問いは冒険の始まり:語源から学ぶ問いの力

こんにちは。ゆうせいです。
今回は、新人エンジニア研修の講師をされている方に向けて、「問い(Question)はなぜ人の冒険心を掻き立てるのか?」というテーマでお話ししていきます。


「Question」「Quest」の語源から見える本質

「Question(問い)」と「Quest(探求、冒険)」――この2つの言葉には共通の語源があります。
それはラテン語の 「quaerere(クアエレレ)」、意味は「探し求める」です。

たとえば、「inquiry(探究)」「acquire(獲得する)」などの単語もこの語根から来ています。
つまり、「質問する」という行為自体が、まだ知らない世界を探し求める第一歩なんです。

例:RPGゲームと質問

RPGゲームを思い出してください。プレイヤーが最初に村人に話しかけて「魔王を倒してくれ!」と言われる。
このセリフこそが、最初の"クエスト(Quest)"であり、"問い(Question)"なんです。

「なぜ魔王が生まれたのか?」「どうやって倒すのか?」
こうした問いが、プレイヤーの旅を始めさせる。

同じようにエンジニアの仕事も、すべては問いから始まるのです。


新人エンジニアにとっての「問い」はナビゲーションである

問いがあることで学びが目的化される

新人エンジニアにとって、技術は海のように広く、時に恐ろしくもあります。
「何をどこから学べばいいかわからない」――そう思う人も多いでしょう。

だからこそ、「問いを持つこと」が重要です。

  • なぜこのコードは動くのか?
  • このエラーの本当の原因は何か?
  • この設計の意図は何か?

こうした問いがあることで、知識の取得は「目的ある探求」になります。
ただのインプットではなく、意味のある冒険になるんです。


なぜ「問い」は冒険心を掻き立てるのか?

人間は本能的に「わからないこと」があると動き出す

心理学では「情報ギャップ理論(Information Gap Theory)」というものがあります。
これは、人は「知っている」と「知らない」の間にギャップがあると、それを埋めようとする性質があるという考え方です。

つまり、「問い」を投げかけることで、人の中に「埋めたいギャップ=欲求」が生まれます。

知らないことがある → 知りたい → 調べる → 行動が生まれる。

これこそが冒険の始まりです。


エンジニア研修にどう活かす?

ティーチングからクエスチョニングへ

教える側の立場になると、つい「答え」を与えてしまいがちです。
でも、新人エンジニアにはぜひ「問いを与える」ように意識してみてください。

例:if文の学習での問いかけ

  • 悪例:「if文は条件がtrueのときに実行されます」
  • 良例:「なぜif文は条件がtrueのときだけ動くように設計されているのでしょう?」

このように問いを投げかけると、受講者の中に探究心が芽生えます。
ただの文法知識ではなく、「なぜそうなのか?」という構造理解につながるのです。


数式で言えばこんなイメージです

人の学びは次のように表せます:

学び = 興味 × 行動

(まなび = きょうみ かける こうどう)

そして「興味」は「問い」によって生まれる。

問い → 興味 → 行動 → 学び → 成長

これは、新人エンジニアに限らず、すべての知的活動に共通するフローです。


まとめ:問いを与える人こそ、冒険の案内人

講師としての役割は、「すべてを教える人」ではなく、「問いを通じて学びを導く人」になることです。

  • 問いは冒険の始まり
  • 新人は答えよりも問いに触れることで成長する
  • 講師は問いをデザインするプロデューサー

新人研修では、「問いをベースにしたカリキュラム設計」を意識してみてください。
きっと受講者の目が輝き始めますよ!


今後の学びの指針

  • エンジニア向けに「問いベースの教育メソッド」を学ぶ
  • 質問力を鍛えるために「ソクラテス式問答法」などを取り入れる
  • 研修スライドや教材の中で「Why?」の問いを必ず入れる設計にする

このように「問い」を軸に研修設計を行えば、新人の成長スピードがぐんと高まるはずです。
次の一歩は「どんな問いを投げるか」を考えてみましょう!

セイ・コンサルティング・グループでは新人エンジニア研修のアシスタント講師を募集しています。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。