Javaにおける「情報隠蔽」と「データ隠ぺい」の違いをわかりやすく解説!
こんにちは。ゆうせいです。
今回はJava初心者の方が混乱しがちな「情報隠蔽(Information Hiding)」と「データ隠ぺい(Data Hiding)」の違いについて、丁寧に説明していきます。
似たような言葉ですが、実はそれぞれ目的や使われる場面が少し異なるんです。高校生でもわかるように例え話を交えながら、理解を深めていきましょう!
情報隠蔽とデータ隠ぺいはどう違うのか?
情報隠蔽(Information Hiding)とは?
情報隠蔽は、「使う側に不要な内部の仕組みを見せないようにする」設計の考え方です。
例えて言うと…
電子レンジを想像してみてください。ボタンを押せば温まりますが、中の電子制御回路がどうなっているかなんて知らなくても使えますよね?
これと同じで、利用者が知らなくてもよい情報(内部構造や処理の詳細)を隠すのが「情報隠蔽」です。
Javaでの具体例
public class BankAccount {
private int balance;
public void deposit(int amount) {
balance += amount;
}
public boolean withdraw(int amount) {
if (balance >= amount) {
balance -= amount;
return true;
}
return false;
}
}
このクラスでは、balance
(残高)の具体的な操作方法や管理方法は外部から見えません。それが「情報隠蔽」です。
データ隠ぺい(Data Hiding)とは?
データ隠ぺいは、「データそのものに外部から直接アクセスできないようにする」具体的な実装テクニックです。
またまた例えると…
教室の鍵付きロッカーに大切なノートを入れておいて、先生だけが開けられるようにしているようなもの。ノート自体は見えません。
Javaでは主にprivate
修飾子を使って、直接的なアクセスを禁止します。
Javaでの具体例
public class Student {
private String name; // 外部からは直接アクセス不可
public String getName() {
return name;
}
public void setName(String name) {
// 例えばここにバリデーションも書ける
this.name = name;
}
}
この例では、name
というフィールドはデータ隠ぺいされていて、外部からは勝手に値を読み書きできません。
2つの違いをまとめると?
観点 | 情報隠蔽(Information Hiding) | データ隠ぺい(Data Hiding) |
---|---|---|
意味 | 内部の構造や処理の詳細を隠す設計原則 | データ自体へのアクセスを制限する実装 |
目的 | モジュール間の独立性を高める | 不正アクセスやミスを防ぐ |
使用例 | API設計やクラス構造の設計全体 | private 、getter/setter の利用 |
役割 | 設計レベルの考え方 | 実装レベルの技術 |
よくある勘違いに注意!
- 「情報隠蔽=
private
を使うこと」ではない!
→private
はあくまでデータ隠ぺいの手段の一つです。 - 「情報隠蔽」は設計方針、「データ隠ぺい」は具体的な実装
→ この区別が大事です!
なぜこの2つが大事なのか?
初心者のうちは「外部から触れた方が便利じゃない?」と思うかもしれません。
しかし、直接アクセスできると、後から修正がしにくくなる、バグが生まれやすくなるなどの問題が発生しやすくなります。
特にチーム開発では、インターフェースだけを公開して、中身は自由に変えられるようにするのが理想です。これが情報隠蔽の力です!
今後の学習の指針
- オブジェクト指向の「カプセル化(Encapsulation)」も合わせて学んでみましょう!
→ カプセル化は「情報隠蔽」と「データ隠ぺい」を両方内包する考え方です。 - インターフェースや抽象クラスの使い方も学ぶと、情報隠蔽の理解がより深まります。
- 実際に小さなクラスを作って、
private
・public
・getter/setter
の使い分けを実践してみましょう!
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