テンソルの次元削減!Flattenが機械学習で果たす重要な役割とは?

こんにちは。ゆうせいです。

機械学習の勉強を始めると、たくさんの専門用語が出てきて戸惑うことも多いですよね。特に「テンソル」や「次元」といった言葉は、数学的な響きがして難しく感じるかもしれません。

今回は、そんなテンソル操作の中でも基本中の基本、「Flatten(フラッテン)」について、一緒に学んでいきましょう!「多次元のデータを、なぜわざわざ1次元にするの?」そんな疑問に、例え話を交えながら分かりやすくお答えします。

Flattenって、いったい何のこと?

一言でいうと、Flattenとは「複数次元のテンソルを、1次元のテンソルに変換すること」です。

「テンソル」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、要は「数字が詰まった箱」だと思ってください。

  • 1次元テンソル: 数字が一列に並んだ箱(ベクトル)
  • 2次元テンソル: 数字が縦横に並んだ箱(行列)
  • 3次元テンソル: 数字が縦・横・高さに並んだ箱(立方体)

例えば、あなたが持っている白黒写真について考えてみましょう。この写真は、ピクセル(画素)の集まりでできていますよね。縦10ピクセル、横10ピクセルの小さな写真があったとします。これは、数字が10x10の形に並んでいるので「2次元テンソル」と考えることができます。

Flattenは、この10x10のマス目に並んだ数字を、端から順番に拾い上げて、100個の数字がずらっと一列に並んだ状態に変える作業なんです。まるで、編み物をほどいて一本の毛糸に戻すようなイメージでしょうか。

なぜFlattenが必要なの?

「せっかく写真のように意味のある形で並んでいるのに、なぜわざわざ一列に並べ直す必要があるの?」とても良い質問ですね!

その最大の理由は、次の処理(レイヤー)が受け取れる形にデータを整えるためです。

機械学習、特にディープラーニングでは、「レイヤー」と呼ばれる処理の層を何層にも重ねて、複雑な判断を行っています。画像認識の分野でよく使われるCNN(畳み込みニューラルネットワーク)を例に見てみましょう。

  1. 畳み込み層・プーリング層: まず、画像から特徴(例えば、輪郭や模様など)を抽出します。この段階では、データはまだ2次元や3次元の形を保っています。画像の位置情報が重要だからです。
  2. 全結合層: 次に、抽出された特徴をもとに、それが「猫」なのか「犬」なのかを最終的に判断する層(全結合層)にデータを渡します。

ここで問題が発生します!この最終判断を下す「全結合層」は、データが1次元に並んでいることしか想定していない、ちょっと不器用なやつなんです。2次元のままのデータ(写真のままのデータ)を渡されても、「どう扱っていいか分からないよ!」となってしまいます。

そこで登場するのがFlattenです!

全結合層にデータを渡す直前に、Flattenを挟んであげることで、2次元や3次元だった特徴データを、彼が理解できる1次元のデータに変換してあげるのです。いわば、海外のコンセント形状に合わせて変換プラグをかませるような役割ですね。

Flattenのメリットとデメリット

メリット

Flattenの最大のメリットは、何と言ってもそのシンプルさと、異なる次元のデータを統一的な形式で扱えるようにする点にあります。これにより、画像データから抽出した特徴を、最終的な分類や回帰といったタスクにつなげることが可能になります。

デメリット

一方で、デメリットも存在します。それは、位置情報が失われてしまうことです。

2次元の画像データでは、「どの数字がどの数字の隣にあるか」という位置関係に重要な意味がありました。しかし、Flattenによって1次元の列にしてしまうと、その情報は失われてしまいます。

そのため、CNNのように、処理の初期段階で画像の位置情報を活用して特徴を抽出することが非常に重要になるわけですね。

まとめと今後の学習指針

今回は、複数次元のテンソルを1次元に変換する「Flatten」について解説しました。

  • Flattenとは: 多次元のデータを「平らに」して1次元のデータにすること。
  • なぜ必要か: データを全結合層などの後続の処理が受け取れる形に整えるため。

Flattenは、機械学習モデルの中でデータをスムーズに受け渡すための、いわば「翻訳者」や「変換プラグ」のような地味ながらも欠かせない存在です。

もしあなたがこれから機械学習の学習を深めていくなら、次は以下の点に注目してみるのがおすすめです。

  • 全結合層(Dense Layer): Flattenされたデータが、その後どのように処理されていくのかを見てみましょう。
  • 畳み込みニューラルネットワーク(CNN): なぜ画像処理では、Flattenの前に畳み込み層が必要なのか、その仕組みを理解すると、より深くFlattenの役割が見えてきます。

一つ一つの処理の意味を理解していくと、複雑に見えるモデル全体の構造もきっと理解できるようになります。頑張ってください!


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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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