サイロ化とは?組織の壁が引き起こす問題と解決策を新人エンジニア向けに解説!

こんにちは。ゆうせいです。

社会人として、またエンジニアとして働き始めると、「うちの組織はサイロ化してるんだよね…」といった会話を耳にすることがあるかもしれません。「サイロ?あの牧場にある大きな筒のこと?」と、頭に「?」が浮かんだ方も多いのではないでしょうか。

その通り!「サイロ化」という言葉は、まさにあの牧場にある「サイロ」が語源になっています。

この記事では、新人エンジニアのあなたに向けて、「サイロ化」とは一体どのような状態なのか、なぜそれが問題なのか、そしてどうすれば解決できるのかを、身近な例え話を交えながら分かりやすく解説していきますね。

サイロ化とは?「牧場のサイロ」をイメージしよう!

まず、牧場にあるサイロを思い浮かべてみてください。

サイロは、トウモロコシなどの飼料を種類ごとに貯蔵しておく、縦長の大きな容器です。それぞれのサイロは頑丈な壁で仕切られていて、中の飼料が混ざることはありません。これは、飼料を品質良く保存するためには非常に効率的な仕組みです。

しかし、この「サイロ」を会社や組織に置き換えて考えてみると、どうでしょうか?

組織におけるサイロ化とは、「部署やチームが、まるで牧場のサイロのように孤立してしまい、他の部署との連携や情報共有ができていない状態」を指します。

各部署が自分たちの業務に集中するあまり、隣の部署が何をしているのか分からなかったり、持っている知識やノウハウを共有しなかったり…。そんな状態が、組織のサイロ化です。

例えるなら、巨大なレストランの厨房で、「野菜担当」「肉担当」「ソース担当」の各シェフが、お互いに一切会話せず、自分の作業だけに没頭しているようなものです。これでは、美味しい一皿の料理(=良い製品やサービス)を完成させるのは難しそうですよね。

なぜサイロ化は起きてしまうのか?

では、どうして組織はサイロ化してしまうのでしょうか?決して、みんなが意地悪で情報を隠しているわけではありません。多くの場合、組織が成長していく過程で、自然と発生してしまうのです。

主な原因をいくつか見てみましょう。

原因説明
組織の専門化・細分化会社が大きくなるにつれて、「営業部」「開発部」「人事部」のように専門部署に分かれます。専門性が高まるのは良いことですが、同時に「自分の専門外のことは分からない」という意識が生まれ、部署間の壁が高くなります。
物理的な距離フロアが違ったり、別の拠点(支社など)で働いていたりすると、単純に顔を合わせる機会が減り、コミュニケーションが希薄になりがちです。
評価制度の問題部署ごとや個人ごとの成果ばかりが評価される制度だと、「他の部署を助けるより、自分の部署の目標達成を優先しよう」という考えになりやすく、協力よりも競争が生まれてしまいます。
利用ツールの違い開発部はAというチャットツール、営業部はBという情報共有ツール、というように部署ごとに使うツールがバラバラだと、部署をまたいだ情報共有がスムーズにいきません。

これらの要因が複雑に絡み合い、気づかないうちに組織の風通しが悪くなり、サイロが形成されていくのです。

サイロ化が引き起こす深刻な問題点

「でも、自分の仕事に集中できるなら、それはそれで良いのでは?」と思うかもしれません。

しかし、サイロ化を放置しておくと、会社全体にとって様々な問題が発生します。特にIT業界では、その悪影響は深刻です。

1. 業務効率の低下と無駄なコストの発生

これが最も分かりやすい問題点です。

例えば、開発Aチームが作った便利な「データ分析ツール」の存在を、Bチームが知らなかったとします。すると、Bチームは同じようなツールをまたゼロから開発してしまうかもしれません。これは、時間もお金も、まさに二重の無駄ですよね。

情報が共有されていれば、「Aチームのツールを少し改良して使おう」という判断ができ、もっと効率的に仕事を進められたはずです。

2. 顧客満足度の低下

サイロ化は、社内だけでなく、お客様にも迷惑をかけてしまいます。

例えば、ある製品のことであなたが会社のサポート窓口に電話したとします。

あなた:「〇〇という機能の使い方が分からなくて…」

サポート担当:「恐れ入ります、その機能については開発部にしか分かりかねますので、一度お調べして折り返します…」

こんな経験はありませんか?

