フレーミングと営業トークとは? 〜IT営業を例に〜

営業において、相手にとって魅力的に商品やサービスを見せるために「フレーミング」と「営業トーク」はとても重要なテクニックです。特にIT業界での営業では、提供するサービスや製品が技術的で複雑なため、ただ説明するだけでは相手に伝わりにくいことも多々あります。フレーミングと営業トークを使うことで、専門的な内容をわかりやすく、そして相手にとって価値があるように感じてもらうことができます。

今回は、IT営業における「フレーミング」と「営業トーク」の基本と、それらをどのように活用するかについて解説します。


フレーミングとは?

フレーミングとは、ある物事をどのような枠組み(フレーム)で捉え、相手に見せるかを工夫する方法です。情報そのものは変わらないのに、伝え方を変えることで受け手の感じ方が大きく変わるのが特徴です。たとえば、次のような例を考えてみてください。

  • フレームA:「コスト削減ツール」
  • フレームB:「業務効率化ツール」

あるソフトウェアが「コスト削減」のためのツールとして紹介されると、主に予算管理を重視する購買部門や経理担当に響くでしょう。しかし、同じソフトウェアを「業務効率化ツール」として見せれば、直接的なコスト削減よりも日常業務の負担軽減を考える現場の管理者や担当者に響きやすくなります。このように、見せ方を変えることで、異なるターゲットに対して異なるアピールポイントを持たせることができるのです。

IT営業におけるフレーミングの重要性

IT営業では、特に技術面が重要視されるため、フレーミングが非常に有効です。IT製品やサービスの導入にかかる費用やシステム変更の手間など、ネガティブに捉えられがちな要素もありますが、フレーミングを適切に行うことで「投資」「将来の成長への貢献」として捉えさせることができます。


営業トークの基本

営業トークとは、相手に理解しやすく、そして興味を引くように商品やサービスを説明する技術です。営業トークは商品知識や技術的な内容だけでなく、相手が持つ課題や期待に寄り添う内容であることが重要です。特にIT業界では、専門用語が多いため、複雑な概念をわかりやすく噛み砕いて話すスキルが求められます。

IT営業トークのポイント

IT営業で有効なトークのポイントは、次のようなものです。

  1. 課題認識の共感
    まず、相手の課題や悩みをしっかりと聞き、その課題に共感する姿勢を見せることです。たとえば、データ管理の負担に悩む企業には「確かに、データ管理は多くの企業が抱える課題ですね」と共感を示すことで、「自分たちのことを理解してくれる相手だ」と感じてもらえます。
  2. IT製品の価値をわかりやすく伝える
    IT製品のメリットを、相手の視点でわかりやすく説明することも大切です。たとえば、データ分析ツールの営業では、「わずか数クリックで重要なデータが取得でき、意思決定が迅速化できます」といった具体例を出し、実際の業務改善のイメージを持ってもらいます。
  3. 成功事例を盛り込む
    実際に他社で成功した事例を示すことで、相手に安心感を与えられます。「導入後、業務効率が30%向上した企業もあるんです」といった実績やデータを示すと、相手はより信頼感を持ちやすくなります。

フレーミングと営業トークの実践例

では、具体的にIT営業でどのようにフレーミングと営業トークを組み合わせると効果的なのかを見てみましょう。

ケーススタディ:クラウド型データベースの提案

顧客の課題:

  • 既存システムの運用に時間とコストがかかっている。
  • 現行システムが老朽化し、データが増えるとレスポンスが遅くなる。
  • サイバーセキュリティの強化が必要だが、対応コストが高い。

フレーミングと営業トークの実践:

ステップ1:課題の共感

まず、相手の課題に共感を示します。

  • 「既存システムの維持管理に多くのコストがかかっているのですね。多くの企業で同じような課題を抱えています」

ステップ2:フレーミング

クラウド型データベースを「コスト削減ツール」としてフレーミングし、具体的な効果を説明します。

  • 「クラウドへの移行は、オンプレミスのサーバー管理に比べて大幅なコスト削減につながります。例えば、月々の運用費用が50%削減されるケースも多いです」

次に、「データの安全性強化ツール」としてのフレーミングを行います。

  • 「また、クラウドはサイバーセキュリティの強化にも役立ちます。セキュリティアップデートが自動的に行われるため、常に最新の防御が可能です」

ステップ3:成功事例と具体的な数値の提示

成功事例と、導入後の効果を数値で示し、相手に具体的なイメージを持たせます。

  • 「実際にこのクラウド型データベースを導入した企業の中には、運用コストが50%削減され、さらに管理時間が月20時間以上削減された例もあります」

このようにフレーミングと営業トークを活用すると、クラウド型データベースの価値が明確に伝わり、顧客のニーズに合致した提案ができるようになります。


フレーミングと営業トークのメリットと注意点

メリット

  1. 効果的なアピールができる
    顧客のニーズに応じたフレームを設定することで、より効果的なアピールが可能です。
  2. 理解しやすい
    IT製品の複雑な部分をシンプルに伝えるため、顧客の理解が深まりやすくなります。
  3. 信頼を得やすい
    共感や成功事例の提示によって、信頼関係が築きやすくなります。

注意点

  1. 顧客の理解に基づくことが必要
    顧客のニーズや課題を的確に捉えないと、誤ったフレームを設定してしまうリスクがあります。
  2. 専門用語の使い方に注意
    技術的な説明は丁寧に行い、専門用語を噛み砕いて説明することで、相手に負担を感じさせない工夫が必要です。

まとめ 〜今後の学習に向けて〜

IT営業でのフレーミングと営業トークは、相手のニーズに応じて製品やサービスの見せ方を工夫し、魅力を引き出す重要な技術です。特にIT業界では、複雑な情報をわかりやすく伝え、相手が価値を感じるようにすることが求められます。今後は、より多くの成功事例を学び、効果的なフレーミングの工夫を積み重ねてみてください。また、日頃から相手の

課題に耳を傾け、適切なフレームを選択する力を磨くことで、より成果を上げられる営業パーソンへと成長していくでしょう。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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