「プルーニングとドロップアウトの違いとは?ディープラーニングの軽量化・過学習対策をやさしく解説」

こんにちは。ゆうせいです。



ディープラーニング(深層学習)を学び始めると、必ず出てくるのが「過学習(overfitting)」という問題。

この過学習を防いだり、モデルを軽く(高速に)するために使われる代表的な手法が、プルーニング(Pruning)とドロップアウト(Dropout)です。

どちらも「不要な部分を減らす」イメージですが、目的も仕組みも使い方も大きく異なります

そこで今回は、「プルーニングとドロップアウトの違い」を、高校生でも理解できるように、たとえ話を交えながらやさしく解説していきます!


プルーニングとドロップアウトの共通点

まず共通点から見ておきましょう。

共通点内容
対象ニューラルネットワーク(多層パーセプトロン、CNNなど)
目的モデルの過学習防止軽量化計算コスト削減
方法不要なノードや接続を除去または無効化

ですが、タイミングと仕組みに決定的な違いがあります。


ドロップアウトとは?

学習中に「一時的に」ノードを無効化!

ドロップアウトは、学習中(トレーニング中)だけ、ランダムに一部のノード(ニューロン)を「使わない」ようにする手法です。

たとえば、全体の50%のノードを毎回ランダムに無効化します。

例えると?

学校の授業で、毎回違う生徒が欠席するようなイメージです。

その結果、特定の生徒(ノード)に頼りきることができず、クラス全体として幅広く学ぶようになるのです。


メリットとデメリット

メリットデメリット
過学習を防ぎやすい推論時は全ノードを使うためモデルサイズは変わらない
学習に多様性が出る学習に時間がかかる場合がある

プルーニングとは?

学習後に「恒久的に」ノードや重みを削除!

プルーニングは、学習が終わったあとに行います。

学習によって得られた重みのうち、小さな値(つまり、影響力が小さい)を持つノードや接続を削除します。

例えると?

試験が終わったあと、「この公式は結局ほとんど使わなかったな」というのがわかったら、ノートからそのページを完全に破り取るようなイメージです。


メリットとデメリット

メリットデメリット
モデルが小さくなり、推論が速くなるプルーニングのやりすぎは精度低下を招く
実際のデバイスでの実行が軽くなるうまく削除対象を選ばないと性能が落ちる

違いを表でまとめてみよう

項目ドロップアウトプルーニング
実行タイミング学習中(トレーニング時)学習後(または途中)
ノードの扱い一時的に無効恒久的に削除
目的過学習防止軽量化・高速化
モデル構造の変化学習中のみ変化(テスト時は元通り)恒久的に変化する
実行コスト学習がやや重くなる実行(推論)が軽くなる

数式で見るイメージ

ドロップアウト(学習中):

各ノードに対して確率 p で活性化:

h′ = h × r
(h:元の出力、r:0または1のランダムマスク)

これは、「一部のノードを無効にする」処理です。


プルーニング(学習後):

重み W の中で、絶対値が小さいものを 0 にする:

W′ = W × m(m:重要度マスク)

つまり、「使わない重みは削除して0にする」という処理です。


どちらを使うべき?

目的によって選ぶべき手法は異なります。

  • 過学習を防ぎたい:→ドロップアウト
  • モデルを小さくしたい・高速化したい:→プルーニング

実際のモデル構築では、両方を組み合わせて使うこともよくあります。


まとめ

観点ドロップアウトプルーニング
学習中のランダム性ありなし
モデル構造への影響一時的永続的
主な目的汎化性能の向上実行速度やメモリ使用量の改善

今後の学習の指針

これからさらに理解を深めるためには、以下の点に取り組んでみましょう。

  • 実装して試す(PyTorchやTensorFlow)
  • プルーニングの種類(構造化 vs 非構造化)を調べる
  • Dropout率のチューニングでモデル精度がどう変わるか確認する
  • Quantization(量子化)やKnowledge Distillation(知識蒸留)との比較も学ぶ

どんどん手を動かして、実験してみるのが一番です!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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