笑いで学びが変わる?研修講師と漫才師の意外な共通点と決定的な違い
こんにちは。ゆうせいです。
みなさんは、年末にお笑いの賞レースを見て大笑いした経験はありますか?
プロの漫才師が話すと、何気ない日常の話でもお腹を抱えて笑ってしまいますよね。
では、その漫才師がもし学校の先生や会社の研修講師だったらどうでしょう?
「きっと授業が楽しくて、寝る人なんていないだろうな」と想像しませんか。
実は、一流の研修講師は、漫才師と同じようなテクニックを使って、受講生の心をガッチリ掴んでいるのです。
今回は、笑いのプロである漫才師と、学びのプロである研修講師、この二つの職業の共通点と違いを比べながら、人を惹きつける話し方の極意について解説していきます。
研修講師と漫才師の共通点:空気を作る技術
まず共通しているのは、話し始める前の「空気作り」と、話している最中の「間(ま)」の技術です。
つかみとアイスブレイク
漫才師が舞台に出てきて最初にすることと言えば何でしょうか?
そう、「つかみ」ですよね。
「はい、どうもー!」と大きな声を出したり、ちょっとした自虐ネタを言ったりして、観客を一瞬で自分たちに注目させます。
研修講師もまったく同じことを行います。
これを専門用語で「アイスブレイク」と呼びます。
氷(アイス)を壊す(ブレイク)ように、カチコチに緊張した会場の空気を和らげる手法のことです。
講師がいきなり難しい教科書を読み始めたら、受講生は心を閉ざしてしまいます。
まずは「今日はどこから来ましたか?」と問いかけたり、ちょっとした失敗談を話したりして、「この人の話なら聞いてもいいかな」と思わせる信頼関係を築くのです。
この信頼関係のことを心理学用語で「ラポール」と言います。
漫才師も講師も、本題に入る前にラポールを形成する達人なのです。
黄金の「間(ま)」
次に重要なのが「間」です。
面白い漫才師は、ボケたあとにすぐ次の言葉を言わず、観客が笑う時間を待ちますよね。
もし、笑っている最中に次の話題へ進んでしまったら、面白さが半減してしまいます。
研修講師にとっても、この「間」は命です。
重要な質問を投げかけたあと、すぐに答えを言わずに沈黙する。
この沈黙の時間に、受講生は必死に頭を使います。
「沈黙は金」と言いますが、あえて黙ることで相手の思考を促すテクニックは、両者に共通する高度なスキルなのです。
研修講師と漫才師の相違点:笑いの役割
では、研修講師は漫才師のように、とにかく笑わせれば良いのでしょうか?
ここで大きな違いが出てきます。それは「笑い」が目的か、手段かという点です。
漫才師にとって笑いは「目的」
漫才師のゴールは、観客を笑わせることそのものです。
話の内容が論理的でなくても、嘘の話でも、最終的にドッカンと笑いが起きれば大成功です。
講師にとって笑いは「手段」
一方で、研修講師にとっての笑いはあくまで「手段」に過ぎません。
講師がジョークを言うのは、受講生をリラックスさせたり、難しい内容に興味を持たせたりするためです。
もし、研修中ずっと大爆笑が続いていたとしても、終わったあとに受講生が「あー面白かった!で、何を学んだんだっけ?」となってしまったら、その研修は失敗です。
講師は、笑いというスパイスを使って、学びというメインディッシュを美味しく食べてもらう料理人のようなものなのです。
学びを深めるための方程式
ここで、笑いや感情が学習にどのような影響を与えるか、簡単な式で表してみましょう。
学習の効果 内容の理解度
感情の揺れ幅
ご覧ください。ここでも掛け算が使われています。
「内容の理解度」というのは、論理的に「なるほど」と納得することです。
そして「感情の揺れ幅」というのは、「楽しい!」「悔しい!」「驚いた!」といった心の動きのことです。
ただ淡々と教科書を読むだけでは、感情の揺れ幅はほとんどゼロに近いですよね。
すると、いくら良い内容でも、学習の効果は小さくなってしまいます。
逆に、漫才師のように感情を大きく揺さぶることができれば、同じ内容でも記憶に深く刻まれることになるのです。
「笑い」は、この「感情の揺れ幅」を最大化するための強力な武器なのです!
エンターテイナー性を取り入れるメリットとデメリット
講師が漫才師のような要素(ユーモア)を取り入れることには、良い面もあれば注意すべき点もあります。
メリット
- 心理的安全性が高まる「心理的安全性」とは、誰に対しても安心して発言できる状態のことです。笑いがある場では、受講生は「間違ったことを言っても大丈夫だ」と感じ、活発に意見が出るようになります。
- 脳が活性化する笑うと脳内でドーパミンという物質が出やすくなると言われています。これにより、やる気が向上し、学習効率がアップします。
デメリット
- 信頼を失うリスクあまりにふざけすぎたり、下品な冗談を言ったりすると、「この先生は不真面目だ」と思われ、ラポール(信頼関係)が崩れてしまいます。
- 時間の浪費笑いを取るための雑談が長引くと、肝心の講義時間が削られてしまいます。タイムマネジメント(時間管理)とのバランスが重要です。
まとめと今後の学習指針
いかがでしたでしょうか?
研修講師は、漫才師のように「空気」を作り、「間」を操るエンターテイナーでありながら、最終的には「学び」というゴールへ導く案内人でもあります。
ただ面白いだけでもダメ、ただ真面目なだけでもダメ。このバランス感覚こそが、プロの技なのです。
次のステップ:プロの技を盗もう
もしあなたが、人前で話すときに「もっと聞き手を惹きつけたい」と思うなら、ぜひ次のことを試してみてください。
お気に入りの漫才やトーク番組を見て、「どこで間を取っているか」「どんな声のトーンで話し始めたか」を分析してみてください。
ただ笑って見るのではなく、「なぜ今、自分は笑ったのだろう?」と一歩引いて考えるのです。
それが、あなたの「伝える力」を飛躍的に高める第一歩になります。
さあ、次はあなたが誰かを笑顔にして、そして何かを気づかせる番です。
応援しています!
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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