【第1章:確率における掛け算 ― 依存と独立をつなぐ橋】

こんにちは。ゆうせいです。
今回は、掛け算の本質を探るシリーズの第1章として、「確率」の世界における掛け算についてお話しします。
「え? 確率って足し算じゃないの?」
たしかに、確率を扱う場面では「AまたはBが起こる確率」など、足し算が使われることもあります。
でも、「AとBの両方が起こる確率」になると、登場するのは掛け算なんです。
そしてこの掛け算には、「出来事の関係性」や「依存性」まで含まれています。
ただ数を掛けるだけじゃない、構造を表す“意味のある掛け算”。
そんな世界を、一緒に見ていきましょう!
◆ 1. 同時に起こる確率とは?
まず、「AとBが両方起こる確率」を同時確率といいます。
これを数式で表すと、こうなります:
(ピー エーかつビー は、ピーエー かける ピービー条件付きエー)
ここで登場しているのが、掛け算です!
ではこの式、どんな意味を持っているのでしょうか?
◆ 2. 「確率 × 確率」ってどういうこと?
この掛け算は、
● Aが起こる確率 ×
● Aが起こったあとにBが起こる確率
を表しています。
たとえば:
- A:1回目のコイン投げで表(heads)が出る(確率 = 0.5)
- B:2回目のコイン投げで表(heads)が出る(確率 = 0.5)
この2つは独立しているので、
つまり、「それぞれの出来事の確率を掛ければ、両方同時に起こる確率がわかる」ということです。
これが独立な場合の掛け算です。
◆ 3. でも、いつも独立とは限らない!
現実の出来事は、たいていお互いに影響し合っています。
たとえば:
- A:今日は雨が降っている
- B:傘を持っている人が多い
このとき、Aが起きたら、Bが起きる確率は明らかに高くなりますよね?
こうした場合、単純な掛け算ではなく、「条件付き確率」を使った式にしなければなりません。
そしてこの関係を通して:
という掛け算が、依存関係を内包する形で登場しているわけです!
◆ 4. 掛け算が意味するのは「順番と依存」
ポイントはここです。
この掛け算は、
● Aが起こる「道」 ×
● その道の先にBがある確率
つまり、「道が枝分かれして進んでいく構造」を表しています。
たとえるなら:
- Aが起きることで、Bが起きる“道”が開く
- そして、その道の「通りやすさ」が P(B|A)
掛け算で「通る確率 × 通り先の確率」をつないでいるんですね。
◆ 5. ベイズの定理にも掛け算は登場する!
この掛け算は、ベイズの定理でも重要な役割を果たします。
ここでも:
- P(B|A) × P(A)
という掛け算が、P(A ∩ B)(AかつBの確率)に対応しています。
つまり、
- 「原因Aの確率」 ×
- 「そのAから結果Bが起きる確率」=
- 「AとBが同時に起きる確率」
という解釈ができます。
掛け算が、「因果っぽい関係性」や「信頼の連鎖」を数式で支えているのです!
◆ 6. 図で理解しよう!
【図1:確率の枝分かれ】
- A(雨が降る:0.3)
↳ B(傘を持つ:0.8) → 0.3 × 0.8 = 0.24 - Aが起きた枝の先に、Bが起きる枝がある
→ 掛け算 = 道を2つ連続で通る確率
◆ 7. まとめ:掛け算は「つながり」を表す
- 確率の掛け算は、順番と関係性を表現する
- 独立な場合は:P(A) × P(B)
- 依存がある場合は:P(A) × P(B|A)
- 掛け算によって、「出来事の組み合わせ」が定量的に扱える
- 単なる計算ではなく、「構造的な連鎖の重なり」こそが本質!
次回予告:「期待値と掛け算 ― 平均の裏にある重みづけの構造」
次回は、確率のもう一つの基本指標、期待値(expectation)に登場する掛け算を扱います。
- なぜ「数値 × 確率」で平均を出すの?
- どうして掛け算なのか?
- 重み付き平均と意思決定のつながりは?
掛け算の意味がさらに深く見えてくるテーマです。
どうぞお楽しみに!
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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