

クイックソートの強みは、以下の通りです。

  • 「分割統治法」を使って効率よく処理する
  • データを分けて、部分ごとに処理するから無駄が少ない
  • 平均的にとても高速

今後の学習のヒント

次に学ぶと良いテーマはこちら!

  • マージソートとの比較:似た計算量だけど何が違う?
  • 安定ソートと不安定ソートの違い
  • 計算量(Big-O表記)の深堀り
  • 再帰処理のメモリ消費と最適化方法

クイックソートはアルゴリズムの中でも定番中の定番です。
一度理解できれば、他のソートアルゴリズムもグッと理解しやすくなりますよ!

それでは、また次回の記事でお会いしましょう。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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