Python Webフレームワーク徹底比較!Flask、Django、FastAPIを新人エンジニア向けに解説

こんにちは。ゆうせいです。

Webアプリケーション開発の世界へようこそ!Pythonを使ってWebサービスを作ろうと思ったとき、まず最初に耳にするのが「Webフレームワーク」という言葉ではないでしょうか。フレームワークは、家を建てる際の骨組みや設計図のようなもので、これがあるおかげで私たちは効率よく、そして安全にアプリケーションを開発できます。

Pythonには魅力的なフレームワークがたくさんありますが、特に人気の「Flask」「Django」「FastAPI」は、それぞれ全く異なる個性を持っています。

「どれから学べばいいの?」「プロジェクトによってどう使い分けるの?」

そんな新人エンジニアの皆さんの疑問に答えるべく、今回は代表的な3つのフレームワークを比較しながら、それぞれの特徴をじっくり解説していきますね!


まずはここから!シンプルさが魅力の「Flask」

Flaskは、「マイクロフレームワーク」と呼ばれる種類のフレームワークです。

マイクロ、つまり「小さい」という名前の通り、Flaskが提供してくれるのはWebアプリケーションを作る上で本当に必要最低限の機能だけ。まるで、家具が何もない、がらんとした部屋を渡されるようなイメージです。

from flask import Flask

app = Flask(__name__)

@app.route("/")
def hello_world():
    return "<h1>Hello, World!</h1>"

if __name__ == "__main__":
    app.run(debug=True)

たったこれだけのコードで、Webサーバーを動かしてブラウザに「Hello, World!」と表示できる。この手軽さとシンプルさがFlaskの最大の魅力です。

Flaskのメリット(良いところ!)

  • 学習しやすい: 機能が少ない分、覚えることも少ないです。プログラミング初学者がWebアプリの仕組みを理解するのに最適!
  • 自由度が高い: 部屋にどんな家具を置くか、どんな壁紙を貼るかを自分で決められるように、どんな機能(ライブラリ)を追加していくかを自分で自由に決められます。
  • 軽量で高速: 余計な機能が一切ないので、動作がとても軽快です。

Flaskのデメリット(注意点…)

  • 全部自分で決める必要がある: 自由度の高さは、裏を返せば「何をするにも自分で部品を探してきて組み立てる必要がある」ということです。データベース接続、ユーザー認証など、本格的なアプリに必要な機能は自分で追加しなければなりません。
  • 大規模開発には工夫が必要: 最初はシンプルでも、機能を追加していくうちに構成が複雑になりがちです。大規模なアプリケーションを作るには、しっかりとした設計力が求められます。

一言でいうと、Flaskは「DIY精神あふれる、自由な小さな家」です。 小規模なWebサイトや、APIサーバーのプロトタイプ(試作品)開発、Webフレームワークの仕組みを学ぶ第一歩として非常におすすめです。


大規模開発の王道!全部入りの「Django」

Flaskが小さな家なら、Django(ジャンゴ)は「全てが揃った豪華なマンション」です。

Djangoは「フルスタックフレームワーク」と呼ばれ、Webアプリケーション開発に必要とされるであろう機能のほとんどが、最初からすべて組み込まれています。

  • ユーザー認証システム: ログイン・ログアウト機能なんて当たり前!
  • 管理画面: データベースの中身を簡単に見たり、編集したりできる超便利な管理ページが自動で生成されます。
  • ORM: Pythonのコードでデータベースを操作できる仕組み。SQLを直接書かなくても大丈夫!

これらの機能が全て公式に提供されているため、「この機能とこの機能の相性が悪くて動かない…」といった悩みも少なく、開発者はアプリケーションの本質的な部分に集中できます。

Djangoのメリット(至れり尽くせり!)

  • 開発スピードが速い: 必要な機能が揃っているので、特に大規模で複雑なアプリケーションを素早く形にできます。
  • セキュリティが高い: SQLインジェクションなど、Webアプリが狙われやすい一般的な攻撃に対するセキュリティ機能が標準で備わっています。
  • 実績と信頼性: InstagramやPinterestなど、世界的なサービスで採用されている実績があり、情報も豊富です。

Djangoのデメリット(ちょっと窮屈?)

