新人エンジニアの皆さんに向けて「確定拠出年金(DC)」を解説
こんにちは。ゆうせいです。
今日は「確定拠出年金(DC:Defined Contribution)」について、新人エンジニアの皆さんにわかりやすく解説します。この制度は将来のためにお金を積み立て、運用する仕組みです。特に「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は、節税効果も高いので、早めに仕組みを理解しておくと安心です。
確定拠出年金とは?
確定拠出年金(DC:Defined Contribution Plan) は、自分で毎月一定の金額を積み立て、運用しながら老後資金を準備する年金制度です。
運用結果によって将来受け取る金額が変わるため、「自分で作る年金」とも言われています。
確定拠出年金の種類
確定拠出年金には以下の2種類があります:
- 企業型確定拠出年金(企業型DC)
- 会社が制度を導入し、従業員が利用する年金制度。
- 会社が掛金を拠出し、従業員はその資金を運用します。
- 一部の企業では、従業員自身も追加で掛金を出せる「マッチング拠出」が可能。
- 個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)
- 自営業者や会社員など、個人が利用する年金制度。
- 自分で掛金を拠出して運用します。
新人エンジニアの皆さんにとっては、iDeCoが特に利用しやすい制度です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の特徴
1. 掛金を自分で決められる
- 毎月の掛金を一定範囲内で自由に設定できます。
- 掛金上限は以下のように決まっています:
- 会社員:月額12,000円〜23,000円(企業型DCがあるかによる)。
- 自営業者:月額68,000円。
2. 運用する商品を選べる
掛金は、自分で選んだ金融商品(例えば、投資信託や定期預金)で運用します。
- リスクが低い運用:定期預金や債券型投資信託。
- リスクが高い運用:株式型投資信託。
3. 税金の優遇がある
iDeCoは税制優遇が非常に大きいです。
- 掛金全額が所得控除:課税対象の所得が減るため、所得税・住民税が節約されます。
- 運用益が非課税:通常は運用益に約20%の税金がかかりますが、iDeCoでは非課税。
- 受け取るときも優遇:老後に受け取る際、一時金なら「退職所得控除」、年金形式なら「公的年金控除」が適用されます。
iDeCoの仕組みを具体例で理解
年収400万円のエンジニアが月額2万円を掛金とした場合:
- 節税効果
- 年間掛金:2万円 × 12ヶ月 = 24万円
- 所得税率:10%、住民税率:10%
- 節税額:
24万円 × (10% + 10%)= 4万8000円
- 年間で約4万8000円の節税ができます。
- 運用益が非課税
- 例えば、年利3%で運用した場合、運用益に通常課税される約20%が非課税となり、利益が大きくなります。
- 老後に受け取る
- 60歳以降に積立金と運用益を一時金や年金として受け取ります。
iDeCoを始めるメリット
1. 節税できる
掛金が全額所得控除の対象になるため、税金が大幅に減ります。特に収入が高い人ほど効果的です。
2. 老後資金を準備できる
自分で積み立てた資金を運用するため、将来の年金にプラスして老後資金を準備できます。
3. 運用益が非課税
通常の投資では運用益に約20%の税金がかかりますが、iDeCoではこれがかかりません。
iDeCoの注意点
1. 60歳まで引き出せない
iDeCoの資金は、老後のための年金として運用するため、原則60歳までは引き出せません。
→「すぐに使うお金」としては適していません。
2. 運用リスクがある
投資信託などを選んだ場合、運用結果によって元本割れする可能性があります。
→リスクを抑えるために、債券や定期預金を組み合わせることもできます。
3. 管理手数料がかかる
iDeCoの運用には、金融機関の手数料がかかります。手数料が安い金融機関を選ぶのがポイントです。
iDeCoの始め方
1. 金融機関を選ぶ
銀行や証券会社など、iDeCoを取り扱う金融機関を選びます。
- 手数料の安さや取り扱い商品を比較しましょう。
2. 申し込みをする
金融機関で口座を開設し、掛金額や運用商品を設定します。
3. 運用を開始
毎月の掛金が自動的に積み立てられ、運用が始まります。
iDeCoをエンジニアが利用するメリット
- 若いうちに始めると効果が大きい 運用期間が長いほど、複利の力で資金が増えやすくなります。早めに始めるのが有利です。
- 節税で手取りを増やせる 所得控除によって毎月の税負担が軽減され、手取り額を実質的に増やせます。
- 自分で老後の資金を管理できる エンジニアのキャリアは転職が多い傾向がありますが、iDeCoならどの会社にいても運用を続けられるので安心です。
主な改正ポイント
1. 掛金上限額の引き上げ
2025年1月から、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金上限額が月額7,000円引き上げられます。
具体的な上限額は以下のとおりです:
加入者区分 | 現行上限額(月額) | 改正後上限額(月額) |
---|---|---|
個人事業主(自営業者) | 68,000円 | 75,000円 |
企業年金のない会社員 | 23,000円 | 62,000円 |
企業年金のある会社員・公務員 | 20,000円 | 20,000円 |
※企業年金のある会社員・公務員の上限額は変更ありませんが、企業型DCとiDeCoを併用する場合の総拠出限度額が55,000円から62,000円に引き上げられます。
2. 加入可能年齢の引き上げ
iDeCoの加入可能年齢が、現行の65歳未満から70歳未満に引き上げられます。これにより、60歳以降も引き続き掛金を拠出し、資産形成期間を延長することが可能となります。
3. マッチング拠出の規制緩和
企業型DCにおけるマッチング拠出(従業員が自己資金を追加拠出する制度)について、これまでの「加入者の掛金が事業主掛金を超えない」という制限が廃止されます。従業員がより柔軟に掛金を設定できるようになります。
4. 受取時の退職所得控除の見直し
iDeCoや企業型DCの一時金受取時に適用される退職所得控除について、受取時期による控除額の調整が行われます。具体的には、他の退職一時金等を受け取った場合、10年以内に再度受け取る際の控除額が調整されます。受取時の税制優遇を最大限活用するための計画が一層重要となります。
改正の影響と活用方法
節税効果の向上
掛金上限額の引き上げにより、より多くの金額を所得控除の対象とすることができ、結果として所得税や住民税の負担を軽減できます。特に、企業年金のない会社員の上限額が大幅に増加するため、積極的な活用が期待されます。
資産形成期間の延長
加入可能年齢の引き上げにより、60歳以降もiDeCoへの加入・拠出が可能となります。
柔軟な掛金設定
マッチング拠出の規制緩和により、従業員自身が事業主掛金を上回る掛金を拠出できるようになります。
最後に
iDeCoは、税制優遇を活用して効率的に老後資金を準備できる便利な制度です。ただし、運用リスクや引き出しの制限があるため、生活費や短期的な貯蓄とは分けて考えることが重要です。
まずは、掛金の上限額や金融機関を調べてみて、少額から始めるのがおすすめです。将来の自分への投資として、ぜひ活用してみてください!
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投稿者プロフィール
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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