行動経済学における自制バイアスの仕組み:誘惑に負ける理由と環境づくりの手順

こんにちは。ゆうせいです。

研修の受講者が学習計画を立てても、途中で他の業務や娯楽に気を取られて学習が続かないことがあります。人間の意志の強さを見誤る心理的な傾向について解説します。今回は、行動経済学の概念である自制バイアスを取り上げます。

自制バイアスとは何か

自制バイアスとは、人間が自身の衝動や欲求をコントロールする能力を、実際よりも高く見積もってしまう心理的な傾向を指します。

高校生の定期テストの試験勉強を例に挙げます。机の上にスマートフォンを置いたまま勉強を始める際、学生は「メッセージの通知が来ても、見ないように我慢できる」と考えます。しかし、一度画面が光って通知音が鳴ると、気になってしまいSNSを開き、結果として長時間を浪費してしまいます。自分自身の欲求を抑え込む能力を過大評価し、誘惑のすぐ近くに身を置いてしまう状態が自制バイアスに該当します。

自制バイアスの影響と理解する利点

自制バイアスに対策を講じなかった場合に生じる不利益を列挙します。

  • 資格試験の勉強や業務スキルの習得など、長期的な目標の達成が困難になる
  • 誘惑に負けて作業を中断する経験を繰り返すことで、学習者の自己評価が低下する
  • 研修期間中に設定した課題の提出期限を守れない受講者が増加する

一方で、自制バイアスという人間の心理的な傾向を理解し、研修や業務の設計に対策を組み込む利点を示します。

  • 学習者の意志の力に頼らず、学習に集中するための物理的な環境を設計できる
  • 研修受講者が課題に取り組みやすい仕組みを提供し、課題の完了率を向上させられる
  • 誘惑を排除する手順をチーム内で共有することで、業務全体の生産性が向上する

誘惑を遮断し目標を達成するためのステップ

自制バイアスの影響を防ぎ、設定した目標に向かって行動を継続するためには、以下の手順で環境を整える手法が有効です。

  1. 阻害要因を特定する学習や業務の進行を妨げる具体的な対象を列挙します。スマートフォン、業務に関係のないウェブサイト、周囲の雑音などを書き出します。
  2. 物理的な距離を置く列挙した阻害要因を、手の届かない場所や視界に入らない場所へ移動させます。スマートフォンを別の部屋に置く、特定のウェブサイトへの接続を一時的に制限するアプリケーションを導入するなどの手段をとります。
  3. 誘惑のない環境で作業を開始する阻害要因を排除した状態で、設定した学習や業務の作業に取り掛かります。
  4. 環境の有効性を確認する作業終了後、集中力を維持できた時間を記録し、環境設定の有効性を確認します。途中で集中が途切れた場合は、新たな阻害要因がなかったかを確認し、特定の手順から再度見直しを行います。

まずは、次に行う30分の作業において、最も視界に入りやすい誘惑を一つだけ別の部屋に移動させる手順から始めてください。人間の心理的な偏りを認識し、環境の調整で補うことで、安定した学習の継続が可能になります。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。