お金の出どころで使い方が変わる心理:メンタル・アカウンティングの仕組みと対策

こんにちは。ゆうせいです。

お金や時間の価値は常に一定であるはずですが、人間は資金の出どころや名目によって、その使い道や扱い方を変えてしまう傾向があります。今回は、行動経済学の概念であるメンタル・アカウンティング(心の家計簿)について解説します。

メンタル・アカウンティングとは何か

メンタル・アカウンティングとは、人間が頭の中に複数の異なる財布(口座)を持ち、お金の入手方法や使用目的に応じて資金を分類し、それぞれ異なる基準で消費や節約の判断を下す心理的傾向を指します。経済学の基本である「お金の価値は常に同じである」という代替可能性の前提から外れた意思決定の要因となります。

高校生の金銭感覚を例に説明します。ある高校生が、飲食店でのアルバイトで1万円を稼いだとします。労働の対価として得た1万円は、参考書の購入や将来のための貯金など、慎重な用途に向けられます。しかし、同じ高校生が親戚からお年玉として1万円をもらった場合、あるいは福引で1万円が当たった場合、手に入れた資金はゲームソフトや友人との外食など、娯楽のために簡単に使われてしまう傾向が見られます。どちらも同じ1万円という価値を持っていますが、頭の中で「労働の財布」と「臨時収入の財布」という別々の口座に分類されている状態が、メンタル・アカウンティングに該当します。

メンタル・アカウンティングの影響と活用する利点

メンタル・アカウンティングの傾向を認識せず、無意識な分類に依存した場合に生じる不利益を列挙します。

  • 年度末に余った予算や国からの補助金を特別な資金と錯覚し、投資対効果の低い研修や備品購入に浪費してしまう
  • 予算の枠組みに縛られるあまり、必要な業務改善や人材育成への投資を予算外として却下し、中長期的な成長機会を逃す
  • 苦労して得た資金に対してのみ厳しい基準を設け、全体の資産管理が非効率な状態に陥る

一方で、人間が頭の中で資金を分類する傾向をあらかじめ理解し、研修や業務の設計に意図的に組み込む利点を示します。

  • 参加者の自己啓発費や学習予算を独立した口座としてあらかじめ設定させることで、娯楽費への流用を防ぎ、学習への投資を促進できる
  • 研修で得られる将来的な利益を投資口座に分類するよう働きかけることで、受講者の学習に対する真剣度を高められる
  • 報酬やボーナスの提示方法を工夫し、従業員のモチベーション向上に直結する資金の使い道を促すことができる

資金の分類を見直し学習効果を高めるステップ

メンタル・アカウンティングによる非効率な支出を防ぎ、設定した目標や人材育成に資源を集中させるためには、以下の手順で資金の捉え方を調整する手法が有効です。

  1. 資金の分類状況を可視化する現在保有している予算や資金が、頭の中でどのような名目の口座に分けられているかを紙に書き出します。
  2. 資金の出どころを切り離して評価する臨時収入や補助金であっても、通常の利益や給与と同じ価値を持つ資金として扱います。名目にかかわらず、すべての資金を一つの大きな口座に統合して考え直します。
  3. 目的ベースの口座を意図的に新設する全体の資金を把握した上で、人材育成や自己研鑽のための専用口座を意図的に設定します。あらかじめ学習用の枠を設けることで、他の用途への流用を防ぎます。
  4. 支出の基準を統一するどの口座から支出する場合でも、投資に見合う成果が得られるかという共通の基準で評価を行います。

人間は、資金に名前をつけて管理する性質を持っています。まずは、次に研修や書籍購入の費用を検討する際、手元の資金が臨時収入であっても通常の予算であっても、同じ投資基準で評価する手順から始めてください。資金の心理的な分類を認識し、意図的に再構築することで、効果的な資源の活用が可能になります。

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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
海外放浪の末、2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。