「なぜ長いメソッドはダメなのか?」新人エンジニアのためのメソッド分割ガイド

こんにちは。ゆうせいです。

今回は「メソッドが長くなるとなぜ良くないのか?」というテーマでお話しします。

新人の方にとって、「とりあえず動けばいいから、ひとつのメソッドにまとめちゃおう!」と思ったこと、ありませんか?

でも、それが将来の自分やチームを苦しめることになるかもしれません…。


長いメソッドが引き起こす問題とは?

問題1:読みづらい・理解しづらい

長いメソッドは「小説の一文が10ページある」ようなもの。読むのも大変、どこに何が書いてあるのかも見つけにくいですよね。

  • 何をしているのか一目でわからない
  • 一部を直すと全体に影響してしまう

まるでスパゲッティみたいに、ぐちゃぐちゃのコードになってしまいます。


問題2:再利用ができない

例えば「日付のフォーマットを整える処理」が、長いメソッドの真ん中に書かれていたら…
それを別の場所で使いたくなったとき、またコピペしないといけません。

コードを再利用できないというのは、同じバグが複数箇所に発生するリスクにもなります。


問題3:テストが難しい

小さな単位のメソッドなら、「この処理はこう動く」と確かめる単体テストが簡単に書けます。

でも、処理がたくさん詰め込まれていると、どこが悪いのか特定できない
「黒い箱」を相手にしているような気分になります。


メソッドを分割すると、どう良くなる?

メリット1:読みやすくなる!

分割されたメソッドには名前が付きます。名前を見れば、処理の内容が一目でわかるようになります。

public void processOrder() {
    calculateDiscount();
    applyCoupon();
    sendConfirmationEmail();
}

この3つの処理が、メソッドの中にそのまま書かれていたら? もう読むだけで疲れてしまいますよね。


メリット2:バグを見つけやすい!

小さく分けておけば、「どの処理がバグってるか」がすぐに分かります。

  • エラーが起きたら、まずメソッド単位でログを確認
  • 特定のメソッドだけをテストできる

バグ修正にかかる時間が圧倒的に減ります!


メリット3:テストしやすい!

テストコードは「処理を確認するためのチェックリスト」。メソッドを小さくしておくと、テストもしやすく、漏れも防げるんです。

@Test
public void testCalculateDiscount() {
    // 割引計算の単体テストがしやすい!
}


「長い」とはどれくらい?

基準は“1画面以内”または“1つの責務”

  • 20~30行以内
  • 1つのメソッドが「1つのこと」だけをする

これが目安です。英語では「Single Responsibility Principle(単一責任の原則)」と呼ばれる大事な考え方です。


分割の実践例

例:注文処理のメソッド

Before(悪い例):

public void processOrder() {
    // 顧客情報チェック
    // 割引計算
    // クーポン適用
    // メール送信
    // 在庫減らす
    // 売上記録
}

After(良い例):

public void processOrder() {
    validateCustomer();
    calculateDiscount();
    applyCoupon();
    sendEmail();
    updateStock();
    recordSales();
}

処理のまとまりごとにメソッドを分けると、見通しが格段によくなります。


まとめ表

メソッドの長さ問題点解決法
長すぎる読みにくい、バグが出やすい、再利用できない処理ごとにメソッドを分ける
適切な長さ読みやすい、テストしやすい、保守しやすい名前付きで責務ごとにメソッド化

最後にひとこと

「処理のまとまりごとにメソッドを分ける」という考え方は、今後のプログラミングでもずっと役立ちます。

もし、「これは何の処理だっけ?」と自分で読んでいて迷ったら、それは分割のチャンスです!


次のステップとしては、以下のことも勉強してみてください。

  • リファクタリングの手法(Martin Fowlerの書籍がおすすめ)
  • 命名の技術(分割したメソッドに良い名前をつける)
  • DRY原則(Don't Repeat Yourself)

これらを新人エンジニア時代から意識できるようになると、プロとしてのコードの質が一段階アップしますよ!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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