Javaビルドツールの基本!MavenとGradleの違いをわかりやすく解説

こんにちは。ゆうせいです。

前回は「コンパイル・ビルド・実行」の違いについてお話しましたね。今回はその続きとして、Javaのビルドに欠かせない2つの代表的なツール、Maven(メイヴン)Gradle(グレードル)の違いを詳しく見ていきましょう。

「どっちを使えばいいの?」「何が違うの?」という疑問に、初心者の方にも分かるように丁寧にお答えします!


そもそもMavenやGradleって何?

まずは前提として、「ビルドツール」という言葉から整理しておきましょう。

ビルドツールとは?

Javaでは、1つのプログラムを作るために次のような作業が必要です。

  • コンパイル(Javaファイル→classファイル)
  • テストの実行
  • ライブラリ(外部のコード)の管理
  • 実行可能ファイル(JARなど)の作成

こうした工程を自動で実行してくれるのがビルドツールです。

例えるなら…

毎回ラーメンの具材を1つずつ手で用意するのではなく、自動ラーメンマシンで全部まとめて作ってくれるようなものです!

その自動マシンの代表が「Maven」と「Gradle」というわけですね。


MavenとGradleの違いをひと目で!

まずはざっくりとした違いを表にまとめます。

項目MavenGradle
誕生年2004年2012年
設定ファイル形式XML(pom.xmlGroovy または Kotlin(build.gradle
学習のしやすさ高い(構成が固定)少し難しい(自由度が高い)
カスタマイズ性低い(プラグイン中心)高い(柔軟な記述が可能)
ビルド速度標準的非常に高速(キャッシュや並列処理)
有名な使用例多くの企業システムで利用Android開発で標準採用

Maven:シンプルで安心感のあるベテラン選手

特徴1:XMLで書かれた分かりやすい構成

Mavenの設定ファイルは「pom.xml」という名前で、XML形式で記述します。最初は「長くて読みにくそう…」と思うかもしれませんが、実は構成がしっかり決まっていて迷いにくいというメリットがあります。

例(pom.xml の一部):

<dependencies>
  <dependency>
    <groupId>org.springframework</groupId>
    <artifactId>spring-core</artifactId>
    <version>5.3.9</version>
  </dependency>
</dependencies>

このように「どのライブラリを使うのか」を明示的に指定する形ですね。


特徴2:堅実で安定感がある

Mavenは2004年から使われていて、歴史が長く、企業システムでも広く採用されています。定番の構成とルールがあるため、チーム開発でも安心して使えます。

ただし、カスタマイズが難しいという側面もあります。「とりあえずJavaのWebアプリを動かしたい!」という初心者にはちょうど良い選択です。


Gradle:柔軟でモダンなスピードスター

特徴1:コードで書ける柔軟性

Gradleの設定はXMLではなく、Groovy(またはKotlin)というプログラミング言語のような構文で書きます。

dependencies {
  implementation 'org.springframework:spring-core:5.3.9'
}

このように、設定自体がコードっぽくてシンプルかつ読みやすいのが特徴です。条件分岐や繰り返し処理など、細かい制御も可能になります。


特徴2:高速なビルド

Gradleはビルドのキャッシュタスクの並列実行といった機能を持っていて、特に大規模なプロジェクトでは圧倒的に速いです。

たとえると…

Mavenが自転車なら、Gradleは電動アシスト付きロードバイクといったところです。


特徴3:Android開発で標準的

GradleはGoogleが公式に採用しており、Androidアプリを開発する際はほぼ必ず使います。そのため、将来的にモバイルアプリも視野に入れているならGradleを学ぶ価値は高いです。


実際にどちらを使えばいいの?

それぞれの特徴を見たうえで、目的別にオススメをまとめてみましょう。

目的・状況オススメのツール
学び始めたばかりの初心者Maven
チームで統一された開発をしたいMaven
柔軟に設定をいじりたいGradle
Androidアプリを作りたいGradle
ビルド時間をできるだけ短くしたいGradle

まとめ:MavenとGradleは「安定」か「柔軟」かの選択

  • Maven:構成が決まっていてわかりやすい。安定したビルドが可能。
  • Gradle:自由度が高く、設定が柔軟。ビルド速度も速い。

両方にメリット・デメリットがありますが、どちらを使っても最終的な目的は「開発を効率よく進めること」です。最初はMavenから入って、慣れてきたらGradleにもチャレンジしてみましょう!


次のステップ

次に学んでほしいのは以下のようなトピックです。

  • Maven/Gradleで外部ライブラリを導入する方法(依存関係管理)
  • ビルドスクリプトの書き方とカスタマイズ
  • 実際のプロジェクトにMaven/Gradleを組み込んでみる

最初は難しく感じるかもしれませんが、「設定ファイル=自動で開発を助けてくれる道具」というイメージを持つと、ぐっと理解が深まりますよ。

次回は「依存関係とは何か?」をテーマにお届けする予定です。お楽しみに!


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投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
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