クイックソートが速いのはなぜ?アルゴリズム初心者にもわかる徹底解説
こんにちは。ゆうせいです。
今回は「クイックソート(Quick Sort)がなぜ高速なのか?」というテーマでお話しします。
新人エンジニアの方がつまずきやすいポイントを丁寧に、図や例を交えながら解説します。
「バブルソートと比べて、どうしてそんなに早いの?」
「“分割統治法”ってなに?」
といった疑問を一緒に解き明かしていきましょう!
クイックソートとは?
まずは概要から
クイックソートは、ソート(並べ替え)アルゴリズムの一つです。
大量のデータを高速で並び替えたいときによく使われます。
このアルゴリズムは、「分割統治法(Divide and Conquer)」という考え方に基づいています。
分割統治法とは、大きな問題をいくつかの小さな問題に分割し、それぞれを解決したあとに統合する方法です。
クイックソートは「並べ替えゲームの司会進行」に例えられます。まず司会者が1人を基準(ピボット)として選び、「小さい人は左、大きい人は右」と指示を出します。分かれたグループごとに、また新しい司会者が現れて同じルールで並び替えていきます。これを繰り返すことで、自然と全体が整列していきます。一度に全体を並べず、基準を立てて効率よく分類していく手法が、速さの秘密です。
クイックソートの仕組み
ステップごとに見ていきましょう!
- 基準値(ピボット)を1つ選ぶ
- ピボットより小さい値を左側へ、大きい値を右側へ並び替える(これを「分割」)
- 左右それぞれを再びクイックソートで整列
- 再帰的に繰り返す
例で見てみましょう。
【例】数字のリスト [5, 3, 8, 4, 2, 7, 1, 6]
をソートする
- ピボットに
5
を選ぶ 5
より小さい →[3, 4, 2, 1]
5
より大きい →[8, 7, 6]
- 小さいグループ
[3, 4, 2, 1]
にクイックソート
大きいグループ[8, 7, 6]
にクイックソート - 最後に
[1, 2, 3, 4] + 5 + [6, 7, 8]
→ 完成! [1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8]
どうしてクイックソートは速いのか?
ポイントは「分割」と「再帰」にあります
クイックソートが速いのは、次のような特徴があるからです。
1. 不必要な比較を減らしている
たとえば、バブルソート(隣同士を比べて入れ替える)だと、最大でn × nの比較が必要です(計算量:O(n²))。
一方、クイックソートは各ステップで問題を半分に分けていくため、比較の数がn × log n程度に抑えられます(計算量:O(n log n))。
【補足】
計算量(けいさんりょう)とは、アルゴリズムがどれだけ処理時間を必要とするかの目安です。
2. 配列を一気に並び替えない
「並び替える」と聞くと、全部の要素を何度も見直して…というイメージがありますよね?
クイックソートは「左右に分ける」ことを繰り返すことで、実はほとんどの要素を1回か2回見れば済むという効率の良さがあるんです。
図で理解する:クイックソートの分割の流れ
[5, 3, 8, 4, 2, 7, 1, 6] ピボット=5
↓
[3, 4, 2, 1] + 5 + [8, 7, 6]
↓ ↓
[1, 2, 3, 4] + 5 + [6, 7, 8]
↓
[1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8] 完成!
このように、どんどん細かくしていって、最終的にすべてのデータが整った状態になります。
メリットとデメリットを整理
項目 | 内容 |
---|---|
メリット | ・速い(平均計算量O(n log n))・メモリ消費が少ない(インプレース処理)・大きなデータでも実用的 |
デメリット | ・最悪の場合、計算量がO(n²)になる・安定ソートではない(同じ値の順序が変わる)・再帰が深くなりすぎるとエラーになることも |
似たアルゴリズムと比較してみよう!
アルゴリズム | 計算量(平均) | メモリ使用 | 安定ソート |
---|---|---|---|
クイックソート | O(n log n) | 少ない | いいえ |
マージソート | O(n log n) | 多い | はい |
バブルソート | O(n²) | 少ない | はい |
安定ソートとは、同じ値が並んでいたときに元の順序を保ってくれるソートのことです。
クイックソートを使うべき場面は?
- 大量のデータを手早く並べたいとき
- メモリ使用量を抑えたいとき
- ある程度ランダムなデータが対象のとき
ただし、既にほぼ整っているデータや順序が偏ったデータには向きません。
このような場合は、マージソートやヒープソートの方が安定して速いです。
まとめ:クイックソートは「分けて解く」から速い!
クイックソートの強みは、以下の通りです。
- 「分割統治法」を使って効率よく処理する
- データを分けて、部分ごとに処理するから無駄が少ない
- 平均的にとても高速
今後の学習のヒント
次に学ぶと良いテーマはこちら!
- マージソートとの比較:似た計算量だけど何が違う?
- 安定ソートと不安定ソートの違い
- 計算量(Big-O表記)の深堀り
- 再帰処理のメモリ消費と最適化方法
クイックソートはアルゴリズムの中でも定番中の定番です。
一度理解できれば、他のソートアルゴリズムもグッと理解しやすくなりますよ!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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