金融機関が倒産したらどうなる?銀行・保険・証券のセーフティネット徹底比較
こんにちは。ゆうせいです。
新人エンジニアのみなさん、システムの設計で最も大切なことの一つは何でしょうか?そう、「冗長化」や「バックアップ」ですよね。サーバーが1台ダウンしても、サービスが止まらないように予備を用意しておく。これはエンジニアの常識です。
では、あなたの大切なお金を預けている「金融機関」がダウン(破綻)してしまったら、どうなるのでしょうか?
「銀行なら大丈夫でしょ?」
「保険会社が潰れるなんてあるの?」
そう思うかもしれませんが、過去には実際に大手金融機関が破綻した事例があります。そんなときのために、金融業界にも「セーフティネット(安全網)」というバックアップシステムが用意されています。
今回は、銀行、生命保険、損害保険、証券会社の4つの業界について、もしもの時にどれくらいお金が戻ってくるのか、その「補償割合」と仕組みを解説します。自分のお金を守るための防御壁、しっかり確認しておきましょう。
1. 銀行が破綻した場合
まずは一番身近な「銀行」からです。給与振込や貯金で使っていますよね。
制度名:預金保険制度
銀行が破綻した場合、「ペイオフ」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、預金保険機構という組織が私たちのお金を守ってくれる仕組みです。
補償される範囲
ここでのキーワードは「1,000万円」です。
1つの金融機関につき、預金者1人あたり「元本1,000万円まで」と、その利息が全額保護されます。
もし、あなたがA銀行に3,000万円預けていたとします。A銀行が破綻すると、戻ってくるのは1,000万円とその利息だけ。残りの2,000万円は、銀行に残った財産状況に応じてカットされる(戻ってこない)可能性があります。
戻ってくる金額 1,000万円 その利息
そのため、資産が1,000万円を超える場合は、複数の銀行に分けて預ける(分散管理する)のが、エンジニア的なリスク分散になります。
2. 生命保険会社が破綻した場合
次は、死亡保険や医療保険を扱う「生命保険会社」です。
制度名:生命保険契約者保護機構
ここから少し話が複雑になります。銀行はお金を「預かる」場所ですが、保険は「将来のリスクに備える」場所だからです。
補償される範囲
補償割合は「責任準備金の90%」です。
ここで注意してほしい専門用語が「責任準備金」です。これは、あなたが契約している「保険金額(例:死亡したら3,000万円)」のことではありません。
責任準備金とは、保険会社が将来の支払いに備えて積み立てておくべきお金のことです。一般的に、解約したときに戻ってくるお金(解約返戻金)に近いイメージですが、イコールではありません。
もし破綻すると、保険契約そのものは別の会社に引き継がれますが、この責任準備金が90%に削減されます。
結果としてどうなるかというと、将来受け取る年金や、満期のお金、そして死亡時の保険金などが、当初の約束より減ってしまうことになります。
受取額のイメージ 本来の金額 0.9
「全額は保証されない」という点を覚えておきましょう。
3. 損害保険会社が破綻した場合
続いて、自動車保険や火災保険などの「損害保険会社」です。実はここが一番種類が細かく分かれています。
制度名:損害保険契約者保護機構
損害保険は、その保険が「強制的」なものか、「任意」のものかによって守られ方が違います。
補償される範囲
大きく分けて2つのパターンがあります。
パターンA:100%補償されるもの(鉄壁の守り)
自賠責保険(車検の時に必ず入る保険)や、地震保険など、国が関与している公共性の高い保険は、破綻しても100%全額が補償されます。ここは安心してください。
パターンB:削減される可能性があるもの
任意の自動車保険、火災保険、傷害保険などは、破綻してから3ヶ月以内に起きた事故なら100%補償されますが、それ以降は「80%から90%」に削減されます。
- 短期の保険(自動車保険など):破綻後3ヶ月経過後は90%補償
- 長期の積立保険(積立型火災保険など):80%補償
自動車保険や火災保険などは、すぐに別の会社に切り替えればリスクを回避できますが、積立タイプの場合は貯めていたお金が減ってしまうリスク(2割カット)があります。
4. 証券会社が破綻した場合
最後は、株や投資信託を買う「証券会社」です。NISAなどで利用している人も多いでしょう。
制度名:日本投資者保護基金
証券会社には、銀行や保険とは全く違う「分別管理(ぶんべつかんり)」という大原則があります。
これは、会社のお金(自社資産)と、お客さんのお金(顧客資産)を、財布を物理的に分けて管理しなさい、という厳しいルールです。
補償される範囲
原則として、証券会社が潰れても、あなたの株や投資信託は無傷で戻ってきます。なぜなら、それらは証券会社の金庫にあるのではなく、信託銀行などで分別管理されているからです。
しかし、もし証券会社がこのルールを破って、お客さんのお金を勝手に使い込んで破綻してしまった場合はどうなるでしょうか?
この場合のみ、「日本投資者保護基金」が登場し、1人あたり「1,000万円」まで補償してくれます。
補償上限額 1,000万円
つまり、ルール通り運営されていれば全額戻ってくるし、最悪の不正があっても1,000万円までは守られる、という二段構えになっています。
まとめ:エンジニアとしての対策
4つの業界のセーフティネットを比較してみました。
- 銀行: 元本1,000万円まで保証。
- 生命保険: 責任準備金の90%まで(保険金が減る可能性あり)。
- 損害保険: 種類により80%から100%(自賠責は安心)。
- 証券会社: 分別管理なら全額、不正があっても1,000万円まで。
こうして見ると、どの金融機関も「絶対に100%元通りになる」わけではないことが分かりますね。
システム開発において、AWSとAzureを使い分けたり、リージョン(地域)を分散させたりするように、資産管理においても「1つのカゴにすべての卵を入れない」ことが最強の防災対策です。
まずは、自分の持っている口座や保険がどのセーフティネットに対応しているか、ざっくりと確認することから始めてみませんか?