新人エンジニア必見!やる気が出ないを卒業する「行動の科学」と3つの秘訣

こんにちは。ゆうせいです。

エンジニアとしてのキャリアをスタートさせたばかりの皆さん、毎日コードを書いていて「どうしてもやる気が出ない」と感じることはありませんか?

画面の前でフリーズしてしまい、気づけば時間だけが過ぎている。そんな経験、誰にでもあるはずです。私にもありました。

でも、もし「やる気」というものが、待っていれば空から降ってくるものではないとしたらどうでしょう?実は、モチベーションには科学的な発生メカニズムがあるのです。

今回は、新人エンジニアの皆さんが明日から使える、脳の仕組みを利用したモチベーションアップ術についてお話しします。


やる気は「行動」の後についてくる

まず最初に、少し衝撃的な事実をお伝えしなければなりません。多くの人が誤解していますが、「やる気が出たから行動する」のではありません。「行動するからやる気が出る」のです。

ここで専門用語を紹介しましょう。これは心理学や脳科学の分野で作業興奮と呼ばれる現象です。

作業興奮とは?

作業興奮とは、脳の側坐核という部分が刺激されることでドーパミン(やる気ホルモン)が分泌され、脳が「もっとやりたい!」と感じる状態のことです。

高校生の皆さんがテスト勉強をするときを想像してみてください。机に向かうまでは億劫ですが、いざ教科書を開いて5分ほど問題を解いていると、いつの間にか集中していた経験はありませんか?あれこそが、作業興奮です。

つまり、重たい車を押すときと同じです。最初はとても重い力が要りますが、一度動き出せば、あとは軽い力で進み続けます。

エンジニアはどうすればいい?

とにかく、まずは体を動かしましょう。

「完璧なコードを書こう」などと考えず、まずはエディタを開く。そして、コメントアウトで一行だけメモを書く。たったそれだけで、脳のスイッチはオンになります。

まずは30秒だけやってみる。ダメならやめてもいい。そう自分に言い聞かせて、最初の一歩を踏み出してみてください!


30秒以内に行動できる環境を作る

作業興奮を起こすには「行動」が必要だとわかりました。では、その最初の一歩をさらに軽くするにはどうすればよいでしょうか?

ここで重要になる概念が20秒ルール(あるいは30秒ルール)です。これはハーバード大学の研究者ショーン・エイカーが提唱したもので、行動を開始するまでの手間を20秒短縮するだけで、習慣化の成功率が劇的に上がるというものです。

活性化エネルギーを下げよう

化学の授業で活性化エネルギーという言葉を聞いたことがあるかもしれません。反応を起こすために必要な最低限のエネルギーのことですね。

人間も同じです。行動を開始するためのハードル(エネルギー)が高いと、脳は「面倒くさい」と判断してしまいます。

例えば、ギターの練習をしたいのに、ギターがケースに入って押入れの奥にあったらどうでしょう?取り出すだけで疲れてしまいますよね。逆に、リビングのソファの横にスタンドで立ててあれば、すぐに弾き始められます。

デスク周りをハックする

エンジニアの仕事に置き換えてみましょう。

朝起きてから仕事を始めるまでに、パソコンを取り出し、電源を入れ、パスワードを打ち、Slackを確認し、エディタを起動する...。これでは手順が多すぎます。

  • 前日の夜に、書きかけのコードを表示させたままスリープにする
  • デスクの上に余計なものを置かない
  • 飲み物はすぐに飲める位置にセットしておく

このように、席に座ってから「0秒」で作業に取り掛かれる環境を整えてみてください。未来の自分のために、ほんの少しお膳立てをしておくのです。


「できたことリスト」で脳を騙す

3つ目のポイントは、自分の成果をどう認識するかです。多くの人は「ToDoリスト(やることリスト)」を作りますが、モチベーション維持の観点からは、実はできたことリストの方が効果的な場合があります。

ここで覚えてほしいキーワードは自己効力感です。

自己効力感とは?

