【プログラミングの正体】世界を「論理」で書き換える!最強の構文「If-Then」

こんにちは。ゆうせいです。

ここまで9回にわたり、確率や統計、AIの数式など、少し難しい数学の話をしてきました。

しかし、私たちエンジニアが毎日向き合っている画面の中で、最も多くタイプし、最も頼りにしているのは、実はもっと単純な言葉です。

それが、今回のテーマである「普遍の数式」です。

1. 絶対的な正しさを生み出す「普遍の数式」

最後にご紹介するのは、数式というよりは「論理の構造」そのものです。

If \dots then \dots

「えっ、これだけ? 英語の授業?」と思いましたか?

はい、これだけです。しかし、これがコンピュータという機械を動かし、現代社会のインフラを支えている 「絶対的なルール」 なのです。

2. 数式を解読しよう

これを数学(論理学)の記号で書くと、こうなります。

P \rightarrow Q

読み方は 「ならば(Implication)」 です。

「もし P (条件)が正しいならば、 Q (結果)を実行せよ」という意味です。

なぜこれが「普遍」なのか?

これまで紹介した「確率(◯%で勝てる)」や「統計(だいたいこの範囲)」には、常に「曖昧さ」が含まれていました。

しかし、この「If ... then ...」の世界には、曖昧さが一切ありません。

  • もし「在庫が0」ならば、必ず「売り切れ表示」にする。
  • もし「パスワードが一致」ならば、必ず「ログイン」させる。

ここには「たぶんログインできる」とか「運が良ければ売り切れになる」という余地はありません。条件が満たされれば、100%確実に結果が起きる。

この 「因果関係の確定」 こそが、プログラミングの本質であり、エンジニアが作り出す「絶対的な正しさ」の正体なのです。

3. エンジニアが知っておくべき専門用語

このシンプルな構造を深く理解するために、3つの概念を覚えてください。

命題(Proposition)

「正しい(真)」か「間違っている(偽)」かのどちらかにハッキリ決まる文章のことです。

コンピュータは「なんとなく暑い」という言葉は理解できません。「気温が30度以上である」という、YesかNoかで答えられる命題しか扱えません。世界を命題に変換する力がエンジニアには求められます。

真理値表(Truth Table)

「条件AがYesで条件BもYesなら結果はYes」「条件AがNoなら結果はNo」といった、あらゆるパターンの組み合わせを表にしたものです。

バグのないプログラムを書く人は、頭の中でこの表を瞬時に組み立てています。「もしここがNull(空っぽ)だったらどうなる?」という例外パターンを、この表で網羅しているのです。

アルゴリズム(Algorithm)

この「If ... then ...」を無数に積み重ねて作った「手順書」のことです。

どんなに複雑なAIも、巨大な金融システムも、分解していけば小さな「もしこうなったら、次はこうする」という命令の集まりにすぎません。

4. この考え方を使うメリットとデメリット

メリット

「世界をコントロールできる」 ことです。

現実世界はカオスで思い通りになりませんが、プログラムの中(If文の中)だけは、あなたが神様です。あなたが決めたルール通りに、電子たちは忠実に動きます。

この「思った通りに動く」という全能感こそが、プログラミングの最大の楽しさであり、モノづくりの醍醐味です。

デメリット

「想定外のことにめっぽう弱い」 ことです。

「If A then B」としか書いていないプログラムに、Cという状況が来たらどうなるでしょう?

コンピュータはフリーズするか、エラーで落ちてしまいます。「なんとなく空気を読んで動く」ことはできません。

だからこそ、私たちエンジニアが想像力を働かせて、「Else(それ以外の場合)」を網羅し、あらゆる可能性に対処してあげる必要があるのです。

5. 今後の学習の指針

これで10個の数式の解説は終わりです。

最後に、新人エンジニアの皆さんに伝えたいことがあります。

私たちは、不確実な世界(確率・統計)の中に、確実なルール(論理・アルゴリズム)を構築して、世の中を便利にする仕事をしています。

  • わからないことは 確率 で見積もる。
  • 過去のデータは 統計 で分析する。
  • そして最後は、 If文 で確実なシステムに落とし込む。

この一連の流れが身につけば、あなたはもう一人前のエンジニアです。

最初はエラーばかりで心が折れそうになるかもしれませんが、そのエラーさえも「学習の数式」にとっては成長の糧です。

さあ、この10個の数式を武器に、自信を持ってコードを書き始めてください。

あなたの書く「If」の一つひとつが、誰かの役に立つ未来を作っています。

ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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