DevOpsとは?開発と運用の壁をなくす新しい働き方を徹底解説!
こんにちは。ゆうせいです。
エンジニアとしての一歩を踏み出したばかりの皆さん、「DevOps(デブオプス)」という言葉を耳にしたことはありますか?「なんだか難しそう…」「自分にはまだ関係ないかも…」なんて思っている方もいるかもしれませんね。
でも、実はDevOpsは、これからのエンジ-ニアにとって必須の知識とも言える、とても重要で面白い考え方なんです。
この記事では、「DevOpsって一体何なの?」という疑問を抱える新人エンジニアのあなたに向けて、その基本的な考え方からメリット、そして具体的な実践方法まで、例えをたくさん使いながら分かりやすく解説していきます。
さあ、一緒にDevOpsの世界の扉を開けてみましょう!
DevOpsが登場する前:開発チームと運用チームの「高い壁」
DevOpsを理解するために、まずは昔のシステム開発の現場がどうなっていたか、少し覗いてみましょう。
昔のシステム開発では、「開発チーム」と「運用チーム」という二つのチームが、はっきりと分かれて仕事をしていました。
- 開発チーム: 新しい機能を作ったり、プログラムを書いたりするチームです。「とにかく新しい、すごいものを作るぞ!」という情熱にあふれています。
- 運用チーム: 開発チームが作ったシステムが、24時間365日、問題なく動き続けるように管理・保守するチームです。「システムを安定して動かすことが第一!」という強い責任感を持っています。
この二つのチーム、目指しているゴールは「良いサービスをユーザーに届ける」という点で同じはずなのに、それぞれの役割や目標が違うため、しばしば対立してしまうことがありました。
これを例えるなら、レストランの「新しいレシピを次々に開発したいシェフ(開発チーム)」と、「厨房の設備を安定稼働させ、いつも同じ品質の料理を提供したい厨房管理者(運用チーム)」のような関係です。
シェフが「こんな画期的な調理法を思いついた!明日からこの新しい機械を使おう!」と言い出しても、厨房管理者は「えっ!?そんな急に言われても、その機械が安全に使えるか分からないし、他の料理の邪魔になるかもしれない!」と反対しますよね。
このように、お互いの立場や考えがすれ違い、協力するどころか、まるで壁があるかのように対立してしまう状態。この問題を、IT業界では「サイロ化」や「混乱の壁(The Wall of Confusion)」と呼んでいました。
この壁があると、どんな問題が起きるでしょうか?
- 新しい機能のリリースにものすごく時間がかかる
- リリースしたら、バグや障害が頻発する
- 問題が起きても、お互いに責任をなすりつけ合ってしまう
これでは、スピーディーに変化するユーザーの要望に応えられず、サービスの価値をどんどん下げてしまいますよね。
DevOpsの誕生:「壁」を壊して協力しよう!
「この高い壁を壊して、開発チームと運用チームがもっと協力しあえるようにしようよ!」
そんな思いから生まれたのがDevOpsという考え方です。
DevOpsは、開発(Development)と運用(Operations)を組み合わせた言葉で、特定のツールや技術のことだけを指すわけではありません。
DevOpsの最も大切な本質は、「開発チームと運用チームが協力し、コミュニケーションを密に取りながら、ビジネスの価値を迅速かつ確実にユーザーに届け続けるための『文化』や『考え方』」のことなのです。
先ほどのレストランの例で言えば、シェフと厨房管理者が一緒になって、「どうすればもっと速く、安全に、美味しい新メニューをお客様に届けられるか」を話し合い、計画し、実行していくようなイメージです。
DevOpsを支える3つの柱
DevOpsという大きな家は、主に3つの柱によって支えられています。
1. カルチャー(文化)
これが最も重要で、DevOpsの土台となる部分です。
- チーム間の連携と協力: お互いの仕事を尊重し、共通の目標に向かって協力する文化を作ります。
- オープンなコミュニケーション: 役職やチームに関わらず、誰でも自由に意見を言い合える雰囲気を作ります。
- 失敗を恐れない: 失敗は学びの機会と捉え、責めるのではなく、チーム全体で原因を分析し、次に活かす文化を育みます。
2. プラクティス(実践)
文化を形にするための具体的な行動や手法です。その中でも特に重要なのが「CI/CD」です。
CI/CDとは?
