「テクハラ」ってご存じですか?

ある日のIT企業の定例会議。新システム導入について話し合う場面でした。

プロジェクトリーダー「それでは、各自の意見をお願いします。まずは新人の山田さんから」

新人の山田「はい…。あの、このツール、正直まだログイン方法すら分からなくて…。どこから設定すればいいのか戸惑ってます」

先輩の佐藤「え?ログイン画面も分からないの?IT企業に入って半年も経つのに?」

室内が少しざわつきます。山田さんはうつむき、声が小さくなりました。これこそが「テクハラ」。知識の差を強調して相手を恥ずかしがらせる態度が、会議の雰囲気を冷やしてしまうのです。


ロジックを盾にする「ロジハラ」も…

同じ会議の後半、別の議論が始まりました。

山田「業務を効率化するために、新しいシステムを導入するのは有効だと思います!」

部長の田中「“思います”じゃ弱いね。根拠は?数字は?論理的じゃない提案は意味がないよ」

確かに数字や根拠は大事。でも、提案を真っ向から否定する言い方はどうでしょう。会議に参加していた他の社員も「また始まったか…」という顔をしていました。これが「ロジハラ」です。論理性を求めること自体は正しいのに、それを“攻撃的な武器”にしてしまうのが問題なのです。


それぞれの意見が交わされる

議論は続きます。

佐藤「でもさ、正直知らないことを指摘しなきゃ成長しないでしょ?」
田中「論理的じゃない発言を許すと、会議の質が下がるんだよ」

一方で、別の社員が口を開きました。

中堅社員の鈴木「うーん、でも言い方ひとつで違うんじゃないですか?『知らないの?』じゃなくて『一緒に見てみようか』とか。根拠を求めるのも、『じゃあどんなデータを調べたら裏付けられそうかな?』って誘導する形にすればいいと思うんです」

場の空気が少しやわらぎました。まさに「どう伝えるか」がカギなのだと、会議にいた全員が気づかされた瞬間でした。


他にもある“知識ハラスメント”

この話題をきっかけに、ほかのハラスメントについても話が広がりました。

  • 「ジェネハラ」:世代ギャップを盾に「若者は根気がない」「昔の人は遅れてる」と言う
  • 「マナハラ」:マナーを知らない人を「非常識」と突き放す
  • 「デジハラ」:デジタルに弱い人を「どうやって今までやってきたの?」と揶揄する

どれも共通しているのは、「知らないこと」を責める姿勢。そこに人の成長や学びは生まれません。


にゃんこエピソードでちょっと和みタイム

ここで緊張をほぐすように、私の家のにゃんこ「ミルク」の話をひとつ。

新しいキャットタワーを買ったとき、ミルクは最初、下でじーっと見上げるだけでした。「にゃー」と鳴いては挑戦しようとするけど、途中であきらめちゃう。見ているこちらは「がんばれ!」と声をかけるしかありませんでした。

でも、家族で「少しずつで大丈夫」と応援し続けていたら、ある日ついにてっぺんに登ってドヤ顔!誇らしげに座る姿に、みんな拍手喝采でした。

人も同じ。できないことを責められたら挑戦する気持ちを失いますが、応援してもらえれば「よし、やってみよう」と思えるんですよね。


まとめと指針

会議のやり取りから見えてきたのは、テクハラもロジハラも「知識や論理を使って相手を追い詰めること」だという点です。確かに知識や論理は大切ですが、それを振りかざしてしまうと人を傷つけ、学びの場を潰してしまいます。

逆に、伝え方を工夫するだけで「指摘」は「成長のきっかけ」に変わります。
「知らないの?」ではなく「一緒にやってみよう」。
「根拠がないね」ではなく「どんなデータを探せばいいかな?」。

これから職場で意識してみませんか?
きっと会議も、チームの雰囲気も、にゃんこのキャットタワーのように「上へ上へ」と登っていけるはずです。


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投稿者プロフィール

田渕講師
田渕講師
セイ・コンサルティング・グループ株式会社専務取締役
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上
キャリアコンサルタント・産業カウンセラー
アンガーマネジメントファシリテーター、コンサルタント
ハッピーな人生を送る秘訣は「何事も楽しむ!」ことにあり。
一期一会を大切に、そして楽しく笑顔になる研修をミッションに!