【初心者向け】大数の法則と中心極限定理の関係をわかりやすく解説!
こんにちは。ゆうせいです。
統計やデータ分析を学び始めた新人エンジニアの方の中には、「大数の法則と中心極限定理って関係あるの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
この2つは、どちらも「確率分布に関する法則」であり、統計学や機械学習で非常に重要です。
しかし、それぞれの意味や役割は異なります。
この記事では、数学が苦手な人でもイメージしやすいように、例えを交えながら大数の法則と中心極限定理の関係を解説します!
1. 大数の法則とは?
平均値は試行回数が増えると「本当の値」に近づく
まず、大数の法則とは何かを説明します。
これは、同じ実験や試行を何度も繰り返すと、その平均値が「理論上の平均」に近づくという法則です。
例:サイコロを振る
サイコロを1回振ると、1~6のどれかが出ます。
しかし、何回も振ると「出る目の平均」は、だんだん**(1+2+3+4+5+6) ÷ 6 = 3.5** に近づいていきます。
試行回数が少ないと平均はブレますが、回数を増やせば増やすほど理論値(期待値)に収束するのです。
つまり?
大数の法則は、「たくさん試行すれば、結果の平均は期待値に近づく」と保証してくれる法則です。
2. 中心極限定理とは?
たくさん足し合わせると「正規分布」になる
次に、中心極限定理を説明します。
これは「独立したランダムなデータをたくさん足し合わせると、元の分布が何であれ正規分布に近づく」という法則です。
例:サイコロを何回も振って合計をとる
サイコロを1回振ったとき、出る目は1~6のどれかで、均等に分布しています(一様分布)。
しかし、サイコロを100回振って合計を求めるとどうなるでしょうか?
個々のサイコロの目はランダムですが、合計は「平均に近い値」に集中し、左右対称のベル型の形(正規分布)になるのです。
つまり?
中心極限定理は、「多くの独立した確率変数の合計は、どんな分布でも最終的に正規分布に近づく」ことを保証する法則です。
3. 大数の法則と中心極限定理の違いと関係
違い
大数の法則 | 中心極限定理 | |
---|---|---|
何を示す? | 平均が期待値に収束する | 合計(または平均)の分布が正規分布になる |
試行回数が増えるとどうなる? | 平均値が安定する | 分布の形が正規分布に近づく |
どんな分布でも成立? | はい | はい(ただし独立が必要) |
関係
この2つは、どちらも「試行回数を増やすと安定した傾向が見える」という点で共通しています。
- 大数の法則は、「たくさん試行すると平均は期待値に近づく」
- 中心極限定理は、「たくさん試行して合計すると正規分布になる」
つまり、どちらも「試行回数を増やせば予測しやすくなる」ことを教えてくれるのです。
イメージで理解
もし確率論が「料理のレシピ」だとしたら:
- 大数の法則は、「たくさん作れば、味がぶれずに安定する」
- 中心極限定理は、「いろんな食材を混ぜても、全体の味は最終的に平均的な味に落ち着く」
こんなイメージですね。
4. エンジニアが知っておくべきポイント
データサイエンスや機械学習を扱うエンジニアにとって、これらの法則は非常に重要です。
例えば、以下のような場面で役立ちます。
1. A/Bテストの結果の信頼性
A/Bテストでは「どちらのデザインがより良いか」を判断するためにデータを集めます。
- 大数の法則 → サンプル数を増やせば、本当の差が見えてくる
- 中心極限定理 → 平均値の分布を考えれば、統計的な有意差を判断できる
2. 正規分布を前提とした統計手法
多くの統計手法は正規分布を前提にしています。
中心極限定理のおかげで、データが正規分布に近づくなら安心して使えるのです。
3. 機械学習におけるデータの取り扱い
機械学習のアルゴリズム(線形回帰、ニューラルネットワークなど)は、データが正規分布に従うと仮定することが多いです。
中心極限定理を知っていれば、データの前処理やサンプリングの際に適切な方法を選べます。
5. まとめ
大数の法則と中心極限定理の違いと関係
- 大数の法則:試行回数を増やすと、平均が期待値に近づく
- 中心極限定理:試行回数を増やすと、合計や平均の分布が正規分布に近づく
- どちらも試行回数を増やすことで確率的な安定性を得られる
統計学やデータサイエンスの基礎なので、しっかり理解しておきましょう!
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
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セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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