【対数】logの底はいつ省略できる?ネイピア数eと常用対数を徹底解説!
こんにちは。ゆうせいです。
「対数の計算をしていると、たまにlogの右下に小さい数字(底)が書かれていないことがあるけど、アレって何?」
こんな疑問を持ったことはありませんか?
結論から言うと、対数の底は、文脈によって「当たり前」の数字が決まっている場合に省略されるんです。数学の世界にも、わざわざ言わなくても分かるでしょ?という暗黙のルールがあるわけですね。
この記事では、対数の底が省略される2つの主要なケース、「常用対数」と「自然対数」について、対数の基本から丁寧に解説していきます。この記事を読み終える頃には、底が書かれていないlogを見ても、もう迷うことはありません!
そもそも対数(log)って何だっけ?
まずはおさらいからいきましょう!対数とは、一言でいうと「ある数を何乗したら、別の数になりますか?」を表すための道具です。
例えば、「2を何乗したら8になりますか?」という質問を考えてみましょう。答えは3乗ですよね。これを数式で表現したものが対数で、次のように書きます。
この式の2
を「底」、8
を「真数(しんすう)」と呼びます。つまり、対数
は、「底a
を何乗したら真数b
になりますか?」という問いの答え(指数)を表しているのです。
ケース1:底が10の「常用対数」
さて、ここからが本題です。底が省略される一つ目のケースは、「常用対数(じょうようたいすう)」です。
常用対数とは、底が10
である対数のことです。なぜ10
が特別扱いされるのでしょうか?
それは、私たちが普段使っている数字が「10進数」だからです。10、100、1000…と、10倍ごとに桁が上がっていきますよね。この「10」を基準に考えることは、特に科学や工学の分野で非常に便利なんです。
例えば、非常に大きな数や小さな数を扱う天文学や化学の世界では、常用対数を使うことで、桁数を直感的に把握しやすくなります。
そして、この常用対数は、あまりにも「よく使われる」ため、底の10
を省略して書くことが許されています。
は
と書ける
つまり、
と書かれていたら、「10を何乗したら100になりますか?」と聞かれているのと同じで、答えは2
となります。
常用対数のメリット
- 桁数の把握が容易になる。例えば、
の整数部分を見れば、X
が何桁の数なのかがすぐに分かります。 - 科学技術計算で広く利用されている。
常用対数のデメリット(注意点)
- 後述する自然対数と混同しやすい。どちらを指しているのかは、その学問分野の慣習を確認する必要があります。
ケース2:底がネイピア数eの「自然対数」
底が省略されるもう一つの重要なケースが、「自然対数(しぜんたいすう)」です。
自然対数とは、底が「ネイピア数e
」である対数のことです。
「e
って何!?」と思われたかもしれませんね。e
は、円周率
と同じように、数学の世界で非常に重要な「超越数」の一つで、その値は
と無限に続く小数です。
このネイピア数e
は、微分や積分といった計算において、式が非常にシンプルで美しくなるという、数学的にとても「自然」な性質を持っています。そのため、高等数学や物理学、経済学など、理論的な分野では、常用対数よりもむしろ自然対数が圧倒的によく使われます。
そして、この自然対数は、底のe
を省略し、log
の代わりにln
(Natural Logarithmの略)という記号を使って表すのが一般的です。
は
と書く
つまり、
と書かれていたら、それは底がe
の対数のことなんだ、と理解してください。
自然対数のメリット
- 微分・積分などの計算が非常にシンプルになる。例えば、
となりますが、他の底の対数ではこうはいきません。 - 複雑な理論計算の場面で大活躍する。
自然対数のデメリット(注意点)
e
という数自体に馴染みがないと、直感的に理解しにくいかもしれません。log
とだけ書かれている場合、分野によっては自然対数を指すこともあるため、文脈の確認が不可欠です。
まとめ:省略ルールを見分けるには?
これまでの話をまとめましょう。
種類 | 底 | 書き方 | 主な分野 |
常用対数 | 10 |
| 科学、工学 |
自然対数 | e |
| 数学、物理学、経済学 |
基本的には、log
と書かれていれば常用対数(底は10)、ln
と書かれていれば自然対数(底はe)と覚えておけば、高校数学の範囲ではまず問題ありません。
ただし、大学以降の専門分野に進むと、log x
と書いてあっても自然対数を意味することが多くなります。これは、その分野では自然対数を使うのが「当たり前」だからですね。どちらを指しているのかは、教科書や論文の冒頭の定義をしっかりと確認する習慣をつけましょう!
今後の学習に向けて
対数の世界は、指数法則と密接に結びついており、理解が深まれば様々な計算がスムーズに行えるようになります。
まずは、常用対数と自然対数という2つの「特別な対数」があることをしっかり覚えてください。そして、それぞれの対数がどんな場面で活躍するのかを知ることで、数学の世界の面白さがさらに見えてくるはずです。
対数の基本的な計算ルール(
など)を復習しつつ、色々な問題に挑戦してみてください。応援しています!
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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