【新人エンジニア向け】MCPはAPIの次世代?話題の「Model Context Protocol」とAPIの違いを解説
こんにちは。ゆうせいです。
研修や日々の業務で「API」という言葉には、もうすっかりお馴染みになりましたか?「データを取得するときは、このAPIを叩いて…」なんて会話も日常茶飯事かもしれませんね。
では、最近、技術ニュースなどで少しずつ見かけるようになった「MCP」という言葉はどうでしょう?
「APIと何が違うの?」「新しいAPIのこと?」と、疑問に思っている方もいるかもしれません。
今回は、これからのAI時代に重要になるかもしれない、この「MCP」という新しい技術と、基本である「API」の違いについて、新人エンジニアのあなたにも分かりやすく解説していきます!
まずはおさらい:APIってなんだっけ?
MCPの話をする前に、まずは基本となるAPI(Application Programming Interface)について簡単におさらいしましょう。
APIを一言でいうと、「ソフトウェアやプログラム同士が会話するための窓口」です。
レストランで食事をするときのことを想像してみてください。
- あなた(プログラムA)は、メニュー(API仕様書)を見て、食べたい料理を決めます。
- ウェイターさん(API)に「このパスタをください」と注文(リクエスト)します。
- ウェイターさん(API)はあなたの注文を厨房(プログラムB)に伝えます。
- 厨房(プログラムB)で調理されたパスタが、ウェイターさん(API)を通じてあなたの元に運ばれてきます(レスポンス)。
この一連の流れで、あなたは厨房の詳しい仕組み(レシピや調理手順)を知らなくても、ウェイターさんという「窓口」を通じて、目的の料理を手に入れることができましたよね。
このように、APIは決められたルール(プロトコル)に従ってリクエストを送ることで、相手のソフトウェアの機能を利用したり、データを取得したりできる、非常に便利な仕組みなのです。
新しい波:じゃあ、MCPって何者?
さて、ここからが本題です。MCPとは「Model Context Protocol」の略で、特に生成AI(大規模言語モデル、LLM)が、外部のデータやツールと連携しやすくするために考えられた「新しい共通ルール」のことです。
よく「AI界のUSB-Cポート」と例えられます。
昔の携帯電話の充電器って、メーカーごとに形がバラバラで不便でしたよね?それが今ではUSB-Cという共通の規格ができて、どのメーカーのスマホでも同じケーブルで充電できるようになりました。
MCPが目指しているのは、まさにこれと同じことです。今までは、AIが「Slackに通知を送る」「Googleカレンダーに予定を入れる」といった外部のツールを使おうとすると、それぞれのツール専用の「接続方法(API)」を個別に理解する必要がありました。
MCPは、AIと外部ツールの間に「MCP」という共通の窓口を設けることで、AIがもっと簡単に、そして自律的に様々なツールを使いこなせるようにしよう、という考え方なのです。
MCPとAPI、決定的な違いは?
「結局、どっちも『連携するための窓口』なんでしょ?」と思ったあなた、鋭いですね。確かに役割は似ていますが、その設計思想や目的に大きな違いがあります。
一番の大きな違いは、「誰が使うことを前提にしているか」です。
- API → 主に「人間(エンジニア)」が仕様書を読んで使うことを前提に設計されています。
- MCP → 主に「AI」がその場で使い方を自律的に理解して使うことを前提に設計されています。
もう少し具体的に見てみましょう。
観点 | API (Application Programming Interface) | MCP (Model Context Protocol) |
主な目的 | 汎用的なシステム間の機能連携 | AI(LLM)と外部ツールの連携に特化 |
設計思想 | 人間(開発者)が仕様を読んで使う | AIが自律的に理解して使う |
連携の仕方 | 事前に決められたやり方でリクエストする | AIが動的にツールの使い方を発見・理解する |
例えるなら | 特定のレストランの「ウェイター」 | 様々な専門店を束ねる「コンシェルジュ」 |
APIは、人間が「このURLに、この形式でデータを送れば、こういう結果が返ってくる」というルールを事前に学んで利用します。
一方、MCPは、AIが「何かをしたい」と思ったときに、「利用可能なツール一覧とその説明書」をMCPに問い合わせ、AI自身が「じゃあ、このタスクを達成するためには、このツールをこう使えばいいんだな」と動的に判断して実行する、という世界を目指しています。
まとめ:基礎とトレンドの両輪で成長しよう!
ここまでMCPとAPIの違いを解説してきましたが、大事なことをお伝えします。MCPはAPIを置き換える敵対的な技術ではありません。むしろ、既存の便利なAPIを、AIがもっと使いやすいように「翻訳」したり「束ねたり」する、協調的な関係にあります。
新人エンジニアのあなたにとって、今、何をすべきでしょうか?
- まずはAPIの基礎を徹底的に固める!APIの仕組み、特にREST APIの設計原則や使い方をしっかりマスターすることは、今後もエンジニアとしての強力な土台になります。MCPを理解する上でも、APIの知識は不可欠です。
- MCPのような新しいトレンドにアンテナを張るMCPはまだ新しい概念で、広く普及するには時間がかかるかもしれません。しかし、AIが自律的に動く「AIエージェント」のような技術が発展するにつれて、その重要性は間違いなく増していきます。
今のWeb開発の根幹を支えているのがAPIだとすれば、MCPは未来のAIアプリケーションの根幹を支える技術になるかもしれません。
まずは足元であるAPIのスキルをしっかりと磨きつつ、MCPのような少し先の未来の技術トレンドにも目を向けておく。この「基礎」と「トレンド」の両輪を意識することが、これからの時代を生き抜くエンジニアにとって、とても大切な姿勢になります。
今日の話が、あなたの学びのヒントになれば嬉しいです!
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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