幾何平均と算術平均の比較

幾何平均という言葉にどんな意味が込められているのか、考えたことはありますか?

この概念は数学の深い部分と結びついており、特に「三平方の定理(ピタゴラスの定理)」とも関係があります。これから、その由来と計算方法を、三平方の定理を絡めて分かりやすく説明します。

幾何平均の名前の由来

まず、幾何平均の「幾何」という言葉は、数学の一分野である「幾何学」から来ています。幾何学では、形や空間、角度や距離などを扱いますが、特に図形の性質を研究します。この「幾何」には「形」を意味するニュアンスが含まれており、幾何平均は、その名の通り、数値の関係を形として捉えることができる平均の一つです。

幾何平均は、数値の「積」と「平方根」を用いた計算方法であり、その背後には三平方の定理が隠れています。三平方の定理とは、直角三角形における辺の長さの関係を示す定理で、次のように表されます。

ここで、a、bは直角を挟む二辺の長さ、cは斜辺の長さです。この定理に基づいて、幾何平均もまた「積」と「平方」を通じて、数値間のバランスを計る役割を持っています。

幾何平均の計算方法と三平方の定理との関係

では、幾何平均の計算方法を具体的に見てみましょう。幾何平均は、n個の数値をすべて掛け合わせ、その積のn乗根を取ることで求められます。nは数値の個数を示します。これは、数値間のバランスをとりながら平均を求める方法です。

数式で表すと次のようになります。

計算例1: 単純な数値の幾何平均

たとえば、3と12の幾何平均を考えます。この2つの数値を使って、次のように計算します。

ここで、三平方の定理を応用して、幾何平均を図形的に理解することができます。

例えば、直角三角形の一辺の長さが3、もう一辺の長さが12の場合、その辺の比率に基づいて幾何平均6が導かれるという解釈ができます。

これは、直角三角形の面積や対角線に関連する問題で、しばしば用いられる考え方です。

計算例2: 三平方の定理と幾何平均の深い関係

もう一つ、三平方の定理と幾何平均の関係をさらに深く理解するために、次のような例を考えてみましょう。三平方の定理において、直角三角形の二辺が4と9の場合、斜辺の長さcを求めると次のようになります。

この斜辺の長さは、実際の図形においての「平均的な長さ」を表すと考えられますが、これは幾何平均の考え方と非常に似ています。

幾何平均は、数値間のバランスをとりつつ、全体の平均的な関係を保つ方法であり、三平方の定理と同様に、異なる数値の「積」を元にした調和的な平均値を導きます。

幾何平均の特徴と応用
幾何平均は、極端な数値に対して非常に安定しており、特に比率や成長率の計算において非常に有効です。

例えば、投資の年間リターンや人口増加率を評価する場合、幾何平均を使うことで、長期間にわたるデータの全体的な傾向を正確に把握することができます。

幾何平均はまた、図形的な理解を助けるものでもあり、三平方の定理と組み合わせて考えることで、より深い数学的な洞察を得ることができます

幾何平均と算術平均は、どちらも「平均」を求める方法ですが、その計算方法や適用される場面が異なります。実際に数値を使って計算しながら、その違いを確認してみましょう。

算術平均とは?

まず、算術平均について簡単におさらいします。算術平均は、数値の合計をその個数で割ることで求められる平均値です。日常生活でよく使われる平均で、成績の平均点や商品の平均価格を求めるときなどに利用します。

算術平均の計算式は次の通りです。

幾何平均と算術平均の計算例

では、具体的な数値を使って算術平均と幾何平均を計算し、その違いを見てみましょう。

この例では、算術平均は7.5、幾何平均は6という結果になります。この違いは、算術平均が数値の「合計」に基づいているのに対し、幾何平均は数値の「積」に基づいているためです。

この場合、算術平均は28、幾何平均は16となります。ここでも、幾何平均の方が算術平均よりも小さい値となっています。幾何平均は、特に大きな数値の影響を受けにくい特性があるため、極端な値がある場合に特に有効です。

幾何平均と算術平均の違いとその意味

この2つの平均の違いは、数値データの性質を反映しています。算術平均は、データの「足し算的な」性質に依存していますが、幾何平均はデータの「掛け算的な」性質に依存しています。これは、成長率やリターンなどの比率や割合が重要な場合に、幾何平均が適している理由です。

例えば、年ごとの投資のリターンを考えた場合、各年の成長率の算術平均は、異常に高いリターンがあった年によって大きく影響されてしまう可能性があります。しかし、幾何平均を使うと、全体的な成長のバランスをとった平均値を得ることができ、より現実的な評価が可能です。

三平方の定理と幾何平均

さらに、三平方の定理と幾何平均の関係も再確認してみましょう。三平方の定理は直角三角形の辺の長さを扱うものであり、その比率やバランスは幾何平均の考え方と一致しています。直角三角形の各辺の長さを使って幾何平均を求めると、その三角形の面積や斜辺の長さに対応する形で、平均的な値が得られることになります。

まとめと今後の学習の指針

算術平均と幾何平均は、いずれもデータの中心的な傾向を捉えるための有力な手段ですが、その適用範囲や解釈は異なります。算術平均は単純な平均を取るのに適しており、幾何平均は比率や成長を扱う際に優れた手法です。

両者の違いをしっかり理解することで、状況に応じてどちらの平均を使うべきかを判断できるようになります。幾何平均の特性を生かして、より正確なデータ分析や結果の解釈に役立ててください。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
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