研修の集中力を奪う感情の仕組み:ネガティブ・アフェクトの理解と対策
こんにちは。ゆうせいです。
研修や業務の開始時に、参加者が不安や不満を抱えていると、提供する情報が正確に伝わらないことがあります。人間は特定の否定的な感情を抱いている際、情報を受け取る視野が狭くなり、特定の要素にしか注意が向かなくなる性質を持っています。本日は、心理学および行動経済学におけるネガティブ・アフェクトについて解説します。
ネガティブ・アフェクトとは何か
ネガティブ・アフェクトとは、怒り、悲しみ、不安、恐怖といった、人間が経験する不快な感情の総称を指します。対象に対して単に気分が沈んでいる状態にとどまらず、人間の注意力を特定の脅威や問題点に強く集中させ、思考の範囲を限定する機能を持っています。
高校生の定期テストを例に説明します。ある生徒が、1時間目の数学のテストで大きなミスをしてしまい、強い落ち込みと不安を感じている場面を想像してください。2時間目の英語の授業が始まっても、生徒の頭の中は数学の点数が悪かったらどうしようという不安に支配されています。英語の教師が重要な文法を説明していても、生徒の耳には入らず、ノートをとることもできません。否定的な感情が思考の枠組みを極端に狭め、目の前の新しい情報を受け入れられなくなる状態が、ネガティブ・アフェクトの機能に該当します。
否定的な感情を放置するデメリット
ネガティブ・アフェクトの機能を研修設計において考慮しなかった場合に生じる不利益を列挙します。
- 参加者が失敗への不安や業務への不満を抱えたまま進行することで、新しい知識の吸収が著しく阻害される
- 講師からの改善提案を自分への攻撃と捉えてしまい、防衛的な態度をとることで対話が成立しなくなる
- ひとりの参加者が発する強い不満や不安が他の参加者にも伝染し、グループ全体の学習意欲が低下する
ネガティブ・アフェクトの特性を把握するメリット
一方で、参加者の否定的な感情が持つ問題点に注意を向けるという特性を理解し、学習環境の整備に活用する利点を示します。
- 参加者が何に対して不安を感じているかを早期に把握することで、研修プログラムの進行速度や難易度を適切に修正できる
- リスク管理や安全確認といった、細かい問題点を発見する必要がある課題においては、適度な緊張感が集中力を高める要素として機能する
- 失敗に対する恐怖心をあらかじめ取り除く仕組みを設けることで、参加者が安心して課題に取り組める環境を構築できる
学習の阻害要因を取り除くためのステップ
ネガティブ・アフェクトによる思考の狭窄を防ぎ、参加者の学習を支援するためには、以下の手順でプログラムの導入部分や進行を調整する手法が有効です。
1. 参加者の心理的負担を予測する
研修のテーマや事前課題が、参加者にとってどのような不安やプレッシャーを与えるかを事前に書き出します。
2. 感情を安全に表出させる機会を設ける
研修の序盤で、現在の業務における悩みや課題に対する不安を、少人数のグループで共有する時間を確保し、感情を溜め込ませないようにします。
3. 課題の難易度を細分化する
一度に高い目標を提示して圧倒させるのを防ぐため、小さな作業単位に分割して提示し、失敗への恐怖心を軽減します。
4. 改善のための評価基準を明確にする
フィードバックを行う際は、個人の能力を評価するのではなく、手順や行動という客観的な対象に絞って指摘を行い、参加者が防衛的な態度をとる状況を防ぎます。
研修を実施する際、まずは参加者が抱えている不安要素を書き出し、参加者の心理的な負担を軽減する手順から進めてください。否定的な感情の働きを適切に管理することで、新しい知識の習得を阻害しない環境の構築が可能になります。
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。

