退職後の健康保険、どう選ぶ?エンジニアのための任意継続完全ガイド
こんにちは。ゆうせいです。
あなたは今、会社を辞めてフリーランスのエンジニアになったり、講師として独立したりすることを考えていませんか?あるいは、キャリアの節目で少しお休みを取ろうとしているかもしれませんね。
そんなとき、避けては通れないのが「健康保険」の手続きです。会社に勤めている間は、給与から勝手に引かれていたので気にならなかったかもしれません。でも、退職したその翌日から、自分で保険を選んで支払う必要が出てきます。
そこで今回は、選択肢の一つである「任意継続被保険者制度」、通称「任意継続」についてお話ししましょう。
名前だけ聞くと、なんだか難しそうですよね。でも大丈夫です。仕組みさえ分かってしまえば、自分にとって一番お得な選択ができるようになりますよ。ぜひ最後までお付き合いください。
任意継続被保険者制度とは
まず、この制度がどういうものなのか、ざっくりとイメージを掴んでおきましょう。
任意継続とは、文字通り「会社を辞めたあとも、希望すれば(任意)、今の健康保険をそのまま続けられる(継続)」という制度です。
通常、退職すると会社の健康保険証は返却しますよね。そして、次の会社の保険に入るか、住んでいる自治体の「国民健康保険」に切り替えるのが一般的です。しかし、この任意継続を使えば、最大で2年間、これまでと同じ健康保険組合に加入し続けることができるのです。
例えるなら、会社の寮を出ていくことになったけれど、大家さんと交渉して「家賃を全額自分で払うなら、あと2年だけ住んでいいよ」と言ってもらうようなものです。
住み慣れた部屋(保険などのサービス)や、利用していた施設(保養所など)をそのまま使えるのは安心ですよね。
専門用語をチェック
ここで一つ、覚えておいてほしい言葉があります。「標準報酬月額」です。
これは、あなたの給料がだいたいどのくらいのランクに位置するかを決めるための等級のことです。毎月の給料額そのものではなく、区切られたランクで保険料が決まります。任意継続では、退職時のこのランクがそのまま引き継がれるのが基本ルールです。
保険料は高くなる?計算の仕組み
さて、ここからが一番気になるお金の話です。「今までと同じ保険なら、保険料も同じだよね?」と思ったあなた、ちょっと待ってください。
実は、在職中の保険料は、会社が半分負担してくれていたのです。これを「労使折半」と言います。会社という強力なスポンサーが、あなたの代わりに半分払ってくれていたわけですね。
しかし、退職して任意継続を選ぶと、会社というスポンサーがいなくなります。つまり、これまで会社が払っていた分も、あなたがすべて負担しなければなりません。
計算式で見てみましょう。
自己負担分 会社負担分 あなたが支払う保険料
単純計算で、在職中の約2倍の金額になると考えてください。
たとえば、これまで給与明細で引かれていた健康保険料が2万円だったとします。
2万円 2 4万円
いきなり倍額請求が来ると驚いてしまいますが、これが本来の金額なのです。ただし、健康保険組合によっては上限額(キャップ)が設けられていることもあります。給与が非常に高かった人は、上限額のおかげで単純な2倍よりは安く済む場合もあるので、必ず確認しましょう。
国民健康保険との違い
ここで多くの方が悩みます。「任意継続」にするか、市町村の「国民健康保険」にするか。
判断のポイントはいくつかありますが、特にエンジニアのみなさんに知っておいてほしい違いを整理しました。
扶養家族の扱い
ここが最大のメリットと言えるかもしれません。任意継続の場合、扶養家族という概念があります。
もし、あなたに養っている配偶者やお子さんがいる場合、要件を満たせば彼らの保険料はかかりません。あなた一人の保険料で、家族全員分の保険証がもらえるのです。
一方で、国民健康保険には扶養という概念がありません。
世帯主の保険料 妻の保険料 子供の保険料 世帯の合計保険料
このように、人数が増えれば増えるほど、保険料が積み上がっていく仕組みです。家族が多い方にとっては、任意継続のほうが圧倒的にお得なケースが多いですよ。
計算の基準
国民健康保険料は、前年の所得をもとに計算されます。つまり、退職する前の年にバリバリ働いて高収入だった場合、翌年の保険料はかなり高額になります。
それに対し、任意継続は退職時の「標準報酬月額」で固定されます(上限あり)。どちらが安くなるかは、お住まいの自治体の窓口で試算してもらうのが確実です。
任意継続のメリットとデメリット
ここで一度、情報を整理しておきましょう。メリットだけでなく、デメリットもしっかり理解した上で選ぶことが大切です。
メリット
- 家族を扶養に入れられるため、家族が多い人は保険料を抑えられる可能性がある。
- これまでと同じ健康保険組合の福利厚生(人間ドックの割引や保養所など)が使える。
- 国民健康保険のように前年の所得で急に高額になる心配が少ない(上限があるため)。
デメリット
- 会社負担がなくなるため、在職中より支払額が増える。
- 2年間という期限がある(2年経ったら国民健康保険などに切り替えが必要)。
- 一度選択すると、原則として途中で国民健康保険への切り替えが難しい場合がある(組合による)。
- 保険料を1日でも滞納すると、その時点で資格を失ってしまう(非常にシビアです!)。
エンジニアのあなたが取るべきアクション
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。最後に、これから独立や転職を考えているあなたに向けて、具体的なアドバイスを送ります。
退職が決まったら、まずは以下の手順で動いてみてください。
- 会社の担当者に「任意継続の保険料はいくらになりますか?」と聞く。
- 住んでいる市役所や区役所に行き、「前年の年収はこれくらいですが、国民健康保険料はいくらになりますか?」と試算してもらう。
- この2つの金額を比較して、安いほうを選ぶ。
とてもシンプルですが、これをやるだけで年間数万円、場合によっては十万円以上の差が出ることがあります。面倒くさがらずに、ぜひ数字を確認してください。
エンジニアとして技術を磨くのも大切ですが、こうした社会保険の知識は、あなた自身と大切な家族を守るための「防御力」になります。
まずは、給与明細の「健康保険料」の欄を確認することから始めてみましょう。
あなたの新しい挑戦が、安心してスタートできることを応援しています。