CI/CDは、DevOpsを実現するための具体的なエンジニアリング手法で、ソフトウェア開発のプロセスを自動化し、高速化するための仕組みです。
- CI (継続的インテグレーション / Continuous Integration)これは、開発者が書いたコードを、頻繁に一つの場所にマージ(統合)し、自動的にビルドやテストを実行する仕組みのことです。例えるなら、自動車の組み立てラインです。エンジニアが作った「エンジン」や「タイヤ」といった部品(コード)を、すぐにメインのライン(リポジトリ)に組み込み、動くかどうかを自動でテストするイメージです。これにより、問題を早い段階で発見し、修正することができます。
- CD (継続的デリバリー / 継続的デプロイメント / Continuous Delivery/Deployment)これは、CIでテストが通ったコードを、いつでも本番環境にリリースできる状態にしておく、さらには自動的にリリースする仕組みのことです。先ほどの自動車工場の例で言えば、テストが完了した車を、すぐに出荷できる状態(デリバリー)にしたり、さらには自動運転でお客様の元へ届けてしまう(デプロイメント)ようなイメージです。これにより、新しい機能を迅速かつ安全にユーザーに届けることができます。
3. ツール
文化やプラクティスを効率的に実行するために、様々なツールを活用します。
カテゴリ | 目的 | 代表的なツール |
コード管理 | プログラムのコードを管理し、変更履歴を記録する | Git, GitHub, GitLab |
CI/CD | ビルド、テスト、デプロイを自動化する | Jenkins, CircleCI, GitHub Actions |
構成管理 | サーバーやインフラの状態をコードで管理する | Ansible, Terraform (Infrastructure as Code) |
監視 | システムが正常に動いているかを監視する | Datadog, Mackerel, Prometheus |
コミュニケーション | チーム内の情報共有を円滑にする | Slack, Microsoft Teams |
これらのツールを組み合わせることで、開発から運用までのプロセスを自動化し、人間はより創造的な仕事に集中できるようになります。
DevOpsのメリットとデメリット
DevOpsを導入することで、具体的にどんな良いことがあるのでしょうか?
メリット
- 開発スピードの向上: CI/CDによる自動化で、新しい機能や修正を、これまでとは比べ物にならないくらい速くユーザーに届けられるようになります。
- 品質の向上: テストを自動化し、頻繁に実行することで、バグを早期に発見・修正でき、システムの品質が高まります。
- 信頼性の向上: 障害が発生しても、迅速に原因を特定し、復旧できるようになります。また、Infrastructure as Code(後述)によって、インフラの再現性が高まり、人為的なミスも減ります。
- チームの生産性向上: 開発と運用が協力し、無駄な手作業や待ち時間が減ることで、チーム全体の生産性が向上します。エンジニアはより本質的な開発業務に集中できます。
デメリット(というか挑戦)
DevOpsは魔法の杖ではありません。導入して実践するには、いくつかの挑戦が伴います。
- 文化の変革が必要: これまで対立していたチームが協力し合う文化を根付かせるには、時間と努力が必要です。考え方を変えるのは簡単ではありません。
- 新しいスキルの習得: 開発者もインフラの知識を、運用者もコードの知識を、といったように、これまでより幅広いスキルセットが求められるようになります。
- ツールの導入・学習コスト: 様々なツールを導入し、使いこなすためには、学習の時間や導入のためのコストがかかります。
まとめと今後の学習指針
今回は、DevOpsの基本的な考え方について解説しました。開発と運用の間にある「壁」を取り払い、チームが協力し合う「文化」を土台に、「CI/CD」などの実践的な手法と「ツール」を駆使して、ビジネスの価値を迅速にユーザーへ届ける仕組み、それがDevOpsだということを感じていただけたでしょうか。
新人エンジニアのあなたにとって、DevOpsは少し遠い世界の話に聞こえるかもしれません。しかし、コーディングだけでなく、自分の書いたコードがどのようにテストされ、どのようにユーザーの元に届けられるのか、その全体像を意識することは、あなたのエンジニアとしての成長を大きく後押ししてくれます。
では、これから何を学んでいけば良いでしょうか?
- GitとGitHubに習熟する: まずは、全ての基本となるバージョン管理ツールGitの使い方をマスターしましょう。チームでの開発に必須のスキルです。
- 好きなCI/CDツールを触ってみる: GitHubを使っているなら「GitHub Actions」、他にも「CircleCI」など、無料で始められるCI/CDツールはたくさんあります。自分の書いた簡単なプログラムが自動でテストされ、ビルドされる流れを体験してみましょう!
- Infrastructure as Code (IaC)に触れる: 「Terraform」や「Ansible」といったツールが、なぜ必要なのかを調べてみましょう。サーバー構築をコードで管理するという考え方は、これからのインフラの基本となります。
DevOpsの旅は始まったばかりです。一つ一つの技術を学びながら、常に「どうすればもっと効率的に、もっと安全に価値を届けられるか?」という視点を持つことを忘れないでください。
その視点こそが、あなたを優秀なエンジニアへと導いてくれるはずです。頑張ってください!
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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