カスタマージャーニーとは?
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを購入するまで、そして購入後に至るまでの一連のプロセスを指す概念です。もっと具体的に言うと、顧客がブランドや企業と接点を持つすべての瞬間のことを「ジャーニー(旅)」に例えています。お店に入る、ウェブサイトを見る、広告を目にする、商品のレビューを読むといった様々な行動が含まれます。
例えば、スマートフォンを買いたいと考えた時、いきなりお店に行って購入することは少ないですよね。まずはネットで調べたり、友人に聞いたり、口コミを確認したりします。この一連の流れがカスタマージャーニーです。
カスタマージャーニーの主なステージ
一般的にカスタマージャーニーは以下のステージで構成されます。
- 認知(Awareness)
最初のステージです。顧客が自分の問題やニーズに気づき、それを解決するために何かしらの製品やサービスを探し始めます。例えば、スマートフォンが壊れた時、まず「新しいスマホが必要だな」と考え始める瞬間です。 - 検討(Consideration)
次に、顧客は複数の選択肢を比較します。スマホであれば、AppleやSamsungなどのブランドを調べ、それぞれの特徴や価格を比較する段階です。 - 購入(Purchase)
最終的に、顧客は一つの製品やサービスを選んで購入します。この時、オンラインストアで注文する場合もあれば、実店舗で実物を確認してから購入する場合もあります。 - 導入・利用(Adoption)
購入後、製品を実際に使用する段階です。例えば、新しいスマホを設定したり、アプリをインストールしたりして使い始める段階ですね。 - ロイヤルティ(Loyalty)
製品やサービスに満足すると、再度購入したり、そのブランドを友人に勧めるなど、ブランドに対して忠誠心を持つようになります。長く使い続けることで、さらに信頼を築くことができます。
カスタマージャーニーマップ
このカスタマージャーニーを視覚化したものを「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。これは、顧客がどのような体験をしているのかを把握し、企業がその体験をより良くするための手がかりを得るためのツールです。
カスタマージャーニーマップの例
ステージ | 顧客の行動 | 顧客の気持ち | タッチポイント(接点) |
---|---|---|---|
認知 | 広告を見て製品を知る | 「何か良さそうな商品だ」 | SNS広告、テレビCM |
検討 | ウェブサイトで詳細を調べ、口コミを確認する | 「他の商品とどう違うのかな?」 | オンラインレビューサイト、ブランド公式サイト |
購入 | 実店舗で実物を確認し、オンラインで購入 | 「よし、これにしよう!」 | オンラインストア、実店舗 |
導入・利用 | 製品を設定して使い始める | 「使いやすいけど、少しわからない部分もある」 | ヘルプデスク、製品マニュアル |
ロイヤルティ | 友人に製品を勧め、再度同じブランドを購入する | 「このブランドは信頼できる!」 | SNSでのシェア、メンバーシップ特典 |
カスタマージャーニーマップは、顧客がどの時点で問題を感じ、どの時点で満足するのかを可視化し、改善点を発見する手助けをしてくれます。
カスタマージャーニーのメリット
企業にとってカスタマージャーニーを理解することには多くのメリットがあります。具体的には以下のようなものがあります。
- 顧客満足度の向上
顧客の期待に応じたタイミングで適切な情報やサポートを提供することで、顧客満足度が向上します。例えば、製品の使用方法をわかりやすく解説したチュートリアルを提供することで、顧客の利用体験が向上します。 - リピート購入の促進
顧客のニーズや関心を理解して、次に必要となる製品やサービスを提案できるため、リピート購入を促しやすくなります。 - 効率的なマーケティング
各ステージに合わせたマーケティング施策を行うことで、無駄な広告費を削減し、効率的に顧客をターゲットできます。例えば、検討段階の顧客には製品の比較情報を、購入直前の顧客には割引クーポンを提供するなどです。
カスタマージャーニーのデメリット
一方で、カスタマージャーニーを活用する際にはデメリットや課題もあります。
- 複雑すぎる場合がある
顧客によってジャーニーが異なるため、全てのパターンを把握するのは難しい場合があります。特に、オンラインとオフラインの複数のタッチポイントが絡む場合は、その把握がより一層困難になります。 - 常に変化する顧客ニーズに対応が必要
顧客のニーズやトレンドは常に変化します。そのため、一度作成したカスタマージャーニーマップを定期的に見直し、最新の顧客行動に合わせて改善していく必要があります。
今後の学習の指針
カスタマージャーニーを深く理解するためには、まず自分自身の購買体験を振り返ってみると良いでしょう。何かを購入した時に、どのような情報を得たか、どのタイミングで決断したかなどを思い出してみてください。さらに、実際のカスタマージャーニーマップをいくつか作成してみると、顧客の視点に立って考える力がついてきますよ。
次のステップとして、具体的なマーケティング施策や改善方法を学ぶことで、顧客体験の最適化についても理解を深めていけるでしょう。
投稿者プロフィール
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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