フリーランス研修講師のための所得税入門!確定申告で損をしない計算の仕組み

こんにちは。ゆうせいです。

みなさんは、毎年2月から3月にかけてやってくる確定申告の時期になると、胃がキリキリしたりしませんか。フリーランスの研修講師として活動していると、登壇やカリキュラム作成には自信があっても、税金の話になると急に難しく感じてしまう人が多いものです。

でも、安心してください。所得税の計算は、実はとてもシンプルな引き算と掛け算の繰り返しに過ぎません。今日は、税金の知識ゼロからでもわかるように、所得税がどのように決まるのか、その流れを一緒に見ていきましょう。

まずは深呼吸をして、リラックスして読み進めてくださいね。

なぜ所得税の計算を知る必要があるの?

そもそも、なぜ計算の仕組みを知る必要があるのでしょうか。税理士さんに丸投げではダメなのでしょうか。もちろんプロに頼むのもひとつの手ですが、仕組みを知っておくことには大きな意味があります。

メリット:手元に残るお金を予測できる

計算式が頭に入っていれば、今の売上で来年どれくらいの税金を払うことになるか、おおよその予測がつきます。つまり、使ってはいけないお金をあらかじめ確保しておけるのです。これで、納税時期にお金がなくて慌てるという事態を防げます。

デメリット:最初は用語が難しく感じる

正直に言いますと、慣れないうちは専門用語が呪文のように見えるかもしれません。しかし、一度理解してしまえば、それは一生使える知識になります。今日はその呪文を、高校生でもわかる言葉に翻訳していきますね。

収入と所得は別物です

ここからが本題です。まず最初に覚えてほしいのが、収入と所得の違いです。日常会話では同じような意味で使いがちですが、税金の世界ではまったく別の意味を持ちます。

研修講師の仕事を料理に例えてみましょう。

  • 収入金額(売上): クライアントから振り込まれた講演料の合計。料理で言えば、お客様からいただいた代金の総額です。
  • 必要経費: 交通費、スーツ代、参考書籍代、打ち合わせのカフェ代など。料理で言えば、肉や野菜などの材料費です。
  • 所得金額(利益): 収入から経費を引いて、手元に残った儲け。料理で言えば、材料費を引いた後のお店の利益です。

税金がかかるのは、最初の収入ではなく、最後に残った所得に対してです。つまり、どれだけ売上があっても、経費がたくさんかかっていれば、税金は安くなるというわけです。

計算式にするとこうなります。

収入金額 - 必要経費 = 所得金額

まずは、自分の事業の儲けである所得を算出するところからスタートしましょう。

所得からさらに引けるものがあります

所得金額が出たら、すぐに税率を掛けるわけではありません。ここからさらに所得控除というものを差し引くことができます。

所得控除とは、国が定めたそれぞれの事情に合わせて、税金の対象となる金額を減らしてくれる制度のことです。これは、いわばハンディキャップのようなものです。家族を養っている、社会保険料を払っている、生命保険に入っているなど、個人的な事情を考慮してくれます。

代表的な控除には以下のようなものがあります。

  • 基礎控除: すべての人(所得2400万円以下)が無条件で引ける48万円の控除。
  • 社会保険料控除: 1年間に支払った国民健康保険や国民年金の全額。
  • 配偶者控除・扶養控除: 養っている家族がいる場合に引ける金額。

これらの控除を全部合計して、先ほどの所得金額から差し引きます。すると、実際に税金計算の対象となる課税所得金額が導き出されます。

所得金額 - 所得控除 = 課税所得金額

この課税所得金額をできるだけ小さくすることが、節税のポイントなのです。

いよいよ税金の額が決まります

さあ、ここまで来ればゴールは目前です。最後に、算出した課税所得金額に税率を掛けます。

日本の所得税は、超過累進課税という方式をとっています。なんだか難しそうな言葉ですよね。これは簡単に言うと、稼げば稼ぐほど、税率のパーセンテージが階段状に上がっていくシステムのことです。

例えば、課税される所得が195万円以下なら税率は5パーセントですが、それを超えると10パーセント、20パーセントと上がっていきます。たくさん稼ぐ人には少し多めに負担してもらいましょう、という考え方ですね。

計算式は以下のようになります。

課税所得金額 \times 税率 - 控除額 = 所得税額

ここで登場する控除額というのは、計算を簡単にするための調整用の数字だと思ってください。国税庁の速算表という表を見ると、自分の所得に応じた税率と控除額が載っています。

全体の流れをおさらいしましょう

言葉だけだと混乱してしまうかもしれませんね。研修講師の仕事を例にして、もう一度全体像を整理してみましょう。

  1. まず、1年間の講演料や原稿料をすべて足します。(収入金額)
  2. そこから、移動の交通費や資料代、会場費などを引きます。(必要経費)
  3. 残った金額から、さらに健康保険料や基礎控除などを引きます。(所得控除)
  4. 最後に残った数字に、決まった税率を掛け算します。(税額計算)

この4ステップさえ覚えておけば、所得税の計算は怖くありません。

研修講師のみなさんへ

いかがでしたでしょうか。これまで、なんとなく難しいと感じていた税金の計算も、分解してみれば単純な引き算と掛け算だとわかっていただけたはずです。

私たちフリーランスの研修講師にとって、体調管理と同じくらい大切なのがお金の管理です。まずは、ご自身の昨年の確定申告書を引っ張り出して、今日解説した流れに当てはめて数字を追ってみてください。きっと、数字の意味がこれまでとは違って見えてくるはずです。

もし、さらに理解を深めたいと思ったら、次は青色申告という制度について調べてみてください。これは、帳簿をしっかりつける代わりに、税金を大幅に安くしてくれるフリーランスの強い味方です。

知識を武器にして、賢く事業を運営していきましょう。

それでは、また次の記事でお会いしましょう。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。

学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。