エンジニアこそ知っておきたい!「ビジネスマナー」が最強のコスパ戦略である理由

こんにちは。ゆうせいです。

新人エンジニアのみなさん、毎日コードを書くのは楽しいですか?

でも、仕事をしていると、コードを書く以外の時間、たとえばメールの返信や名刺交換、上司への報告といった「ビジネスマナー」を求められる場面に出くわしますよね。

正直なところ、「なんでこんな面倒なルールがあるんだろう?」と思ったことはありませんか。

「中身が優秀なら、挨拶の角度なんてどうでもいいじゃないか」

「敬語なんて堅苦しいし、効率が悪い」

その気持ち、痛いほどよくわかります。エンジニアは合理性を愛する生き物ですから、意味のわからない儀式は「バグ」のように感じるかもしれません。

しかし、今日はあえて断言させてください。

ビジネスマナーは、あなたを守るための「最強の防具」であり、もっとも学習コストが低くリターンが大きい「高コスパなスキル」なのです。

今日は、理不尽に見えるマナーの世界を、エンジニアらしく「論理」でハックしてみましょう!


マナーとは「人間関係のAPI」である

まず、ビジネスマナーを「精神論」や「伝統」として捉えるのをやめてみましょう。

エンジニアのみなさんなら、「API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」という言葉をご存知ですよね?

異なるソフトウェア同士がデータをやり取りするための、決まった接続口やルールのことです。もし、APIの仕様書を無視して、独自の形式でデータを送りつけたらどうなるでしょうか。

当然、エラーが返ってきます。システムはクラッシュし、通信は遮断されますよね。

人間関係もこれと全く同じです。

  • あなた:高度な処理能力を持つサーバー
  • 相手(上司やクライアント):別の仕様で動いているクライアント
  • ビジネスマナー:お互いが安全に通信するための標準API

もしあなたが、「俺流」の話し方や態度で接すると、相手はあなたのデータを正しく処理できません。「失礼だ!」というエラー(例外処理)が発生し、本来通るはずだった要件も通らなくなります。

つまり、マナーを守るとは「標準プロトコル(通信規約)に従って、パケットロス(誤解)を防ぐ」という、極めて技術的な行為なのです。


コストパフォーマンスを数式で考える

では、なぜマナーが「自分のため」になるのか。それを「コスパ(コストパフォーマンス)」の観点で見てみましょう。

ここでいうコストとは、マナーを覚える手間や、丁寧に振る舞う労力のことです。

パフォーマンスとは、それによって得られる信頼や、仕事の進めやすさのことです。

この関係性を式にしてみると、こうなります。

仕事の成果 = 技術力 \times 信頼係数

ここで重要なのは、掛け算の記号 \times が入っていることです。

どれだけ技術力が「100」あっても、マナーが悪くて相手を不快にさせ、信頼係数が「0.5」になってしまったら、成果は「50」にしかなりません。

逆に、マナーを身につけて信頼係数を「1.2」にできれば、成果は「120」に跳ね上がります。

さらに面白いのは、「マナー習得のコスト」は、技術習得のコストに比べて圧倒的に低いという点です。

新しいプログラミング言語をマスターするには、何百時間もの勉強が必要です。しかし、「正しい名刺の渡し方」や「失礼のないメールの定型文」は、一度覚えてしまえば一生使える「ライブラリ」のようなものです。

わずかな学習コストで、信頼係数を下げずに済む(あるいは上げられる)。これほど投資対効果の高いスキルは、他にあまりありません。


「シグナリング理論」で自分を高く売る

もう一つ、経済学の「シグナリング」という専門用語を使って解説しましょう。

シグナリングとは、「情報の格差がある状態で、品質を証明するために合図(シグナル)を送る行為」のことです。

たとえば、あなたが初めて会うクライアントは、あなたの書くコードの品質を知りません。中身が見えないのです。

そんなとき、相手は何を見て「このエンジニアは優秀そうだ」「仕事を任せても大丈夫そうだ」と判断するでしょうか?

残念ながら、それは「見た目」や「態度」です。

  • スーツやシャツが整っている \rightarrow 「几帳面な仕事をしてくれそうだ(バグが少なそう)」
  • メールのレスポンスが早く丁寧 \rightarrow 「進捗報告もこまめにしてくれそうだ」

このように、マナーは「私は信頼できる人間ですよ」というシグナルとして機能します。

もし、あなたがボサボサの髪で、挨拶もせずに会議室に入ってきたらどうでしょう。「この人は生活が乱れているから、コードもスパゲッティコード(ぐちゃぐちゃ)かもしれない」という、誤ったシグナルを送ることになってしまいます。

中身が優秀だからこそ、外側の「パッケージング」で損をするのは、あまりにももったいないと思いませんか?


マナー武装のメリット・デメリット

ここで、マナーを戦略的に取り入れることのメリットとデメリットを整理しておきましょう。

メリット:エラー処理の手間が激減する

マナーを守っていれば、相手が不機嫌になったり、理不尽なクレームを受けたりする確率が下がります。つまり、トラブル対応という「事後処理」のコストを未然に防ぐことができるのです。あなたは本来の業務である開発に集中できます。

デメリット:本質を見失うリスクがある

マナーはあくまで「手段」です。ハンコを推す角度や、お辞儀の秒数など、細かいルールを守ること自体が「目的」になってしまうと、本末転倒です。これを「形式主義」といいます。あくまで「円滑な通信のため」という目的を忘れないようにしましょう。


今後の学習の指針

いかがでしたか?

「上司のために頭を下げる」と思うと腹が立つかもしれません。でも、「自分の時給を最大化するために、通信プロトコルを最適化する」と考えれば、少しやる気が出てきませんか?

今日からできるアクションプランとして、次の3つを提案します。

  1. 定型文(スニペット)を登録する:よく使うビジネスメールの挨拶や謝罪文は、辞書登録しておきましょう。入力の手間も省けて一石二鳥です。
  2. 「型」だけ覚える:名刺交換や席次(座る場所)には「正解の型」があります。理由なんて考えず、関数の仕様だと思って丸暗記してください。
  3. 観察する:社内で「仕事ができる」と言われている先輩が、どう振る舞っているか観察してください。彼らはきっと、マナーというAPIを上手に使いこなしているはずです。

マナーという名のドレスコードを纏(まと)い、その内側に鋭い技術というナイフを隠し持つ。そんなスマートなエンジニアになって、この業界をハックしていってください!

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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