新人エンジニアが潰れる前に!研修講師が知るべき「コルチゾール」の正体と付き合い方
こんにちは。ゆうせいです。
春になると、フレッシュな新人エンジニアたちが研修にやってきますね。彼らの緊張した面持ちを見て、皆さんはどう感じますか。
やる気に満ち溢れていると感じるでしょうか。それとも、不安で押しつぶされそうに見えるでしょうか。
実は、そのとき彼らの体の中では、ある物質が大量に分泌されている可能性があります。それが今回解説するコルチゾールです。
研修講師であるあなたがこの物質の正体を知っているかどうかで、新人たちの成長速度、そして何より彼らのエンジニアとしての寿命が大きく変わるといっても過言ではありません。今日は、このコルチゾールについて、一緒に学んでいきましょう。
コルチゾールとは何か
まずは基本から押さえておきましょう。
コルチゾールとは、腎臓の上にある副腎皮質という場所から分泌されるホルモンのひとつです。一般的にはストレスホルモンという、少し怖い名前で呼ばれることが多いですね。
人間がストレスを感じたときに、身体を守るために分泌される物質だからです。
これを聞くと、なんだか悪者のように思えるかもしれません。ストレスホルモンなんて名前がついているくらいですから、なくしてしまったほうが良いのではないかと考える人もいるでしょう。
しかし、そう単純な話ではないのです。
コルチゾールは、私たちにとって非常に重要な役割を担っています。生命を維持するために不可欠なホルモンなのです。
身体の戦闘準備スイッチ
コルチゾールの役割を高校生でもわかるように例えるなら、身体の戦闘準備スイッチ、あるいは天然のエナジードリンクといえます。
大昔、人間が森で猛獣に出会ったと想像してください。戦うか、逃げるか。どちらにせよ、瞬発的なエネルギーが必要です。
そんなとき、脳からの指令を受けてコルチゾールが分泌されます。すると、血圧が上がり、血糖値が上昇します。これにより、脳や筋肉に大量のエネルギーが送り込まれ、いつでも動ける準備が整うのです。
現代のエンジニア研修に置き換えてみましょう。
初めてのプレゼン発表や、納期直前のバグ修正。こういった緊張する場面で心臓がドキドキし、妙に目が冴えて集中力が増すことがありますよね。実はコルチゾールが働いて、あなたを全力でサポートしてくれているのです。
コルチゾールのメリットとデメリット
ここで大切なのは、コルチゾールには良い面と悪い面の両方があるということです。講師として、この両面をしっかりと理解してください。
メリット:短期的な集中力アップ
適度な分泌であれば、コルチゾールは最強の味方になります。
- 覚醒作用朝、私たちがスムーズに目覚められるのは、明け方にコルチゾールの分泌が増えるおかげです。
- 抗炎症作用身体の炎症を抑える働きもあります。
- 集中力の向上先ほどお伝えした通り、ここぞという場面でのパフォーマンスを高めてくれます。適度なプレッシャーが人を成長させると言われるのは、生物学的にも理にかなっているわけです。
デメリット:長期化すると毒になる
問題は、ストレスが長期間続き、コルチゾールが出っぱなしの状態になったときです。ここからは少し怖い話をします。
コルチゾールが高濃度で長時間脳にさらされると、脳の神経細胞がダメージを受けてしまいます。
特に影響を受けやすいのが、海馬と呼ばれる部分です。海馬は、新しいことを記憶したり、場所を覚えたりするのに重要な役割を果たす脳の器官です。
研修期間中、常に怒鳴られたり、過度なプレッシャーを与え続けられたりした新人を想像してください。彼らの体内ではコルチゾールが過剰に分泌され続けています。
すると、どうなるでしょうか。
海馬が萎縮し、新しい技術が覚えられなくなります。論理的な思考ができなくなり、些細なミスを繰り返すようになります。さらには、うつ病のリスクも跳ね上がります。これは本人のやる気の問題ではありません。脳が物理的なダメージを受けている状態なのです。
研修講師ができること
ここまで読んで、少し不安になったかもしれませんね。でも大丈夫です。知識があれば対策が打てます。
新人エンジニアを守り、育て上げるために、講師であるあなたが意識すべきポイントを整理しました。
1. メリハリをつける
ずっと緊張状態を強いるのは避けてください。
集中して課題に取り組む時間は必要ですが、それと同じくらい、リラックスして笑い合える時間を作ることが大切です。コルチゾールの濃度を下げる時間を作ってあげるのです。
2. 睡眠を推奨する
コルチゾールのバランスを整えるには、良質な睡眠が不可欠です。
課題が終わらないからといって、徹夜を美徳とするような空気を作ってはいけません。しっかり寝て脳を回復させることも、プロのエンジニアの仕事だと教えてあげてください。
3. 心理的安全性を作る
ここが一番重要です。
わからないことを質問しても怒られない、失敗しても人格否定されない。そう思える環境、いわゆる心理的安全性が担保された場所では、過剰なストレス反応は起きにくくなります。
彼らがコルチゾールを味方につけて適度な緊張感で成長できるか、それともコルチゾールの毒に侵されて潰れてしまうかは、あなたが作る場の空気にかかっているのです。
まとめと今後の学習指針
いかがでしたでしょうか。
コルチゾールは単なる悪者ではなく、使い方次第で毒にも薬にもなることがお分かりいただけたかと思います。
エンジニアの研修というと、どうしてもプログラミング言語や技術的なスキルの習得に目が行きがちです。しかし、それらを学ぶための脳というハードウェアを守ることも、講師の大切な役割です。
今日から新人たちの顔色が少し違って見えるかもしれませんね。彼らが適切な緊張感の中で目を輝かせているか、それとも過剰なストレスで表情が曇っているか。ぜひ観察してみてください。
さて、ここからさらに学びを深めたい方への指針です。
次は脳科学と学習効率の関係について調べてみるとよいでしょう。特に、先ほど少し触れた海馬や、感情を司る扁桃体といったキーワードを深掘りすると、より効果的なティーチング手法が見えてくるはずです。
人間という複雑なシステムを理解して、最高のエンジニアを育て上げてくださいね。
それでは、またお会いしましょう。
セイ・コンサルティング・グループでは新人エンジニア研修のアシスタント講師を募集しています。
投稿者プロフィール
- 代表取締役
-
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。
学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。
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