自己効力感(セルフ・エフィカシー)とは、心理学者アルバート・バンデューラが提唱した概念で、「自分ならできる」「目標を達成できる能力がある」という自信のことです。

ToDoリストに残った大量のタスクを見ると、脳は「まだこんなにある」「自分は処理能力が低い」とネガティブなフィードバックを受け取ってしまいがちです。これでは自己効力感が下がってしまいます。

小さな達成感を積み重ねる

一方で「できたことリスト」は違います。タスクを完了して消し込む、あるいは完了したタスクをリストに書き出すことで、脳は「達成感」という報酬を得ます。

たとえそれが「変数名を修正した」「エラーログを読んだ」という些細なことであっても構いません。

  1. ノートやメモ帳を用意する
  2. 小さな作業が終わるたびに線を引いて消し込む
  3. 「よし、終わった!」と心の中でつぶやく

このプロセスを繰り返すことで、脳は「自分は前に進んでいる」と認識し、ドーパミンを出し続けてくれます。ゲームで敵を倒して経験値を得るような感覚で、仕事を攻略していきましょう。


科学的モチベーションの方程式

ここで、モチベーションの正体をもう少し数学的に捉えてみましょう。ピアーズ・スティールという学者が提唱した「時間割引理論」に基づく方程式があります。

これを意識すると、なぜやる気が出ないのかが数値として見えてきます。

モチベーション = ( 期待 \times 価値 ) \div ( 衝動性 \times 遅れ )

数式の意味を簡単に解説しますね。

  • 分子(期待・価値):これが大きいほどやる気が出ます。「自分ならできそう(期待)」で、「やる意味がある(価値)」と感じるほど良いのです。
  • 分母(衝動性・遅れ):これが小さいほどやる気が出ます。「気が散りやすい(衝動性)」や、ご褒美までの時間(遅れ)が長いと、やる気は下がります。

つまり、環境を整えて気が散らないようにし(衝動性を下げる)、すぐに成果を確認する(遅れを減らす)ことが、数式的にも正しい攻略法なのです。


メリットとデメリット

これまで紹介した方法は強力ですが、良い面もあれば注意すべき点もあります。

メリット

最大のメリットは、感情に左右されなくなることです。「今日は気分が乗らないな」という日でも、とりあえずエディタを開くという「行動」さえすれば、自動的にスイッチが入るようになります。これにより、エンジニアとして最も重要な「継続的なアウトプット」が可能になります。

デメリット

一方で、オーバーワークに気づきにくくなるというデメリットがあります。作業興奮によってドーパミンが出ている状態は、ある種の麻痺状態でもあります。体の疲れを感じにくくなっているため、気づかないうちに無理をしてしまい、突然燃え尽きてしまうリスクがあります。

夢中になっているときこそ、意識的に休憩を挟む勇気を持ってください。ポモドーロ・テクニック(25分作業+5分休憩)などを併用するのがおすすめです。


今後の学習の指針

いかがでしたでしょうか。モチベーションは「気持ちの問題」ではなく、「技術と仕組みの問題」だと感じてもらえたなら嬉しいです。

最後に、これからの学習の指針を提案します。

まず今日は、この記事を読み終わったらすぐに、30秒以内にできる小さなタスクを1つだけ実行してください。

エディタを開くだけでも、参考書を机に出すだけでも構いません。

そして、明日からは以下のステップを意識してみてください。

  1. 環境をハックする:作業を始めるまでの手数を1つでも減らす工夫をする。
  2. 記録をつける:一日の終わりに「できなかったこと」ではなく「できたこと」を数える。
  3. 専門知識を深める:余裕ができたら、「習慣化」や「行動経済学」に関する本を読んでみるのも面白いでしょう。

エンジニアの仕事はマラソンのようなものです。一時の情熱でダッシュするのではなく、走り続けられるフォームを身につけることが、長く活躍する秘訣です。

さあ、まずはエディタのアイコンをクリックするところから始めましょう!


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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。