VGGの名前の由来と小さな畳み込みフィルターによる画像認識の仕組みを初心者向けに解説
こんにちは。ゆうせいです。
画像認識の分野では、コンピュータに写真の対象物を判別させるために畳み込みニューラルネットワーク(CNN)という技術が広く使われています。層を深く積み重ねることで認識精度が向上することが知られていますが、初期のモデルでは層を増やす際の設計基準が定まっていませんでした。その課題に対して、単純で統一的な構造を持ち込み、画像分類コンペティションで成果を収めた代表的なモデルがVGGです。今回は、VGGという名称の由来や構造の仕組み、長所と短所について解説します。
VGGという名称の由来
VGGは、このモデルを開発したイギリスの名門オックスフォード大学の研究グループである、Visual Geometry Group(ビジュアル・ジオメトリー・グループ)の頭文字をとった名称です。
研究チームの名称がそのままニューラルネットワークの構造を指す言葉として定着しました。2014年に開催された世界的な画像認識コンペティションであるILSVRCにおいて、開発元の研究室名であるVGGを冠したモデルが好成績を収めたことから、この名前で広く呼ばれるようになりました。
大きなレンズと小さなレンズの比喩で理解する
VGGの設計思想を理解するために、写真の鑑定作業を例に考えてみます。
初期のネットワーク構造では、1枚の写真から大まかな特徴を捉えるために、視野の広い大きな拡大レンズを1枚使って鑑定していました。しかし、大きな拡大レンズは部品としての構造が複雑であり、細部の細かな模様を見落としやすい性質がありました。
これに対してVGGは、視野の狭い小さな拡大レンズを2枚または3枚と順番に重ねて覗き込む手法を採用しました。小さなレンズを複数枚重ねることで、大きなレンズ1枚と同じ広さの範囲を見渡しながら、各レンズの間で「色合いの補正」や「輪郭の強調」といった加工を複数回挟むことができます。全体の部品点数を抑えつつ、より細やかな特徴の判定を可能にする設計です。
3×3フィルターの連続適用と受容野の計算
VGGの最大の特徴は、畳み込み処理に使用するフィルターのサイズを、最小構成に近い3×3画素に統一した点です。
受容野の等価性
出力層の1つの数値が入力画像のどれだけの広さを参照しているかを示す範囲を受容野と呼びます。
サイズ3×3の畳み込み層を2回連続で適用すると、受容野の広さはサイズ5×5の畳み込み層1回分と同じになります。同様に、サイズ3×3の畳み込み層を3回連続で適用すると、サイズ7×7の畳み込み層1回分と同じ広さをカバーできます。
畳み込み層を重ねた場合の有効受容野の計算式
数式内の r_k は第 k 層における受容野のサイズを表し、f_k は第 k 層のフィルターサイズ、s_{k-1} はそれまでの層におけるストライドの累積値を表します。
パラメータ数の削減
3×3フィルターを3層重ねる構成と、7×7フィルターを1層置く構成を比較した場合、重みパラメータの総数は大幅に削減されます。入力と出力のチャンネル数をともに C と置いた場合、パラメータ数は次のような差になります。
7×7フィルター1層のパラメータ数
3×3フィルター3層のパラメータ数
受容野の広さを同等に保ちながら、パラメータ数を約55パーセントに抑えられます。各層の間に非線形活性化関数であるReLUを挟む回数が増えるため、より表現力の高い特徴変換が可能になります。
VGGのメリット
VGGを採用することによって確認されている具体的な長所には、以下の項目が挙げられます。
- 構造の単純さと統一性:すべての畳み込み層で3×3フィルターとストライド1を採用し、プーリング層で解像度を半分にするという一貫した規則で設計されているため、構造の理解やプログラムでの再現が容易です。
- 高い特徴抽出能力:小さなフィルターを何層も積み重ねることで非線形変換の回数が増え、複雑な画像パターンを捉える能力が向上しています。
- 汎用的な転移学習への適合性:大規模な画像データセットで学習済みのVGGの重みは、他の画像認識タスクや画風変換、物体検出などの別用途へ特徴抽出器として転用しやすい性質を備えています。
VGGのデメリット
一方で、VGGを運用する際には以下のような短所も確認されています。
- 全体パラメータ数の肥大化:畳み込み層の後ろに配置されている全結合層のノード数が多く、モデル全体で約1億3800万個(VGG16の場合)ものパラメータを抱えるため、モデルファイルのサイズが500メガバイトを超えます。
- 計算負荷とメモリ消費の大きさ:画像1枚を推論する際に行われる乗加算処理の回数が多く、学習時および推論時に大量のGPUメモリと計算時間を要します。
- 勾配消失による層の限界:スキップ接続などの補助経路を持たない単純な積層型ネットワークであるため、層の数を16層や19層以上に増やすと学習が停滞し、それ以上の深層化が困難になります。
まとめと次の学習ステップ
VGGは、開発元であるオックスフォード大学の研究グループ「Visual Geometry Group」の名称に由来して命名されました。3×3の小さな畳み込みフィルターを規則的に積み重ねる設計によって、以後の深層学習モデルにおけるフィルター設計の標準的な指標を確立しました。
VGGの理解を深めるための学習ステップは以下の通りです。
- 畳み込み演算におけるフィルターサイズ、ストライド、パディングの幾何学的な関係性を計算ドリル形式で確認する。
- 代表的なモデルであるVGG16とVGG19の層構成表を比較し、どのブロックに何枚の畳み込み層が追加されているのかを把握する。
- 途中の全結合層を省いてパラメータ数を削減したGoogLeNet(Inception構造)との設計思想の違いを比較する。
- VGGが直面した層の深さの限界を、スキップ接続によって突破したResNetの仕組みへと学習を進める。
フィルターの重ね合わせと受容野の広がりに関する規則を理解しておくことで、近年のコンピュータビジョンで用いられる最新のバックボーンネットワークの挙動も明確に把握できるようになります。
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。
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