【新人エンジニア必見】勝負勘より計算?「賭けの数式」で学ぶ確率的思考

こんにちは。ゆうせいです。

エンジニアとして働き始めると、毎日が「選択」の連続だとは思いませんか。

「このバグの原因はAかBか?」「この新機能の実装方法はプランXとプランY、どちらが安全か?」

これらはある意味、自分のリソースを投じる「ギャンブル」のようなものです。

今日は、そんな日々の選択という名のギャンブルに勝つための考え方を、ひとつの数式から学んでいきましょう。

1. ギャンブルに勝つための「賭けの数式」

いきなりですが、皆さんは「絶対に勝てるギャンブル」が存在すると思いますか?

残念ながら、魔法のような必勝法はありません。しかし、「勝つ確率を計算し、負けにくい戦い方をする」ことは可能です。

今回紹介するのは、そんな勝負の行方を占うこちらの数式です。

P( 本命の勝利 ) = \frac{1}{1 + \alpha x^\beta}

うっ、といきなり拒否反応を示さないでくださいね。

この式が何を言おうとしているのか、分解して見ていきましょう。

2. 数式を解読しよう

この数式は、ある勝負において「本命(勝ちそうな側)」が実際に勝つ確率 P を表すモデルの一例です。

  • P確率(Probability) です。0から1の間の値をとります。1に近いほど「ほぼ間違いなく勝つ」状態です。
  • x : ここでは 「不確定な要素」や「相手の強さ」 だと考えてみてください。競馬で言えばオッズ(倍率)のようなものです。この数字が大きくなるほど、勝つのは難しくなります。
  • \alpha (アルファ)と \beta (ベータ): これらは 「パラメータ」 と呼ばれる調整役です。環境の厳しさや、その場のルールの癖などを表す数字だと思ってください。

式が教えてくれること

この式の分母を見てください。 1 + \alpha x^\beta となっていますね。

もし x (相手の強さや困難さ)がすごく大きくなったらどうなるでしょうか?

分母が大きくなるので、全体の結果である P (勝つ確率)は小さくなります。つまり、困難が大きければ勝率は下がる。当たり前のことですが、これを数式で表すことで、「どれくらい下がるのか」がカーブとして目に見えるようになるのです。

3. エンジニアが知っておくべき専門用語

ここで、少しだけ専門的な話をしましょう。

数理モデル(Mathematical Model)

現実世界の出来事を、今回のように数式で表現したものを「数理モデル」と呼びます。

現実の世界は複雑すぎて、すべてを完璧に予測することはできません。そこで、要素を絞り込んで数式に落とし込み、シミュレーションしやすくするのです。エンジニアの仕事も、複雑な業務要件をコードという「論理的なモデル」に落とし込む作業と言えますね。

非線形(Non-linear)

この式には x^\beta という部分があります。これがあるおかげで、グラフにしたときに直線ではなく、グニャッとした曲線(カーブ)を描きます。

これを「非線形」と言います。

現実は「頑張れば頑張った分だけ結果が出る(直線)」ことばかりではありません。ある地点を超えると急に成果が出たり、あるいは急に難しくなったりします。この数式は、そんな現実のリアルな変化を表現しているのです。

4. この考え方を使うメリットとデメリット

では、仕事でこの「確率的に考える」スタンスを取り入れると、どんな良いことがあるのでしょうか。

メリット

最大のメリットは 「客観的な判断ができる」 ことです。

「なんとなくいけそうな気がする!」という根拠のない自信で開発を進めて、後で炎上したことはありませんか?

「このバグの発生確率は低いけれど、もし起きたら致命的だ」といったように、リスクと確率を天秤にかける習慣がつきます。感情に流されず、数字やロジックで判断できるようになれば、一人前のエンジニアです。

デメリット

一方で、注意点もあります。それは 「モデルが現実とズレていると、間違った答えが出る」 ということです。

先ほどの式の \alpha\beta の設定を間違えれば、計算された確率はデタラメになります。「計算上は完璧だったのに!」という失敗は、たいていこの前提条件(パラメータ)の見積もりが甘いときに起こります。数式を過信しすぎないバランス感覚も必要です。

5. 今後の学習の指針

まずは、「世の中の出来事を確率で捉える」という癖をつけてみてください。

絶対に成功する方法を探すのではなく、「どうすれば成功確率( P )を数パーセントでも上げられるか?」と考えるのです。そのためには、自分にとっての x (困難な要素)は何で、どうすればそれを小さくできるかを分析することから始めてみましょう。

次回は、入ってきた情報をどう処理するかという「判断の数式」について解説します。

状況を正しく理解するための、強力な武器をお渡ししますよ。お楽しみに!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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