12コア24スレッドのCPUをWindowsやGoogle Chromeは有効活用できるのか?
こんにちは。ゆうせいです。
パソコンを選ぶとき、「このCPUは12コア24スレッド!」なんていう宣伝文句をよく見かけますよね。でも、実際にその性能をWindows や Google Chrome は使いこなしてくれるのか?という疑問、出てくると思います。
結論からいうと:
👉 はい、WindowsもChromeも12コア24スレッドのCPUをしっかり活用できます!
ただし、「すべての処理がその恩恵を受けるわけではない」という点に注意が必要です。ここからは、その理由と仕組みを詳しく解説していきます!
そもそも「12コア24スレッド」ってどういう意味?
● コア(Core)とは?
CPUの中の**実際に処理を行う「頭脳」**のことです。12コアなら、12人の作業員がいるようなものです。
● スレッド(Thread)とは?
1つのコアが扱える作業の流れ(処理の単位)のことです。IntelなどのCPUでは1コアで2スレッドを同時に動かせる「ハイパースレッディング(Hyper-Threading)」という技術を使っています。
つまり、12コア × 2スレッド = 24スレッド というわけです。
そもそも「マルチスレッド」ってなに?
まず、用語の確認をしておきましょう。
● スレッドとは?
プログラムの中で処理を行う最小単位のことです。
例えるなら:
- プロセス(process)=「レストランの厨房」
- スレッド(thread)=「そこで働くコックさん」
厨房(プロセス)の中に、何人もコック(スレッド)がいることで、同時にいろんな料理(処理)が作れる、というイメージです。
Windows はマルチスレッド?
✅ 結論:完全にマルチスレッド対応です
Windows はそもそもマルチタスクのOSです。そしてその中で動くアプリケーションやシステムも、複数スレッドを活用して動作しています。
例:Windowsでのスレッド利用
- ファイルをコピーしながら別のウィンドウでインターネットを見る
- マウス操作とキーボード操作が同時に反応する
- バックグラウンドでウイルススキャンをしながら動画を再生
すべて、裏では複数スレッドや複数プロセスが並行して動作しています。
内部の例(ちょっと技術的)
Windows では、CreateThread()
などの関数を使って、C++などでマルチスレッドなアプリケーションを構築します。
Google Chrome はマルチスレッド?
✅ 結論:マルチスレッドかつマルチプロセス
Google Chrome はとても面白い構造をしています。スレッドだけでなく、プロセスも分離して使っているんです!
実際の構造
コンポーネント | プロセス | スレッド |
---|---|---|
各タブ(1つのページ) | 別プロセス(独立) | その中でマルチスレッド |
JavaScriptの実行 | 通常は1スレッド(非同期処理あり) | ワーカースレッドあり |
画像の読み込み | 背景スレッドで並列実行 | 背景スレッド |
UI表示 | メインスレッド | ここが重いと「応答なし」に |
なぜマルチプロセスも使うの?
- 1つのタブがクラッシュしても、他のタブは影響を受けないようにするため
- セキュリティのため(サンドボックス機構)
簡単なたとえ:
- 普通のブラウザ:体育館で1人が風邪ひいたら、全員休み
- Chrome:個室の教室なので、1人が風邪でも他のクラスは元気!
補足:JavaScript は基本シングルスレッド
「えっ?じゃあ JavaScript はマルチスレッドじゃないの?」という疑問もあるかもしれません。
はい、基本は1つのスレッドで動くシングルスレッドです。ですが、非同期処理(async/await や Promise)やWeb Workerを使うことで、並列処理のようなことが可能です。
図で整理してみよう
Windows のイメージ
[プロセス: Word]
├─ スレッド1(文章入力)
├─ スレッド2(保存処理)
└─ スレッド3(スペルチェック)
[プロセス: YouTube]
├─ スレッド1(映像)
└─ スレッド2(音声)
Chrome のイメージ
[プロセス: タブA]
├─ メインスレッド
├─ レンダラースレッド
└─ JavaScriptスレッド
[プロセス: タブB]
├─ 同様に独立したスレッド群
Windowsは24スレッドを使えるのか?
✅ はい、Windowsはマルチスレッドに完全対応しています。
Windows OS(特にWindows 10以降)は、CPUのすべてのスレッドをスケジューラで管理し、アプリやシステム全体のパフォーマンスを最適化しています。
実際の利用例:
- バックグラウンドでウイルススキャン
- 複数のアプリを同時に起動
- 複数のユーザーセッションの同時管理
Windowsの「タスクマネージャー」を開いて「パフォーマンス」タブを見れば、24スレッド分のグラフが確認できます!
Google Chromeは24スレッドを使いこなす?
✅ Chromeはマルチプロセス & マルチスレッド構造で、コアを積極的に使います!
活用される場面:
- 各タブが独立したプロセスとして動作
- JavaScriptの処理やレンダリングが別スレッドで非同期に動く
- バックグラウンドでのリソース読み込み
- GPUとCPUの並列処理
イメージ図:
[Chrome]
├─ タブA(プロセス) ─ スレッド1~3
├─ タブB(プロセス) ─ スレッド1~2
├─ 拡張機能(プロセス) ─ スレッド1
├─ GPUプロセス ─ スレッド1~4
└─ ブラウザメイン ─ スレッド1~2
つまり、タブをたくさん開いたり、Webアプリを多用する使い方では24スレッドがフル活用される可能性が高いのです。
でもすべてが24スレッドを活かせるわけじゃない!
ここは重要なポイントです。
単純な作業や古いアプリはスレッドを多く使えない
- 軽いメモ帳アプリや、昔のゲーム、古いソフトなどはシングルスレッド前提で設計されています。
- そうしたアプリは1~2スレッドしか使わないため、CPUの力を最大限に引き出せません。
どんな使い方をすれば活かしやすい?
24スレッドの力を活かすには、「同時に多くの処理を走らせる」ことがカギです。
活かしやすい使い方例:
活用方法 | スレッド利用の多さ |
---|---|
Chromeでタブを10個以上開く | ◎ |
動画編集(Premiere Proなど) | ◎ |
ソフト開発(ビルド処理など) | ◎ |
仮想マシンを複数起動(VMwareなど) | ◎ |
OfficeやLINEを開いてるだけ | △ |
ベンチマーク例(あくまで参考)
処理内容 | 使用コア/スレッド | 備考 |
---|---|---|
Chrome 5タブ + YouTube | 約6~8スレッド | 動画と広告が別スレッドで処理される |
Windows Update + 作業中 | 約10~12スレッド | 並行処理が重なるとさらに増える |
ゲーム配信(OBS+ゲーム) | 約14~18スレッド | エンコードが高負荷をかける |
まとめ:活かせるかどうかは「使い方次第」
観点 | 結論 |
---|---|
Windows | OSとして24スレッドをサポート。自動で振り分け管理する。 |
Google Chrome | タブ・レンダリング・JS処理など、スレッドを積極的に使う。 |
最大活用したいなら | マルチタスク・重い作業を同時にこなす使い方が◎ |
今後の学習の指針
- タスクマネージャーや Process Explorer を使って、実際のスレッド数を観察してみよう!
- Java や Python で「マルチスレッド」や「マルチプロセス」のコードを書いてみると、CPUの挙動がよく分かります
- 高性能CPUを活かすために、並列処理に強いアプリを積極的に活用しよう
気になるソフトやゲームが「マルチスレッドに対応してるか」調べるのも面白いですよ!
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