システム開発プロジェクトのリスクマネジメント – 失敗を防ぐための実践ガイド

こんにちは。ゆうせいです。
システム開発プロジェクトは、スケジュールの遅延・コスト超過・品質問題 など、さまざまなリスクと隣り合わせです。

「要件がどんどん増えて納期が守れない…」
「開発途中で仕様変更が頻発して混乱…」
「テスト段階で重大なバグが発覚…」

こんな経験はありませんか?
今回は、システム開発におけるリスクマネジメント のポイントを解説します!
適切なリスク管理を行い、プロジェクトを成功に導きましょう。


1. システム開発における代表的なリスク

システム開発では、「計画」「開発」「運用」 の各フェーズで異なるリスクが発生します。
それぞれのフェーズごとに、代表的なリスクを見ていきましょう。

フェーズ主なリスク
要件定義・要求の不明確さ ・スコープの拡大(スコープクリープ) ・ステークホルダー間の意見対立
設計・開発・仕様変更が頻発 ・技術的負債の増加 ・開発メンバーのスキル不足
テスト・検証・不十分なテスト計画 ・バグの検出遅れ ・テスト環境の不足
運用・保守・障害対応の遅れ ・セキュリティリスク ・パフォーマンス問題

2. リスクマネジメントのプロセス

システム開発におけるリスク管理は、以下の4つのステップで進めます。

① リスクの特定(リスク・アイデンティフィケーション)

まずは、どのようなリスクが存在するのかを洗い出す ことが重要です。
以下の手法を活用すると、漏れなくリスクを抽出できます。

✔ 活用できるファシリテーション手法
ブレインストーミング(Brainstorming)

  • 開発チーム全員でリスクを洗い出す

ワールドカフェ(World Café)

  • 各チームごとに異なる視点からリスクを議論

KJ法(Affinity Diagram)

  • 似たリスクをグループ化し、整理する

② リスクの評価(リスク・アセスメント)

特定したリスクを、どれくらい深刻か? どのくらいの確率で発生するか? の観点で評価します。

✔ 活用できる評価手法
リスクマトリックス(Risk Matrix)

  • 「発生確率 × 影響度」 でリスクを分類
  • 高リスク(重大 & 発生確率高)→ 最優先で対策
  • 低リスク(影響小 & 発生確率低)→ 監視のみ

リスクマトリックスの例

低(1)中(2)高(3)
低(1)監視監視低優先
中(2)監視中優先高優先
高(3)低優先高優先クリティカル

リスクスコアリング

  • 各リスクに 影響度(1~5)× 発生確率(1~5)= 総合リスクスコア をつけ、優先順位を決定

リスク登録簿(Risk Register)

  • すべてのリスクを一覧表にまとめ、「担当者」「対策」「期限」 を明確にする

③ リスク対応策の決定(リスク・レスポンス)

リスクの評価が終わったら、次は具体的な対応策 を決めます。
対応策には、以下の4つのパターンがあります。

対応戦略説明
回避(Avoid)リスクを発生させない仕様が不明確なら、開発前にPoC(試作)を実施
軽減(Mitigate)影響を減らすコードレビューを増やし、品質リスクを軽減
転嫁(Transfer)他者にリスクを移すクラウドサービスを利用し、インフラ管理リスクを外部へ
受容(Accept)リスクを許容する影響が小さいなら、そのまま進める

✔ ファシリテーションを活用した対策決定手法
バックキャスティング(Backcasting)

  • 「問題が解決された未来」を想定し、そこに至るプロセスを逆算する

意思決定マトリックス(Decision Matrix)

  • 「コスト」「実行可能性」「影響度」の3軸で対策を評価し、最適なものを選ぶ

④ リスクの監視と管理(リスク・モニタリング)

リスク対策を実行した後も、継続的に監視し、新たなリスクが発生しないか確認します。

✔ 効果的なリスク監視の方法
定期的なリスクレビュー

  • 週1回 のリスク確認ミーティングを実施
  • 進捗状況を「リスク登録簿」に記録

KPIの設定

  • 「リスク件数の推移」「対応策の完了率」 などの指標を設定し、効果を測定

事後分析(Post-mortem Analysis)

  • トラブルが発生した場合、「何が原因だったか?」「次回どう防ぐか?」 を議論し、ナレッジとして蓄積

まとめ

システム開発プロジェクトでは、リスクを管理しなければ、納期遅延・コスト増加・品質低下につながります。
そのため、以下のプロセスを徹底しましょう!

① リスクの特定 → ブレスト・KJ法で洗い出し
② リスクの評価 → リスクマトリックスで優先順位付け
③ 対応策の決定 → バックキャスティング・意思決定マトリックスを活用
④ 監視と管理 → 定期的なリスクレビューとKPI測定

これらを実践することで、システム開発の失敗リスクを最小限に抑え、プロジェクト成功率を高めることができます!
あなたのプロジェクトにも、ぜひ取り入れてみてください!

セイ・コンサルティング・グループではシステム開発のリスクマネジメント対策として「失敗しないプロジェクトのためのリスク先読み力」研修を提供しています。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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