これは、サポート部門と開発部門の間で情報がうまく共有されていない(=サイロ化している)ために起こります。お客様からすれば、「たらい回しにされた」と感じ、サービスへの信頼を失ってしまうでしょう。

3. イノベーションの阻害

新しいアイデアやイノベーションは、異なる知識や視点が掛け合わさることで生まれることが多いです。

開発エンジニアの持つ技術的な知識と、営業担当者が現場で聞いたお客様の生の声を組み合わせることで、画期的な新機能のアイデアが生まれるかもしれません。

しかし、組織がサイロ化していると、こうした部署を越えた偶発的なコミュニケーションが生まれにくく、組織全体が新しい変化に対応できず、成長が止まってしまう危険性があるのです。

どうすればサイロを壊せるのか?

では、このやっかいなサイロ化を解決するために、私たちは何ができるのでしょうか?

1. 情報共有ツールの導入と統一

まず着手しやすいのが、社内の情報共有ツールを統一することです。チャットツール(Slackなど)やドキュメント共有ツール(Notion, Confluenceなど)を全社で統一し、「情報はオープンな場所でやり取りする」という文化を作ることが第一歩です。

2. 部署横断のプロジェクトチームを作る

特定の目的のために、様々な部署からメンバーを集めた横断的なチームを作るのも非常に効果的です。普段は関わらない人たちと一緒に仕事をすることで、お互いの業務への理解が深まり、新たなコミュニケーションが生まれます。

3. DevOpsの文化を取り入れる

エンジニアの皆さんには、特にこの考え方を知っておいてほしいです!

DevOpsとは、開発(Development)チームと運用(Operations)チームが密に連携し、協力し合うことで、システム開発をより迅速かつ確実に行うための考え方や文化のことです。

まさに、開発と運用の間にできがちな「サイロ」を壊すための具体的な取り組みと言えます。CI/CDツールを導入してデプロイを自動化したり、お互いのミーティングに積極的に参加したりすることも、DevOpsの一環です。

新人エンジニアとしてできること

「組織を変えるなんて、自分にはまだ無理…」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。新人エンジニアのあなたにも、サイロ化を防ぐためにできることはたくさんあります!

  • 自分の仕事や知識を積極的に発信する: 学んだことや、担当している業務について、チームのチャットや社内ブログなどで気軽に発信してみましょう。「〇〇さんがこんな便利なことを知っていたなんて!」と、誰かの助けになるかもしれません。
  • 他のチームの仕事に興味を持つ: ランチや雑談の際に、「〇〇さんって、普段どんなお仕事してるんですか?」と、少しだけ興味を持って質問してみてください。相手の仕事を知ることが、連携の第一歩です。
  • ドキュメントをしっかり書く: 自分が作った機能の仕様や使い方などを、他の人が見ても分かるようにドキュメントとして残す習慣をつけましょう。未来の自分やチームメンバーを助ける、素晴らしい行動です。

まとめ

今回は、組織の「サイロ化」について解説しました。

部署やチームが孤立し、連携が取れていない状態である「サイロ化」は、業務の非効率や顧客満足度の低下など、多くの問題を引き起こします。

この見えない壁を壊すためには、ツールを導入したり、組織の仕組みを変えたりすることも大切ですが、何よりも私たち一人ひとりが「他の部署と協力しよう」「自分の知識を共有しよう」と意識することが最も重要です。

ぜひ、明日からあなたの周りに「サイ-ロの壁」ができていないか少しだけ意識してみてください。そして、その壁を壊すための小さな一歩を踏み出してみてくださいね。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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