ステップ関数は本当に人間の脳を模して作られたのか?

こんにちは。ゆうせいです。
今回は「ステップ関数は人間の脳の働きを模して作られたのか?」という問いについて、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。


ステップ関数とは?

ステップ関数(Step Function)とは、入力の値に対して、ある「しきい値」を境に出力が0から1にパッと切り替わる関数のことです。

その代表例は**ヘヴィサイド関数(Heaviside Step Function)**で、次のように定義されます:

f(x) = \begin{cases} 0 & \text{if } x < 0 \\ 1 & \text{if } x \geq 0 \end{cases}

とても単純ですが、これがニューロンの動作の簡易的なモデルとして使われてきました。


人間の脳の仕組みとステップ関数の関係

人間の脳には**ニューロン(神経細胞)**という細胞が数百億個以上存在しており、それぞれが電気信号をやり取りしています。

ニューロンの特徴のひとつが「発火(fire)」と呼ばれる動作です。これは、他のニューロンから入力を受け取り、それが一定のしきい値を超えたときに信号を出すというものです。

これはまさにステップ関数の動きと似ていますよね。


初期の人工知能モデルとステップ関数

1943年、**マカロックとピッツ(McCulloch & Pitts)**は、人間のニューロンを数学的にモデル化した「形式ニューロン」を発表しました。

このモデルでは、各入力に重みをかけて合計し、それがしきい値を超えるかどうかで出力を決めます。

数学的には以下のように表されます:

y = \begin{cases} 1 & \text{if } \sum_{i=1}^{n} w_i x_i \geq \theta \\ 0 & \text{otherwise} \end{cases}

ここで:

  • x_i は各入力
  • w_i は重み
  • \theta はしきい値

つまり、「入力の総和がしきい値を超えたら発火」という仕組みになっています。


なぜステップ関数では不十分なのか?

実際の脳はもっと複雑です。

  • 信号の強さはアナログ的で連続的
  • タイミングや周波数も重要な情報
  • 発火のしきい値も一定ではない

そのため、現在の**深層学習(ディープラーニング)では、ステップ関数よりも以下のような滑らかな関数(活性化関数)**が主流となっています。


他の活性化関数との比較

関数名数式特徴
ステップ関数f(x) = \begin{cases} 0 & x < 0 \ 1 & x \geq 0 \end{cases}学習できない(微分不可)
シグモイド関数f(x) = \frac{1}{1 + e^{-x}}出力範囲は (0, 1)
tanh関数f(x) = \tanh(x) = \frac{e^x - e^{-x}}{e^x + e^{-x}}出力範囲は (-1, 1)
ReLU関数f(x) = \max(0, x)現在主流。計算が高速

まとめ

  • ステップ関数は人間の脳のニューロンの動作(発火)を簡易的に模したものです。
  • 初期の人工知能モデルでは、計算の簡便さからよく使われました。
  • しかし実際の脳は遥かに複雑なため、今ではより高度な活性化関数が用いられています。

今後の学習の指針

ステップ関数のような単純なモデルから始まり、どう進化してきたのかを知ることは、人工知能を理解するうえでとても大切です。

次は、シグモイド関数やtanh関数、ReLU関数などの活性化関数の違いや使い分けについて学んでみるとよいでしょう!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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