BERTとGPTの違いとは?構造・学習・用途を徹底比較!

こんにちは。ゆうせいです。
今回は、自然言語処理(NLP)の2大モデルである
BERT(バート)とGPT(ジーピーティー)の違いについて解説します。
どちらも「Transformerアーキテクチャ」を使っていますが、
構造や学習方法、得意なタスクなどは大きく異なります。
「結局、何が違うの?」
「どちらを使えばいいの?」
「どうやって選べばいいの?」
そんな疑問を持ったあなたのために、BERTとGPTを表・図・例えでしっかり比較していきます!
結論からざっくり言うと…
項目 | BERT | GPT |
---|---|---|
アーキテクチャ | Encoderのみ | Decoderのみ |
入力方式 | 双方向(Bidirectional) | 一方向(左から右) |
学習目的 | マスクされた単語の予測(Masked LM) | 次の単語の予測(Causal LM) |
得意なこと | 文の分類・意味理解 | テキスト生成・対話 |
用途の例 | 感情分析、質問応答、自然言語推論 | 文章生成、対話、コード生成 |
1. そもそもBERTとGPTは何の略?
- BERT:Bidirectional Encoder Representations from Transformers
→ 双方向の文脈から学習するEncoderベースのモデル - GPT:Generative Pre-trained Transformer
→ 自然なテキストを生成するためのDecoderベースのモデル
どちらもTransformerをベースにしていますが、「どちら側(Encoder or Decoder)」を使うかで性質が変わるのです。
2. アーキテクチャの違い(図解)
BERT(Encoderベース)
- 入力:マスクされた文(例:「私は [MASK] を食べた」)
- 出力:マスクされた部分の予測
入力:私は [MASK] を 食べた
↓
BERT(Encoder)
↓
出力:[MASK] →「りんご」と予測
→ 前後の文脈を同時に見て判断できる
GPT(Decoderベース)
- 入力:文の途中(例:「私はりんごを」)
- 出力:次の単語(例:「食べた」)を予測
入力:私は りんご を
↓
GPT(Decoder)
↓
出力:食べた
→ 前の単語だけを見て次を予測(= 一方向)
3. 学習方法の違い(Pre-training)
モデル | 学習方式 | 説明 |
---|---|---|
BERT | Masked Language Model(MLM) | 入力文中の単語をランダムにマスクして、その正解を予測 |
GPT | Causal Language Model(CLM) | 文を左から右に読み進めながら、次の単語を予測 |
BERTの学習イメージ
「今日は [MASK] が降っています」
→ 「雨」と予測できるか?
GPTの学習イメージ
「今日は雨が」
→ 次の単語は? → 「降って」
4. 使われ方の違い(用途)
タスク種別 | BERTが得意 | GPTが得意 |
---|---|---|
分類 | ○ | △ |
質問応答(抽出型) | ○ | △ |
感情分析 | ○ | △ |
文生成 | △ | ◎ |
対話 | △ | ◎ |
要約 | △ | ◎(特にGPT-3.5以降) |
翻訳 | △(fine-tuning要) | ◎(事前学習済) |
5. 例え話で理解!
BERTは「読解力のある評論家」
- 与えられた文章の文脈を読み取って、意味を深く理解するのが得意
- 「この文章の主張は何?」「この言葉はどういう意図?」に強い
GPTは「話し上手な作家」
- 流れるような文章を自然に続けるのが得意
- 「続きを書いて」「要約して」「物語をつくって」に向いている
6. 実装の違い(HuggingFace Transformers)
BERT(感情分析など)
from transformers import BertTokenizer, BertForSequenceClassification
tokenizer = BertTokenizer.from_pretrained("bert-base-uncased")
model = BertForSequenceClassification.from_pretrained("bert-base-uncased")
inputs = tokenizer("I love this movie!", return_tensors="pt")
outputs = model(**inputs)
GPT(文章生成)
from transformers import GPT2Tokenizer, GPT2LMHeadModel
tokenizer = GPT2Tokenizer.from_pretrained("gpt2")
model = GPT2LMHeadModel.from_pretrained("gpt2")
inputs = tokenizer("Once upon a time,", return_tensors="pt")
outputs = model.generate(**inputs, max_length=50)
7. どちらを使えばいいの?
目的 | おすすめ |
---|---|
文の意味を理解したい(分類・分析) | BERT |
テキストを生成したい(会話・作文) | GPT |
まとめ
- BERTは文の理解に優れたモデルで、前後の文脈を同時に処理
- GPTは文の生成に強く、左から右へと自然な文をつくる
- 学習方式、構造、用途が異なるため、目的に応じて使い分けが重要
- どちらもTransformerをベースにしているが、「どこを使うか(Encoder/Decoder)」で性質が大きく変わる
今後の学習の指針
- 実際にBERTとGPTを使って、同じ文に対する挙動の違いを体験しよう
- Fine-tuning(微調整)を通じて、自分のタスクにモデルを適応させてみよう
- BERT系の派生モデル(RoBERTa、DistilBERT)、GPT系(GPT-2、GPT-3.5、GPT-4)との比較もしてみよう
- さらに発展系であるT5(Text-to-Text Transformer)やBARTなども視野に入れていくと理解が深まります!
目的に応じて、BERTとGPTをうまく使い分けることが、自然言語処理での成功のカギですよ!
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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