四則演算の記号はなぜその形に?数学記号の由来をやさしく解説

こんにちは。ゆうせいです。

私たちは、学校で数学を学ぶときに「+(プラス)」「-(マイナス)」「×(かける)」「÷(わる)」といった記号を当たり前のように使い始めますよね。でも、なぜこの形の記号が選ばれたのか、不思議に思ったことはありませんか?

今回から数回にわたって、数学でよく使われる記号の由来について、やさしく・丁寧に解説していきます。

第1回目のテーマは、いちばん基本でありながら、実は奥深い「四則演算記号」の話です。


四則演算とは何か?

まずは前提として、「四則演算(しそくえんざん)」という言葉の意味を整理しましょう。

四則演算って何?

「四則演算」とは、次の4つの基本的な計算のことを指します。

演算記号読み方意味
加算プラス足し算
減算マイナス引き算
乗算×かける掛け算
除算÷わる割り算

「+」と「-」の記号はどこから来たのか?

H2:「+」「-」はいつから使われていたの?

最初に使われたのは、15世紀末のドイツ。
1489年、ドイツの数学者ヨハネス・ウィッドマンが商業算術の本の中で「+」「-」を登場させました。ただし、このときは加減の記号としてではなく、「超過」や「不足」という意味で使われていました。

その後、1514年にオランダの数学者が計算記号として使い始め、徐々にヨーロッパ全体へと広がっていきます。

なぜこの形になったのか?~代表的な2つの説~

(1)ラテン語の略字から派生

「+」はラテン語で「and(かつ)」を意味する「et」の略記が元になったという説があります。筆記体で「et」と書くと、ちょうど「+」のような形になります。

「-」は、同じくラテン語で「減少(minus)」の頭文字「m」が変化して線だけになったとも言われています。

(2)船乗りの水量管理から

昔の船乗りは、水面の高さを示すために「-」を描き、水が減るたびに横線を追加していきました。
そして、水を補給したときはその横線に縦線を加え、「+」として記録したそうです。

このエピソード、なかなか面白いですよね!


「×」の記号はどうしてバツ印なの?

「×」が誕生したのは17世紀のイギリス

「×」という記号を最初に使ったのは、1631年にイギリスの数学者ウィリアム・オートレッドです。彼は、著書『Clavis Mathematicae』の中で掛け算記号として使用しました。

「×」の形の由来は?

これは諸説あるのですが、オートレッドがキリスト教の十字架を斜めにしたものと考えていた、という話があります。

ただし、オートレッドより少し前に「×」を使っていたという説もあり、確かなことははっきりしていません。


「×」以外にもある?掛け算の記号

記号呼び名使用者・起源特徴
ドットライプニッツ(1698年)数学でよく使われる表記法
アスタリスクヨハン・ラーン(1659年)Excelなどプログラムでよく使用される

なぜ「×」は好まれなかった?

有名な数学者ライプニッツは、「×」の記号は文字のXと間違いやすいから使いたくない!と手紙に書いています。そのため、彼は「・」を好んで使っていたそうです。


「÷」は誰が作ったのか?

「÷」は意外と新しい記号

「÷」の記号が使われ始めたのは1659年。スイスのヨハン・ラーンが自身の代数学の本で使ったのが最初だと言われています。

ただし、記号そのものは「半分」を示すマークとして、それ以前から使われていたようです。

形の意味とは?

「÷」は、分子・分母を表す2つの点その間の横線がセットになったものと考えられています。つまり、分数の横書き版のようなものです。


割り算にもいろいろな記号がある?

割り算を表す記号は「÷」だけではありません!

記号説明使用例
コロン。比を表すのにも使う3:4 → 3対4、または3 ÷ 4
スラッシュ。分数の記号3/4 → 4分の3(または3 ÷ 4)

たとえば、Excelでは「÷」は使われず、「/」が使われていることも、実用的な知識ですね。


興味深い豆知識

昔の中国や日本の「算木(さんぎ)」

中国や日本で使われていた計算道具「算木」では、赤がプラス、黒がマイナスというルールがありました。現代の「赤字=マイナス」とは逆なんですね!

ローマ数字にも加減の概念が!

たとえば、「IV」は「5-1」、「VI」は「5+1」というように、記号の並び順で加減が表現されています。これも、数学記号の原点のようなものと言えるでしょう。


まとめ:記号にも歴史あり!

普段、当たり前のように使っている四則演算の記号たち。
実は、それぞれに長い歴史と工夫の跡があるのです。

記号は、ただのマークではなく、「使いやすさ」や「分かりやすさ」を追求して人々が試行錯誤した結果、生まれたものでした。

そして、「記号が一つの国で生まれ、それが世界に広がっていった背景」には、数学者同士の対立文化の違いまで影響しているんですね。


次回の予告と学びのヒント

次回は、「=(イコール)」の記号や、不等号(<、>)などの記号の起源について掘り下げていく予定です!

参考文献


それでは、次回もどうぞお楽しみに!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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