CQRSとは?新人エンジニアでもわかる分離設計の考え方
こんにちは。ゆうせいです。
今回はソフトウェアアーキテクチャの設計手法のひとつ、CQRS(Command Query Responsibility Segregation)について解説します!
名前からしてちょっとカタそうですね…。でも、仕組みが分かれば意外とシンプルです!
こんな疑問、ありませんか?
- 「CQRSってどういう考え方?」
- 「何がメリットなの?」
- 「どうやって使い分けるの?」
このあたりを、例・比喩を使って初心者でも理解できるように丁寧に説明していきます!
CQRSとは?一言でいえば…
「読む処理(Query)」と「書く処理(Command)」を分けて設計しましょう、という考え方です。
英語の単語の意味もそのまま:
- C:Command(命令)
- Q:Query(問い合わせ)
- RS:Responsibility Segregation(責任の分離)
つまり、「データを変更する処理」と「データを読み取る処理は、役割が違うんだから、同じ方法で扱わない方がいいよ」という主張なんですね。
もっとわかりやすく!お店のレジでたとえてみよう
イメージしやすいように、コンビニのレジを例にしましょう。
普通のやり方(=従来のCRUD)
1台のレジで「商品をスキャン」「会計」「在庫の問い合わせ」など、すべての操作を行う。
- 読み取り(在庫を見る)
- 書き込み(商品を買う=在庫を減らす)
すべてが1台で行われていて、簡単ですが混雑しやすいです。
CQRSのやり方
読み取り専用レジと、書き込み専用レジを分ける!
- 「在庫を確認したい」人はQueryレジ
- 「買いたい」人はCommandレジ
こうすれば、それぞれの目的に応じた最適な処理ができて、混雑もしにくいのです!
実際のシステムではどうなるの?
従来の構成(CRUDベース)
Controller
↓
Service
↓
Repository(DB操作)
1つのServiceクラスやRepositoryクラスが、「読み取り」と「書き込み」の両方を担当しています。
CQRSで分けた構成
QueryController CommandController
↓ ↓
QueryService CommandService
↓ ↓
ReadRepository WriteRepository
このように、読み取り(Query)と書き込み(Command)を完全に分離します。
どうして分けるの?メリットは?
✅ メリット1:パフォーマンスの最適化
読み取りは頻繁だけど書き込みはまれ、というケースでは、読み取りをキャッシュしたり、高速なDBを使うなどの工夫ができます。
✅ メリット2:スケーラビリティが高い
書き込み系は重くなりがちですが、読み取り系は軽く分散しやすいので、それぞれに最適なインフラが選べます。
✅ メリット3:保守性の向上
責務がはっきり分かれているので、コードがスッキリする&バグが見つけやすいです。
でも注意点もある!デメリットは?
デメリット | 説明 |
---|---|
構成が複雑になる | クラスやDBが増えるので設計力が必要 |
実装コストが高い | 分けること自体に手間がかかる |
データ整合性の難しさ | 「書いたデータがすぐ読めない」状況も出てくる(Eventually Consistent:最終的に整合) |
こんなときにCQRSを使おう!
✅ 向いているシステム
- アクセスが非常に多い(読み込みと書き込みのバランスが偏っている)
- リアルタイムでレスポンスが求められる
- 大規模な業務システム(在庫・決済・ログなど)
❌ 向いていないケース
- 小規模アプリ(やりすぎになる)
- 処理が単純なもの(分けてもメリットが少ない)
コード例:Controllerを分けるイメージ
@RestController
@RequestMapping("/users")
public class UserQueryController {
@GetMapping("/{id}")
public UserDto getUser(@PathVariable Long id) {
return userQueryService.findUserById(id);
}
}
@RestController
@RequestMapping("/users")
public class UserCommandController {
@PostMapping
public void createUser(@RequestBody UserCommand command) {
userCommandService.create(command);
}
}
このように、見た目にも「読む用」と「書く用」が分かれていることが分かりますね。
まとめ:CQRSは「責任の分離」でパフォーマンスも見通しも良くする!
ポイント | 内容 |
---|---|
名前の意味 | Command=書く、Query=読む、Responsibility Segregation=責任の分離 |
核心 | 読み取りと書き込みを物理的・論理的に分ける設計 |
向いている | 大規模システム、性能重視のAPI、大量アクセスがある場面 |
注意点 | 複雑になるので小規模システムには不向きなことも |
今後の学習の指針
CQRSの基礎を理解したら、次はこんなテーマを学ぶと理解がさらに深まります!
- Event Sourcing(イベントソーシング)との連携
- RESTful APIでのCQRS実践例
- キャッシュ戦略との組み合わせ(Redisなど)
- CQRSとマイクロサービスの関係
実務でCQRSを導入するには設計力が求められますが、原則を理解しておくだけでもコードの質が大きく変わります。
もっと具体的な設計パターンが知りたいときは、いつでもリクエストしてくださいね!
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