【フリーランス講師必見】社会保険と国保で医療費は変わる?独立後に知っておくべき「リスク」の話
こんにちは。ゆうせいです。
企業での勤務を経て独立し、フリーランスの研修講師として活躍されている皆さん。
会社員時代は給与天引きで意識していなかった「保険」について、独立してから改めてその重みを感じている方も多いのではないでしょうか。
特に、会社員時代の「社会保険(社保)」から、自営業の「国民健康保険(国保)」に切り替えたとき、ふとこんな疑問が浮かびませんでしたか。
「保険証の色が変わったけれど、病院で払うお金は変わるのだろうか?」
講師という仕事は、体が資本です。喉の不調や急な発熱で病院にかかることも少なくありません。
今日は、プロフェッショナルとして知っておくべき「保険証による医療費の違い」と、そこから見えてくる「フリーランスのリスク管理」についてお話しします。
結論:窓口での支払いは「社保」でも「国保」でも同じ
まずは結論から申し上げます。
あなたが会社役員として社会保険に入っていても、個人事業主として国民健康保険に入っていても、病院の窓口で支払う金額はまったく同じです。
「国保だと高くなるのではないか」と心配される方もいますが、その点は安心してください。
なぜ金額が変わらないのか
これは、日本の医療制度が「全国一律の公定価格」で守られているからです。
病院で行われる診察、検査、投薬といった行為には、すべて国によって点数(価格)が決められています。これを診療報酬と呼びます。
- 大企業の部長さん
- 駆け出しのフリーランス
- 定年退職された方
どんな立場の人であっても、同じ治療を受ければ、元の医療費は同じです。そして、私たちが窓口で負担する割合も、現役世代であれば原則3割で共通しています。
つまり、病院の会計においては、保険証の種類による有利・不利は存在しないのです。
講師業として警戒すべき「本当の違い」
「なんだ、それなら安心だ」
そう思ってページを閉じようとした方、少し待ってください。ここからが、我々フリーランスにとって本当に怖い話です。
窓口で払うお金は同じでも、「病気で働けなくなったときの補償」には天と地ほどの差があります。
会社員(社保)にはあるが、フリーランス(国保)にはないもの
会社員時代、もし病気や怪我で長期間休職することになっても、給与の約3分の2が支給される「傷病手当金」という制度がありました。
しかし、国民健康保険には、この傷病手当金という仕組みが原則として存在しません。
我々研修講師は、「登壇してなんぼ」の商売です。
もしインフルエンザで一週間寝込んだり、喉を痛めて声が出なくなったりした場合、その間の収入は完全にゼロになります。会社員のように有給休暇もなければ、休業補償もないのです。
- 医療費の支払いは同じ(出ていくお金は変わらない)
- 休んだ時の補償はない(入ってくるお金が止まる)
この「入ってくるお金が止まるリスク」こそが、保険証が変わったことによる最大の違いであり、フリーランスが直視すべき現実です。
もし「未納」で保険証がなかったら?
ごく稀なケースかとは思いますが、資金繰りが厳しく保険料を滞納し、保険証が手元にない状態(無保険)になってしまった場合についても触れておきます。
この場合、当然ながら全額自己負担(10割負担)となります。
普段3,000円で済む薬代や診察代が、10,000円になる計算です。
さらに恐ろしいのは、これが「自由診療」扱いになってしまうリスクです。
保険診療の枠組みから外れるため、病院側が自由に価格を設定できる可能性があります。場合によっては、10割負担どころか、それ以上の金額を請求されることも理論上はあり得るのです。
講師としての信用を守るためにも、そして自分自身の体を守るためにも、保険料の納付は事業経費の最優先事項と捉えてください。
フリーランス講師がとるべき対策
では、傷病手当金のない私たちはどうすればいいのでしょうか。
- 貯蓄で備える数ヶ月働けなくなっても生活できるだけの運転資金(生活防衛資金)を確保しておく。
- 民間の保険を活用する「就業不能保険」や「所得補償保険」など、働けなくなった時の収入をカバーする民間の保険への加入を検討する。
- 文芸美術国民健康保険組合などを検討する職種によっては、特定の組合に入ることで保険料が安くなったり、独自の給付金があったりする場合があります。ご自身の業種で入れる組合がないかリサーチするのも手です。
まとめ
今回のポイントを整理しましょう。
- 病院の窓口で支払う医療費は、社保でも国保でも同額である
- しかし、病気で休んだ時の「傷病手当金」は、国保にはない
- フリーランス講師は「休む=収入ゼロ」のリスクを自分でカバーする必要がある
「医療費が変わらない」という事実は、安心材料の一つです。しかし、その裏にある「保障の薄さ」を認識し、元気なうちに対策を打っておくことこそが、長く講師業を続ける秘訣と言えるでしょう。
さて、リスク管理の意識が高まったところで、次は「小規模企業共済」について学んでみませんか?
これはフリーランスのための退職金制度のようなもので、節税効果も非常に高い仕組みです。自分の身を守るための「攻めの知識」、ぜひ一緒に深めていきましょう。
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投稿者プロフィール
- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。
学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。
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