研修効果を高める「身体的認知」とは:身体と環境が思考に与える影響

こんにちは。ゆうせいです。

研修や業務において、参加者の集中力が続かなかったり、新しいアイデアが出にくかったりする状況に直面することがあります。人間の思考プロセスは、脳の中だけで完結しているわけではなく、身体の動きや周囲の物理的な環境から大きな影響を受けています。今回は、心理学および認知科学の概念である身体的認知について解説します。

身体的認知とは何か

身体的認知とは、人間の思考や判断、感情といった認知プロセスが、身体の感覚や運動システムと密接に結びついて機能しているという考え方を指します。

高校生の文化祭の企画会議を例に挙げます。会議中、温かいココアの入った紙コップを握りながら他の生徒の意見を聞いている場面と、冷たいジュースの缶を握っている場面を想像してください。心理学の実験によれば、人間は温かい飲み物を手にしているときの方が、対面している相手の性格を温厚で親切だと評価しやすくなります。

また、重みのあるクリップボードに挟まれた書類を読むときと、軽い下敷きに挟まれた書類を読むときでは、前者の方が書類の内容を重要視しやすくなる傾向があります。温度や重さといった物理的な感覚が、無意識のうちに人間の判断基準を形成している状態が、身体的認知に該当します。

身体的認知の影響と理解する利点

身体的認知の仕組みを考慮せずに研修や業務の環境を設定した場合に生じる不利益を列挙します。

  • 長時間同じ姿勢で椅子に座り続けることで、参加者の思考が硬直化し、多角的な視点を持つことが困難になる
  • 会議室の温度設定が不適切な場合、参加者の対象に対する評価やコミュニケーションの質が低下する
  • 単一の姿勢で単調な説明を聞き続けることにより、学習内容の定着率が低下する

一方で、身体的認知の概念を研修や業務の設計に組み込む利点を示します。

  • ワークショップ中に立ち上がって移動する動作を取り入れることで、参加者の柔軟な思考を促進できる
  • 研修資料を重みのある紙で配布し、参加者に内容の重要性を感覚的に伝えられる
  • 適切な室温の維持や温かい飲み物の提供を通じて、参加者同士の好意的なコミュニケーションを誘発できる

身体感覚を活用して学習効果を高めるステップ

身体的認知の概念を応用し、学習や業務の効果を向上させるためには、以下の手順で環境やプログラムを調整する手法が有効です。

  1. 身体感覚の要素を洗い出す参加者がどのような姿勢で、どのような物理的感覚を受けながら時間を過ごすかを確認します。椅子の仕様、室温、配布する資料の手触りや重さなどを書き出します。
  2. プログラムに身体的な動きを組み込む座学のみで進行する構成を避け、定期的に立ち上がってホワイトボードに意見を書き出す、別のグループの席へ移動するなどの動作を予定に組み入れます。
  3. 物理的な環境変数を調整する活発な対話を促したい場合は温かい飲み物を用意する、重要な決定事項を提示する際は厚手の紙に印刷して配布するなど、目的を満たすための工夫を環境に取り入れます。
  4. 参加者の反応を記録する実施した環境調整や動作の導入が、参加者の発言量や学習の進捗にどのような影響を与えたかを記録し、次回のプログラム設計に反映させます。

人間の認知プロセスは、身体が受け取る物理的な感覚と連動しています。まずは、次に行う会議や学習の場において、参加者が立ち上がって付箋を壁に貼る手順を一つ追加するところから始めてください。身体の動きや環境の調整を計画的に行うことで、思考の質を向上させることが可能になります。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。