  • 学習コストが高い: 機能が豊富な分、覚えるべき「Djangoのお作法」がたくさんあります。Flaskに比べると学習の道のりは少し長めです。
  • 柔軟性に欠ける: 「マンションのこの壁、取り払いたいんだけどな…」と思っても難しいように、Djangoの設計思想に沿わないカスタマイズは少しやりにくい場合があります。
  • オーバースペックになることも: ちょっとしたWebページを作りたいだけなのに、巨大なDjangoを使うのは、近所のコンビニに大型トラックで買い物に行くようなものかもしれません。

Djangoは、大規模なWebサービスやCMS(コンテンツ管理システム)など、やることが多くて複雑なプロジェクトで真価を発揮する、頼れる存在です。


API開発のニュースター!爆速の「FastAPI」

最後にご紹介するのが、近年急速に人気を高めているFastAPIです。その名の通り「速さ(Fast)」を大きな売りにしています。

FastAPIは、特にAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を作ることに特化したフレームワークです。APIとは、ざっくり言うとプログラム同士がデータをやり取りするための窓口のようなものですね。

Flaskの影響を受けているため、書き心地はFlaskに似ていてシンプルです。しかし、FastAPIにはモダンなWeb開発を劇的に効率化する、強力な武器がいくつも備わっています。

  • 圧倒的なパフォーマンス: Pythonの非同期処理をフル活用し、Node.jsやGoといった他の言語のフレームワークに匹敵するほどの処理速度を誇ります。
  • 自動ドキュメント生成: これが本当にすごい!コードを書くだけで、APIの仕様書(「このURLにこんなデータを送ってね」という説明書)が自動で作られます。これにより、フロントエンドとバックエンドの連携がめちゃくちゃスムーズになります!
  • 型ヒントによるデータ検証: Pythonの型ヒント(変数や関数の引数がどんなデータ型なのかを明示する機能)を利用して、APIが受け取るデータが正しい形式かどうかを自動でチェックしてくれます。これにより、予期せぬエラーを大幅に減らすことができるのです。

FastAPIのメリット(速くて賢い!)

  • とにかく速い: 大量のアクセスを捌く必要があるAPIサーバーに最適です。
  • 開発効率が非常に高い: 自動ドキュメント生成とデータ検証機能のおかげで、開発時間を短縮し、バグを減らせます。
  • 学習しやすい: Flaskに似たシンプルさで、ドキュメントも充実しています。

FastAPIのデメリット(新しいがゆえに)

  • エコシステムが発展途上: DjangoやFlaskほど歴史が長くないため、サードパーティ製のライブラリや日本語の情報はまだ少ない部分もあります。
  • マイクロフレームワークであること: Flaskと同様、ユーザー認証や管理画面のような機能は内蔵していません。API開発に特化していると割り切るのが良いでしょう。

FastAPIは、モダンなAPI開発の決定版とも言えるフレームワーク。 機械学習モデルをAPIとして公開したり、高速なマイクロサービスのバックエンドを構築したりする場面で、最高のパフォーマンスを発揮します。


まとめ:あなたにピッタリなのはどれ?

ここまで3つのフレームワークを見てきましたが、それぞれに得意なこと、不得意なことがあるのが分かりましたか?

フレームワーク例えるなら…特徴こんな人/プロジェクトにおすすめ!
FlaskDIY精神あふれる、自由な小さな家シンプル、軽量、柔軟Webアプリの仕組みを学びたい初学者、小規模なサイト、プロトタイプ開発
Django全てが揃った豪華なマンション全部入り、迅速開発、高い信頼性大規模なWebサービス、管理画面が重要なシステム、短期開発
FastAPIF1カーのようなAPI製造機超高速、開発効率◎、モダン高性能なAPIサーバー、機械学習連携、マイクロサービス

今後の学習の指針

まずはFlaskから始めて、Webアプリケーションがリクエストを受け取ってからレスポンスを返すまでの一連の流れを身体で覚えるのが、個人的には一番おすすめです。Flaskで小さなアプリケーションを一つ作ってみると、Web開発の全体像がきっと見えてくるはずです。

そして、その経験を土台にして、次に作りたいものに合わせて、大規模開発ならDjango、高速なAPI開発ならFastAPIへとステップアップしていくのが、着実な成長への近道ではないでしょうか。

フレームワーク選びは、旅の目的地に合わせて乗り物を選ぶようなものです。それぞれの特徴を理解し、最高の道具を選んで、楽しい開発の旅に出発しましょう!応援しています!

セイ・コンサルティング・グループの新人エンジニア研修のメニューへのリンク

投稿者プロフィール

山崎講師
山崎講師代表取締役
セイ・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
岐阜県出身。
2000年創業、2004年会社設立。
IT企業向け人材育成研修歴業界歴20年以上。
すべての無駄を省いた費用対効果の高い「筋肉質」な研修を提供します!
この記事に間違い等ありましたらぜひお知らせください。