暗記が苦手でも大丈夫!エンジニアが知るべき「脳と記憶」の仕組み

こんにちは。ゆうせいです。

一生懸命勉強したプログラミング言語の構文なのに、翌日にはすっかり忘れてしまって落ち込むことはありませんか?一方で、子供の頃に覚えた自転車の乗り方は、何年乗っていなくても忘れませんよね。

なぜこのような違いが生まれるのでしょうか。それは、あなたの記憶力の良し悪しの問題ではありません。脳の中で使われている「保存フォルダ」の種類が違うからです。

今日は、エンジニアとして効率よく成長するために知っておくべき「3つの記憶」と、それをつかさどる「大脳」と「小脳」の関係についてお話しします。これを知れば、学習の質がガラリと変わりますよ。

言葉で説明できる「大脳」の記憶

まずは、私たちが普段「暗記」と呼んでいるものから見ていきましょう。これらは主に脳の司令塔である「大脳」が処理し、言葉で説明できるという特徴があります。専門的には「陳述記憶」と呼ばれますが、ここではもっと噛み砕いて2つに分けて紹介します。

1. 意味記憶:辞書のような知識

一つ目は「意味記憶」です。これは言葉の意味や概念、教科書に載っている知識のことです。

例えば、「Javaはプログラミング言語である」とか、「CPUはCentral Processing Unitの略である」といった知識がこれに当たります。

メリット

体系的に多くの情報を詰め込むことができます。エンジニアにとって、用語や基礎知識を知っていることは会話の前提となるため必須です。

デメリット

非常に忘れやすいという弱点があります。丸暗記しようとしても、脳は「生きていく上で重要ではない」と判断して、すぐに消去してしまうのです。テスト前に一夜漬けした内容がすぐに消えてしまうのは、このためです。

2. エピソード記憶:思い出のアルバム

二つ目は「エピソード記憶」です。これは「いつ」「どこで」「何をした」という個人の体験に紐付いた記憶です。

例えば、「昨日の研修で、講師のゆうせいが寒いギャグを言っていた」とか、「初めて本番環境を触ったときに手が震えた」といった記憶です。

メリット

意味記憶に比べて、圧倒的に忘れにくいという特徴があります。感情が動いた出来事は、脳の中にある「海馬」という記憶の工場が「これは重要だ!」と判断し、強く定着させてくれるからです。

デメリット

体験しないと得られないため、習得に時間とコストがかかります。すべての知識を体験ベースで覚えるのは不可能です。

体が勝手に動く「小脳」の記憶

さて、ここからが今回のメインディッシュです。言葉ではうまく説明できないけれど、体が覚えている記憶があります。

3. 手続き記憶:熟練の技

三つ目は「手続き記憶」です。これは、繰り返し練習することで身につく、動作やスキルの記憶です。

自転車の乗り方、楽器の演奏、そしてエンジニアにとっては「ブラインドタッチ」や「ショートカットキーの操作」がこれに該当します。

ここで主役になるのが「小脳」です。大脳の後ろの下側にちょこんと付いている小さな脳ですが、運動の調整や学習において凄まじい能力を発揮します。

メリット

一度定着すると、意識しなくても自動的に実行できるようになります。そして、長期間使わなくてもほとんど忘れません。一生モノのスキルになります。

デメリット

習得するまでに、何度も何度も反復練習をする必要があります。「わかった」だけではダメで、「できる」まで繰り返さないと小脳には刻まれません。

エンジニアの成長戦略は大脳から小脳へ

ここまでの話を整理して、新人エンジニアの皆さんがどう学習を進めればいいのかを考えましょう。

学習の初期段階では、どうしても「大脳」を使って「意味記憶」として知識を入れようとします。マニュアルを読んだり、講義を聞いたりするフェーズです。しかし、これだけでは現場で使い物になりませんし、すぐに忘れてしまいます。

プロのエンジニアが速いのは、基本的な操作をすべて「手続き記憶」として「小脳」に任せているからです。

例えば、エラーログを見た瞬間に原因の当たりをつける、Gitのコマンドを息をするように打つ、これらは脳のリソースを使わずに自動化されています。だからこそ、空いた大脳のリソースを、複雑な設計やクリエイティブな問題解決に全振りできるのです。

知識を「エピソード」に変える工夫

では、忘れやすい「意味記憶」をどう定着させればいいのでしょうか。

答えは、エピソード記憶への変換です。

ただ本を読むのではなく、実際に手を動かしてコードを書き、エラーを出して悩んでください。「あーでもない、こーでもない」と試行錯誤した苦い経験こそが、強力なエピソードとなって記憶に残ります。

今後の学習の指針

今日から学習するときは、今自分がどの記憶を使っているかを意識してみてください。

用語を覚えるときは、誰かに説明して「エピソード」にする。

コマンド操作やコーディングは、指が勝手に動くまで反復して「手続き記憶」にする。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。