Kerasは、TensorFlowを誰でも簡単に使えるようにするための、とても親切な道具
こんにちは。ゆうせいです。
機械学習やAIの世界に足を踏み入れると、必ずと言っていいほど耳にするのが「TensorFlow」と「Keras」という二つの名前です。この二つの関係、特に初心者の方にとっては少し分かりにくいかもしれませんね。
一言で言うと、その関係は「Kerasは、TensorFlowを誰でも簡単に使えるようにするための、とても親切な道具」なんです。今日は、この最高のパートナーシップについて、分かりやすい例え話を交えながら解き明かしていきましょう!
TensorFlowとは? - 強力な専門家のためのキッチン 🧑🍳
まず、TensorFlow(テンソルフロー)から見ていきましょう。これは、Googleが開発した、機械学習のための非常にパワフルで柔軟なライブラリです。
TensorFlowは、例えるなら「プロの料理人が使う、あらゆる機材が揃った巨大なキッチン」です。
そこには、最新式のオーブンから、真空調理器、液体窒素まで、考えられるすべての調理器具が揃っています。このキッチンを使えば、どんなに複雑で独創的な料理でも作ることができます。
しかし、その反面、それぞれの機材のクセや使い方を熟知している必要があり、初心者がいきなり使いこなすのは少し大変です。このように、TensorFlowは非常に自由度が高い分、学習コストもそれなりにかかる「低レベル」なツールと言えます。
Kerasとは? - 誰でも美味しい料理が作れるミールキット 📦
次に、Keras(ケラス)です。Kerasは、ニューラルネットワークを直感的かつシンプルに作ることに特化したライブラリです。
Kerasは、先ほどの例えで言うと「手順通りに作れば誰でもご馳走が作れる、高級ミールキット」のようなものです。
必要な食材(モデルの部品)はあらかじめカットされ、分量も完璧に計られています。そして、「1. AとBを混ぜる」「2. Cを加えて5分焼く」といった、とても分かりやすいレシピカードが付いてきます。
利用者は、複雑な調理器具の使い方を覚える必要はなく、レシピカードの指示に従って部品を積み重ねていくだけで、あっという間に美味しい料理(=機械学習モデル)を完成させることができます。このように、Kerasはユーザーフレンドリーな「高レベル」なAPI(ツールを操作するための窓口)なのです。
二つの関係: ミールキットは、プロのキッチンで作られている
さて、ここからが本題です。この二つの関係はどうなっているのでしょうか?
もともとKerasは、TensorFlowとは別の独立したプロジェクトでした。そして、Kerasというミールキットの調理(=実際の数値計算)は、裏側にあるプロのキッチン(=バックエンド)に任せるという設計になっていました。そのキッチンとして、TensorFlowや他のライブラリを選ぶことができたのです。
しかし、Kerasの分かりやすさは絶大な支持を集め、ついにTensorFlow 2.0から、KerasはTensorFlowに正式に取り込まれ、公式のツールとして推奨されるようになりました。
つまり、あのミールキット会社(Keras)は、プロの巨大キッチン(TensorFlow)に買収され、「公式ミールキット」として提供されるようになったのです。
今では、私たちが import tensorflow
をすると、その中に tensorflow.keras
として、最高のミールキットが標準で入っています。
結局、今はどっちを使えばいいの? 🤔
結論から言うと、これから機械学習を始めるほとんどの人は、tensorflow.keras
を使えば間違いありません。
# tensorflowライブラリの中から、kerasという道具を取り出して使う
from tensorflow import keras
# モデルの作成(レシピ通りに材料を積み重ねるだけ!)
model = keras.Sequential([
keras.layers.Dense(128, activation='relu'),
keras.layers.Dense(10, activation='softmax')
])
このようにKerasのシンプルな書き方でモデルを作りつつ、データの準備にはTensorFlowの便利な機能 tf.data
を使う、といった「良いとこ取り」が簡単にできます。まさに、ミールキットを使いながら、プロのキッチンの便利な機材も自由に借りられるような状態です。
まとめ: 最高のパートナーシップ 🤝
TensorFlowとKerasの関係をまとめると、以下のようになります。
- TensorFlow: どんな計算もできる、パワフルな機械学習の「エンジン」部分。
- Keras: そのエンジンを、誰でも簡単に扱えるようにしてくれる、直感的な「運転席(インターフェース)」部分。
この二つは競合するものではなく、TensorFlowという土台の上でKerasが動く、という強力なタッグを組んだパートナーです。
これから学習を始めるあなたは、迷わず tensorflow.keras
を使って、そのシンプルさとパワフルさを体感してみてください。きっと、思ったよりもずっと簡単に、機械学習モデル作りの第一歩を踏み出せるはずですよ!