潜在的ディリクレ配分法(LDA)とは?トピックモデルの基本と仕組みをやさしく解説!

こんにちは。ゆうせいです。

今日は、文章の「隠れた話題(トピック)」を自動的に見つけ出す手法、
潜在的ディリクレ配分法(Latent Dirichlet Allocation:LDA)についてご紹介します。

この名前、長くてちょっと intimidating(こわそう)ですよね。

でも安心してください!今回は、

  • そもそも「トピックモデル」って何?
  • なぜ「ディリクレ」なの?
  • LDAの仕組みはどうなってるの?

という疑問を、図や例え話でやさしく解き明かしていきます!


トピックモデルとは?

まず前提として、「トピックモデル」という考え方があります。

これは、たとえば1000本のニュース記事や論文があったときに、
「それぞれの記事がどんな話題(トピック)で構成されているか」を分析するモデルです。

人間がいちいち読まなくても、「政治」「経済」「スポーツ」みたいな話題の構成比率を見つけ出してくれます。


LDAってどんな仕組み?

LDAは、「各文書は複数のトピックからできている」という仮定に基づいたモデルです。
さらに、「各トピックは複数の単語から成り立っている」とも仮定します。

例えで説明!

たとえば、あなたがカレーを食べたとします。
その味は「スパイス」「甘さ」「酸味」などが混ざり合ってできている

同じように、LDAは「この文書は『スポーツ』30%+『健康』40%+『教育』30%」みたいに話題のミックスで表現します。


「ディリクレ」とは何?

LDAの名前に入っている「ディリクレ分布(Dirichlet distribution)」とは、
「複数の確率の組み合わせ」を生み出すための確率分布です。

たとえば、文書のトピック構成を表す以下のような比率:

  • 文書A:トピック1が70%、トピック2が30%
  • 文書B:トピック1が20%、トピック2が80%

こうした「確率の足し算が1になるようなベクトル」を生成するのがディリクレ分布です。

これは次のように書かれます:

\theta \sim \text{Dirichlet}(\alpha)


LDAの生成モデル(どうやって文書を生成するのか)

LDAは「この文章はこうして作られた」と逆から考えるモデルです。
文書生成のプロセスは以下のように仮定されています:

  1. 文書ごとにトピックの割合(θ)を決める
     → 例:文書Aは「政治60%、経済30%、スポーツ10%」
  2. 各単語ごとに「どのトピックから出すか」をサイコロで選ぶ
  3. そのトピックに対応する単語分布から、実際の単語を選ぶ

この一連の流れを図で表すと:

文書 → トピック分布 θ → 各単語に対応するトピック z → 単語 w

数式で書くと:

  • トピック分布:\theta_d \sim \text{Dirichlet}(\alpha)
  • 単語分布:\phi_k \sim \text{Dirichlet}(\beta)
  • 各単語:
    • トピック:z_{dn} \sim \text{Multinomial}(\theta_d)
    • 単語:w_{dn} \sim \text{Multinomial}(\phi_{z_{dn}})

グラフィカルモデルで見るLDA(プレート図)

         α         β
         ↓         ↓
      θ_d       φ_k
       ↓         ↓
     z_dn →→→ w_dn

  • 外側のループが「文書」
  • 内側のループが「単語」
  • 隠れているのは「z(トピック割当て)」と「θ(トピック分布)」
  • 観測されるのは「w(単語)」

この図を見て「潜在的(latent)」という言葉の意味も見えてきますね。
単語の後ろに隠れているトピックを推定するのが目的なのです。


LDAの入力と出力

項目内容
入力複数の文書(単語の並び)
出力各文書ごとのトピック構成、各トピックごとの単語構成

LDAの実例:ニュース記事のトピック抽出

たとえば、1万件のニュース記事をLDAにかけると、次のような結果が得られます。

トピック番号代表単語解釈
トピック0政府、首相、政策、議会、選挙政治
トピック1株式、経済、企業、利益、為替経済
トピック2サッカー、試合、得点、選手、リーグスポーツ

LDAのメリット・デメリット

項目内容
メリット教師なしでトピックが分かる/大規模でもスケーラブル
デメリット単語の並びは考慮しない/結果の解釈に主観が入る

例え:

LDAは「単語の袋(Bag of Words)」で考えるので、「りんごを食べた」と「食べたりんご」は同じ意味とみなされます。


まとめ

  • 潜在的ディリクレ配分法(LDA)は文書に潜むトピック構成を推定するモデル
  • 各文書は複数のトピックからできていて、各トピックは複数の単語から成ると仮定
  • ディリクレ分布は「確率の混合比率」を表すために使われる
  • LDAは教師なし学習で、大規模な文書データを整理するのに向いている

今後の学習の指針

  • PythonのgensimライブラリでLDAを実装してみよう!
  • トピック数やパラメータα・βを変えてみて、結果の変化を観察
  • LDAとBERTなどの埋め込みベースの文書表現を比較してみる
  • 時系列のトピック変化を追える「動的LDA」や、「階層的LDA」などの拡張にも挑戦

LDAは「意味の構造を探る」ための非常に強力な武器です。
機械学習や自然言語処理の初学者にもおすすめのテーマなので、ぜひ一度、自分の文章データで試してみてください!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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