【CPUとGPUの違い】天才博士と大軍団?それぞれの得意技を新人エンジニア向けに解説!
こんにちは。ゆうせいです。
パソコンやサーバーのスペック表を見ると、必ずと言っていいほど登場するCPUとGPU。どちらも「プロセッサ」の一種で、計算を担当する重要なパーツですが、この二つの役割の違いをはっきりと説明できますか?
「どっちも計算するんでしょ?」「GPUは画像が得意、くらいのイメージしかない…」なんて思っている方もいるかもしれません。
この二つの違いを理解することは、あなたがエンジニアとして、処理のボトルネックを見つけたり、適切なハードウェアを選んだりする上で非常に重要です。そこで今回は、CPUとGPUの根本的な違いと、それぞれの得意技について、分かりやすい例え話を交えながら解説していきます!
CPUとGPUを例えるなら「天才博士」と「兵士の大軍団」
この二つの関係を理解するために、一つ最高の例え話をしましょう。
CPUは「何でもこなせる一人の天才博士」、GPUは「単純作業が得意な兵士の大軍団」です。
CPUは「天才博士」
CPUは、どんなに複雑で難しい問題でも、一人で素早く解いてしまう天才博士のような存在です。博士は非常に賢く、思考のスピード(クロック周波数)もとてつもなく速い。数学の難問から、哲学的な問い、次に何をすべきかの判断まで、多種多様なタスクを次々とこなします。
ただ、博士は一人しかいません。そのため、たくさんの問題を同時に渡されると、一つ一つ順番に片付けていくしかありません。
- 特徴:
- 一つ一つのコア(博士の脳)が非常に高性能
- 複雑で連続した処理(直列処理)が得意
- 応答速度(レイテンシ)が非常に短い
GPUは「兵士の大軍団」
一方のGPUは、統率の取れた何千、何万という兵士で構成された大軍団です。兵士一人ひとりの能力は、博士のような複雑な思考はできません。「右を向け」「前に進め」「武器を構えろ」といった、ごく単純な命令しか実行できないのです。
しかし、その兵士の数が圧倒的に多い!司令官が「全員、前に進め!」と一度命令すれば、何千人もの兵士が一斉にその単純作業をこなします。この物量が、とてつもないパワーを生み出すのです。
- 特徴:
- 単純な作業をするコア(兵士)の数が圧倒的に多い
- 同じ作業を大規模に繰り返す処理(並列処理)が超得意
- 処理量(スループット)が非常に大きい
CPUの得意技:複雑で連続的なタスク(直列処理)
CPUはコンピュータ全体の「脳」であり、司令塔です。OSの実行、アプリケーションの起動、マウスやキーボードからの入力処理など、コンピュータで起こるありとあらゆる「次に何をすべきか」という判断と実行を担っています。
CPUの仕事は、料理のレシピを最初から最後まで、順番通りに一つずつこなしていくようなものです。「まず、玉ねぎを切りなさい」「次に、フライパンを熱しなさい」といった、一つ一つが独立していて、かつ順番が重要な命令を高速に実行するのが得意なのです。このような処理を「直列処理」と呼びます。
この「応答速度の速さ(低レイテンシ)」がCPUの命です。あなたがマウスをクリックした瞬間に、プログラムが即座に反応するのは、天才博士であるCPUが、その複雑な命令を瞬時に解釈して実行してくれるからなのです。
GPUの得意技:単純作業の超大規模な並列処理
もともとGPUは、その名の通りグラフィックス(画像)を描画するための専門パーツでした。3Dゲームの画面を想像してください。画面上には何百万ものピクセル(点)があり、それら一つ一つの色を瞬時に計算し、更新し続ける必要があります。
「ピクセルAの色を計算する」「ピクセルBの色を計算する」…これらの計算は、お互いに関係がなく、独立しています。つまり、同時に実行できるのです!
ここで「兵士の大軍団」であるGPUの出番です。何千ものコア(兵士)が、それぞれ別々のピクセルの色計算を一斉に担当します。このような処理を「並列処理」と呼びます。
そして、この「単純な計算を、大量のデータに対して一斉に行う」という特性が、現代のAI、特にディープラーニングの計算(行列演算)に完璧にマッチしたのです。AIの学習でGPUが必須と言われるのは、まさにこのためです。
一目でわかる!CPU vs GPU 特徴比較表
観点 | CPU (天才博士) | GPU (兵士の大軍団) |
コアの数と能力 | 少ないが、一つ一つが超高性能 | 膨大にあるが、一つ一つは単純作業専門 |
得意な処理 | 直列処理 (複雑な連続タスク) | 並列処理 (単純な一括タスク) |
重要な性能指標 | 低レイテンシ (応答速度) | 高スループット (処理量) |
主な用途 | OSの実行、一般的なアプリケーション | 画像処理、科学技術計算、AIの学習 |
例えるなら | 一人で何でもこなす天才博士 | 大人数で単純作業をこなす軍団 |
まとめ:適材適所で最高のパフォーマンスを
CPUとGPUは、どちらが優れているかというライバル関係ではありません。それぞれ全く異なる得意分野を持つ、最高のパートナーなのです。
- CPU: 連続した複雑な処理を「いかに速く」終わらせるか(低レイテンシ)
- GPU: 大量の単純作業を「いかに多く」こなせるか(高スループット)
あなたがエンジニアとしてプログラムを書くとき、この違いを意識することが重要です。
複雑な条件分岐や、前の処理が終わらないと次に進めないような処理は、CPU向けのタスクです。一方で、画像処理やAIの学習のように、同じような単純計算を大量のデータに対して一括で行いたいなら、それはGPUの出番です!
これからは、単にスペックの数字を見るだけでなく、「この処理は天才博士にお願いすべきか、それとも大軍団に号令をかけるべきか?」と考えてみてください。そうすれば、よりパフォーマンスの高いシステム設計ができるようになるはずですよ。
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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