Transformerは自然言語処理だけ?画像・音声・科学分野でも大活躍の理由を解説!

こんにちは。ゆうせいです。

「Transformerって自然言語処理(NLP)用のモデルでしょ?」
そんなふうに思っていませんか?

確かに、最初はNLPのために登場しました。でも実は、今では画像・音声・科学・医療など、あらゆる分野で使われている汎用モデルに進化しているんです!

今回は、Transformerがなぜ他の分野にも使えるのか?
その仕組みと具体例を、例えや図解を交えながらわかりやすく解説していきます!


なぜ「言語専用」と思われがちなのか?

Transformerは2017年にGoogleが発表した論文
「Attention is All You Need」で初登場しました。

初期の応用分野は以下の通り:

  • 機械翻訳(英語⇔日本語)
  • 質問応答
  • 文書要約
  • 感情分析

このとき、入力はすべて「単語の並び=系列データ」でした。
だからこそ「時系列の言葉を処理するもの」として見られていたのです。


Transformerの本質は「系列データの処理モデル」

でも実際のTransformerは、「単語」だから動いているわけではありません。

Transformerが得意なのは、以下のような特徴を持ったデータの処理:

  • データが並び順(系列)を持っている
  • 各要素が相互に影響しあう可能性がある
  • 関係性を「重み」として表現できる

これ、よく考えると言語だけでなく、画像・音声・DNA・分子構造にも当てはまりますよね?


画像も「系列」に見立てればOK!

ここで登場するのが ViT(Vision Transformer) というモデルです。

ViTのアイデア

画像をそのまま2次元で扱うのではなく、パッチ(Patch)という小さなブロックに分割して、1次元の並び=系列として扱います。

  • 画像(224×224)→ 16×16のパッチに分ける → 196個のベクトル列
  • 各パッチをEmbeddingして、Transformerに投入

図で示すと:

画像 ─▶ パッチ化 ─▶ Embedding ─▶ Transformer ─▶ 分類結果

これにより、CNNなしでも画像認識ができるようになりました。

しかも、精度も高い!
ImageNetでもCNNに匹敵する精度を記録しています。


音声にも使える? → もちろん!

音声も、時間的な「波のデータ」です。
従来はRNNやCNNが使われていましたが、今では音声用Transformer(例:Wav2Vec 2.0)が主流になりつつあります。

  • 音声信号 → フレームに分割 → 埋め込みベクトル化
  • Transformerで「時間を超えた文脈」を捉える

音声認識(Speech-to-Text)だけでなく、音声感情分析、音声合成などにも広く応用されています。


科学・医療分野にも拡大中!

◆ 分子構造やタンパク質解析

  • 分子を「グラフ」ではなく「系列」と見なす
  • 複雑な構造の相互作用をAttentionで表現

AlphaFold(タンパク質構造予測)でも、Transformerのアーキテクチャが活用されています。

◆ 時系列の医療データ(例:心電図)

  • 患者の時間軸データを入力にして未来の発作を予測
  • 異常検知や診断補助に応用

どんなデータでも使える理由:Self-Attentionの汎用性

Transformerの肝は Self-Attention という仕組みです。

これは「各要素が他の要素をどれだけ重視すべきか」を学習する仕組みで、
以下のような式で表されます:

\text{Attention}(Q, K, V) = \text{softmax} \left( \frac{QK^\top}{\sqrt{d_k}} \right)V

ここで:

  • $Q$:クエリ(今注目している要素)
  • $K$:キー(照合対象)
  • $V$:バリュー(得たい情報)

この計算は行列演算だけで並列化できるので、

  • データの種類を問わず、
  • 長い系列でも、
  • 大規模データでも、
    扱いやすいんです。

実例まとめ

分野モデル例用途
自然言語処理BERT, GPT, T5翻訳、対話、要約
画像認識ViT, Swin Transformer画像分類、物体検出
音声処理Wav2Vec 2.0, HuBERT音声認識、音声生成
バイオ医療AlphaFold, ProtBERTタンパク質解析
時系列予測Time Series Transformer株価、天気、センサーデータ
グラフ構造Graphormer分子構造の理解、材料開発

まとめ:Transformerは「汎用アーキテクチャ」

  • 言語だけでなく、画像・音声・科学など、あらゆる系列データに対応可能
  • 自分で特徴量を設計せずとも、関係性をAttentionで学習できる
  • 並列計算が可能で、大規模学習に向いている

今後の学習の指針

  • ViTやWav2Vecなど、言語以外のTransformer応用を実装してみる
  • Attentionの仕組みを数式ベースで深掘り
  • CNNやRNNとの違いを、処理構造と並列性の観点から比較
  • 時系列やマルチモーダル(画像+音声など)データで応用実験

Transformerは「NLP専用の道具」ではありません。
むしろ、現代の“万能基盤技術”になりつつあるのです。

これからのAIを学ぶなら、Transformerの応用力をしっかり身につけておきましょう!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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