ベイズの定理の新しい覚え方の提案

ベイズの定理を「P(H|E) = P(H) × P(E|H) ÷ P(E)」と書こう!

※H:Hyphothesis(仮説) E:Evidence(証拠) 

たった3つの要素で、直感的に覚えて使える!

こんにちは。ゆうせいです。

今回は、ベイズの定理をもっと覚えやすく、もっと使いやすくするための「新しい書き方」を提案します。

それがこちら:

 P(A \mid B) = \frac{P(A) \cdot P(B \mid A)}{P(B)}

この式、教科書ではよく見かけますよね?
でも、今回はこの書き方の「記憶効率」と「思考の順序」に着目して、覚え方としての価値を再発見していきます。


提案:「P(H|E) = P(H) × P(E|H) ÷ P(E)」の形で覚えよう!

たった3つの構成要素:

  •  P(H) :仮説の事前確率(Prior)
  •  P(E \mid H) :仮説が正しいときに証拠が得られる確率(Likelihood:尤度)
  •  P(E) :証拠の全体的な確率(Marginal)

この3つだけで、

 P(H \mid E) = P(H) \cdot \frac{P(E \mid H)}{P(E)}

と書けるんです!


なぜこの書き方が「覚えやすい」のか?

理由①:登場する記号はすべて H と E だけ!

記号が増えると混乱しやすいですが、この式に出てくるのは H(仮説)と E(証拠) だけ。
だから、頭の中でモデルが作りやすい

「『ひーひーひー』といいながらベイズの定理を覚える」というのはどうでしょうか(^^)


理由②:考える順番と一致している!

実際にベイズ思考をするときの流れと、式の並びがぴったり一致しているんです:

  1. まず「仮説H」がどれくらい信じられるか(=事前確率  P(H) )を考える
  2. 次に「その仮説が正しければ、この証拠Eはどれくらい自然か?」(=尤度  P(E \mid H) )を評価
  3. 最後に「この証拠Eが、全体としてどれくらい起こるか」(= P(E) )で正規化

思考のステップと式の形がリンクしているから、意味と一緒に覚えられるんです!


この書き方でベイズの定理を“読む”!

例:

  •  H :その人が病気である
  •  E :検査が陽性だった

このとき、ベイズの定理をこのように読めます:

陽性という証拠が得られたときに病気である確率は、
もともと病気の確率 × 病気のとき陽性になる確率 ÷ 陽性が出る全体の確率

「陽性反応が出たとき、その人が実際に病気である確率(=事後確率)」を計算してみましょう!


前提の数値

項目記号
有病率(事前確率) P(\text{病気}) 0.01
感度(病気の人が陽性) P(\text{陽性} \mid \text{病気}) 0.99
特異度(健康な人が陰性) P(\text{陰性} \mid \text{健康}) 0.98
健康な人が誤って陽性(偽陽性 P(\text{陽性} \mid \text{健康}) = 1 - 0.98 0.02
健康な人の割合 P(\text{健康}) = 1 - 0.01 0.99

ステップ①:陽性が出る全体の確率(周辺確率)を計算

 P(\text{陽性}) = P(\text{陽性} \mid \text{病気}) \cdot P(\text{病気}) + P(\text{陽性} \mid \text{健康}) \cdot P(\text{健康})

 = 0.99 \cdot 0.01 + 0.02 \cdot 0.99 = 0.0099 + 0.0198 = 0.0297


ステップ②:ベイズの定理で事後確率を計算

 P(\text{病気} \mid \text{陽性}) = \frac{P(\text{病気}) \cdot P(\text{陽性} \mid \text{病気})}{P(\text{陽性})}

 = \frac{0.01 \cdot 0.99}{0.0297} = \frac{0.0099}{0.0297} \approx 0.3333


結果

 P(\text{病気} \mid \text{陽性}) \approx 0.3333 = 33.33%


解釈

陽性反応が出たとき、その人が本当に病気である確率は約33.3%です。



表にして覚えよう:各項目の意味と役割

項目英語名意味
 P(H \mid E) Posterior証拠Eを得たあとに仮説Hが正しい確率(=最終的に求めたいもの)
 P(H) Prior証拠を得る前に仮説Hがどれくらいありそうか
 P(E \mid H) Likelihood仮説Hが正しければ証拠Eはどれくらい起こりそうか
 P(E) Evidence (Marginal)その証拠が、全体としてどれくらいあり得るか

この書き方のメリットまとめ

観点メリット
記号の少なさHとEの2つだけで完結!
記憶のしやすさ「Prior × Likelihood ÷ Evidence」の順で覚えられる
意味の明確さ各項の意味が具体的でイメージしやすい
思考との一致考える順番と式の並びがぴったり一致!

今後の学習の指針

  • まずは「HとE」だけでベイズの定理を構成してみる練習をしましょう
  • 医療・マーケティング・スパム検知など、いろんな場面で「HとE」を見つけて式を立てる
  • 3要素(Prior・Likelihood・Evidence)をセットで説明できるようになるとベスト!

この「P(H|E) = P(H) × P(E|H) ÷ P(E)」という書き方、
構造的にも、記憶的にも、実務的にも非常に優れた形式です!

ぜひあなたの“ベイズ脳”の基礎にしてみてください!

生成AI研修のおすすめメニュー

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。