確率計算が劇的に楽になる!新人エンジニアが知っておくべき「余事象」の魔法

こんにちは。ゆうせいです。

みなさんは、確率の計算と聞いてワクワクしますか。それとも、頭が痛くなりますか。もし後者だとしても安心してください。今日は、計算が嫌いな人にこそ知ってほしい、とっておきの考え方を紹介します。

新人エンジニアのみなさんと話していると、システムの稼働率やバグの発生率といった計算で、まともに正面から挑んで撃沈してしまう姿をよく見かけます。実は、ある視点を持つだけで、その計算は驚くほど簡単になるのです。

今日は、確率計算における裏口入学のような強力な武器、余事象(よじしょう)についてお話ししましょう。

正面突破が難しいときは裏口を探せ

まず、余事象とは何かを簡単に説明しますね。

高校の数学で習ったかもしれませんが、忘れていても大丈夫です。

確率の世界では、全ての可能性を足し合わせると 1 (つまり 100\% )になるというルールがあります。

余事象とは、ある事象に対してそれが起こらない事象のことです。

例えば、明日の天気が「晴れ」「曇り」「雨」「雪」の4通りしかないとしましょう。

ここであなたが「明日、雨が降らない確率」を知りたいとします。

正面から計算する方法はこうです。

晴れの確率 + 曇りの確率 + 雪の確率

これだと、3つの確率を調べて足し算しないといけませんね。少し面倒ではありませんか。

そこで余事象の出番です。全体の確率は必ず 1 なのですから、こう考えればいいのです。

全体 1 - 雨の確率

これなら計算は1回で済みます。

つまり、求めたいものが多すぎて複雑なときは、いらないものを全体から引けばいいという発想。これが余事象の考え方です。

エンジニアが出会う「少なくとも1回」の罠

さて、ここからが本題です。

エンジニアの現場では、この余事象が威力を発揮する場面が多々あります。その代表格が「少なくとも1回は発生する確率」を求めるケースです。

例を出しましょう。

あるWebサービスのガチャ(くじ引き)システムをテストしていると想像してください。

このガチャで、激レアアイテムが出る確率は 1\% です。

では、このガチャを100回引いたとき、少なくとも1回は激レアアイテムが出る確率はどのくらいでしょうか。

直感で 1\% \times 100 回だから 100\% だ!と考えた方はいませんか。

残念ながら、それは間違いです。もしそうなら、100回引けば必ず当たるという夢のようなガチャになってしまいますが、現実はもっとシビアですよね。

これを正面から計算しようとすると、地獄を見ることになります。

1回だけ当たる確率 + 2回当たる確率 + 3回当たる確率 ... + 100回全部当たる確率

これらをすべて計算して足し合わせる必要があります。日が暮れてしまいますね。

ここで、さきほどの魔法を使ってみましょう。

「少なくとも1回当たる」の反対(余事象)は何でしょうか。

そうです。「100回とも全部ハズレる」です。

ハズレる確率は 99\% ですから、計算式はこうなります。

まず、100回連続でハズレる確率を計算します。

0.99 の100乗

そして、それを全体から引きます。

1 - 0.99 の100乗

これを電卓で叩くと、およそ 0.63 、つまり約 63\% という答えがすぐに出ます。

あれだけ面倒だった計算が、たった1つの引き算で解決してしまいました。これが余事象のパワーです。

メリットとデメリットを知って使いこなそう

この便利な考え方にも、良い点と注意すべき点があります。整理してみましょう。

メリット

計算量が劇的に減る

先ほどのガチャの例のように、正面から計算すると膨大な手間がかかるものが、驚くほどシンプルになります。計算ミスも減らせますね。

システム設計に役立つ

サーバーの冗長構成(1台が壊れても予備機が動く仕組み)の稼働率計算など、インフラエンジニアにとっても必須の知識です。「全てのサーバーが同時にダウンする確率」を全体から引くことで、システムが稼働し続ける確率を簡単に導き出せます。

デメリット

直感と反することがある

「引く」という考え方に慣れていないと、何を計算しているのか途中で分からなくなることがあります。常に全体が 1 であることを意識する必要があります。

万能ではない

単純な確率(サイコロで1が出る確率など)の場合、わざわざ余事象を使うと逆に計算工程が増えてしまうことがあります。使い所を見極める目が必要です。

視点を変える練習をしよう

いかがでしたか。

余事象という言葉は難しそうに聞こえますが、要はじゃない方を計算して全体から引くという、とてもシンプルなテクニックです。

開発現場では、完璧を目指してすべてのケースを網羅しようとすると、ドツボにハマることがよくあります。そんなとき、「逆に、失敗するケースだけ考えてみようか」と視点を変えるだけで、解決の糸口が見つかることがあるのです。

数学的な計算だけでなく、仕事の進め方としても、この「逆から見る」発想は役に立ちますよ。

これからの学習の指針として、まずは基本的な「確率統計」の入門書を手に取ってみることをおすすめします。そして、余事象の計算に慣れてきたら、次は条件付き確率やベイズの定理といった分野に進んでみてください。データ分析や機械学習の理解がグッと深まるはずです。

難しく考える必要はありません。まずは今日のガチャの話を思い出して、賢く計算をサボる方法から始めてみましょう。

あなたなら、きっと使いこなせますよ!

セイ・コンサルティング・グループでは新人エンジニア研修のアシスタント講師を募集しています。

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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学生時代は趣味と実益を兼ねてリゾートバイトにいそしむ。長野県白馬村に始まり、志賀高原でのスキーインストラクター、沖縄石垣島、北海道トマム。高じてオーストラリアのゴールドコーストでツアーガイドなど。現在は野菜作りにはまっている。