【新人エンジニア向け|「尤度(ゆうど)」とは?確率とどう違う?をかんたん解説】

こんにちは。ゆうせいです。
今回は、「尤度(ゆうど)」という言葉を、新人エンジニアでも直感的に理解できるように解説します。
確率・統計の世界では当たり前のように出てくる言葉ですが、最初は「えっ?確率とどう違うの?」と混乱しやすい概念でもあります。
なのでこの記事では、
- 尤度とは何か?
- 確率との違い
- どんな場面で使うのか?
- 数式でどう表すのか?
を、具体例と図を使ってやさしく説明します!
尤度とは?一言でいうと?
まずは結論からいきましょう!
尤度とは、「ある観測結果が、ある仮説のもとでどれくらいもっともらしいか?」を表す指標です。
例で考えてみよう!
たとえば、「コインを3回投げたら、表が2回出た」という観測結果があったとします。
ここで仮説を立てます:
- 仮説A:このコインは完全な公平なコイン(表が出る確率 = 0.5)
- 仮説B:このコインは少し偏っていて、表が出る確率 = 0.8
このとき、
- 「この観測結果(表2回、裏1回)は、Aの仮説のもとでどれくらいありそう?」
- 「Bの仮説のもとなら、どれくらいありそう?」
を比べるための指標が「尤度」です!
尤度と確率の違いを図で理解
そもそも確率とは?
- 確率は「あるパラメータ(例:表の出やすさ)を固定して、観測結果がどれくらい出そうか?」を見るもの。
例:「表が出る確率0.7のコインを3回投げたら、表が2回出る確率は?」
尤度は逆!
- 尤度は「観測結果を固定して、どのパラメータがその結果を一番うまく説明できるか?」を見るもの。
例:「表が2回出たという観測結果が得られたとき、表の出やすさが0.3〜0.9の中で、どの値が一番もっともらしいか?」
数式で見てみよう
観測データ:
- コインを3回投げて「表・表・裏」だった(表2回、裏1回)
コインの表の出やすさを「θ\theta」としましょう。
確率の式

これは「θを固定して結果が出る確率」を求める式です。
これがそのまま「尤度関数」としても使われます。
尤度関数とは?
観測データを固定して、θを動かしてグラフにすることで、どのθが一番尤もらしいかを評価します。
縦軸:尤度 L(θ)
横軸:表が出る確率 θ(0〜1)
頂点が高いほど、「その θ の仮説のもとで観測結果が起きるのが自然」と言えるのです!
尤度はどこで使われる?
1. 最尤推定(さいゆうすいてい)
一番有名なのがこれです!
観測データが得られたとき、それを最もよく説明するパラメータ(仮説)を選ぶ方法
このときの「一番よく説明するパラメータ」とは、「尤度が最大になる値」のことです。
たとえば:
- 3回コイン投げて表が2回 → 一番尤もらしい「表が出やすさ」は 2 ÷ 3 = 0.666…
これが最尤推定です。
2. 機械学習のモデル学習
線形回帰・ロジスティック回帰・ナイーブベイズなど、多くのモデルでパラメータの学習に尤度を最大化する手法が使われます。
- モデルの重み(w)を調整
- 得られたデータに対する尤度を最大化
- 最適なパラメータを見つける
という流れです。
まとめ|「確率」vs「尤度」
比較項目 | 確率 | 尤度 |
---|---|---|
何を固定? | パラメータ(例:コインの表の出やすさ) | 観測データ(例:表が2回) |
何を動かす? | 結果データ | パラメータ(仮説) |
目的 | 実験の結果を予測する | 仮説のもっともらしさを評価する |
使い道 | シミュレーション、予測 | 最尤推定、モデルの学習 |
今後の学習の指針
「尤度」の考え方が理解できたら、次のステップとして:
- 最尤推定(MLE)の実践例をコードで学ぶ
- 対数尤度(Log-Likelihood):計算しやすくするために使う変形
- ベイズ推定(Bayesian Estimation):尤度に加えて事前知識も考慮する方法
このあたりに進んでみてください!
尤度は「確率的なモノの考え方」を支える土台のひとつ。
ここを理解すれば、統計も機械学習も一段レベルアップできます!
では、次の学習でまたお会いしましょう!
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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